◆ 来季に向けた手応えも口に
オリックスの高卒2年目の左腕・宮城大弥が7日、大阪市内の球団施設で契約更改を行い、6倍近い大幅アップとなる5000万円でサイン。870万円から4130万円増で、前日、4倍増の2880万円で更改した同2年目の紅林弘太郎を大きく引き離した。
記者会見場に、見慣れない黒ぶちのメガネをかけて現れ、報道陣から笑いを取った宮城。球団幹部との交渉でも、主導権を握ったようだ。提示額は「予想していたよりちょっと上の方だった」そうだが、「9個の貯金(13勝4敗)で優勝にも貢献したと思う。来年も頑張りますので」と交渉したところ、「キリのよい5000万しにしてもらった」という。
今季は、開幕からローテーションを守り、23試合に登板し、防御率2.51、13勝4敗でチームの25年ぶりの優勝に大きく貢献したのだから、投球以上の粘り腰に球団も気前よく増額に応じてくれた。
目を引いたメガネは、通販で約2000円だった伊達メガネ。「昨年の契約更改後の会見で着用した山本由伸さんを真似させてもらった」という。それほど、日本のエースに成長した山本は、宮城のお手本だったようだ。「由伸さんから1つでもタイトルを奪いたい」とはいつもの言葉だが、この日は防御率のタイトル奪取を目標に掲げた。
「もう少し数字が良くなれば、もっといい投手になれると思う。1点以上離されてしまったので、かなり時間はかかると思うけど、抜いておちょくりたい(いじりたい)」と、冗談を交えながら先輩に挑戦状をたたきつけた。
印象に残る試合に挙げたのは、日本シリーズ第2戦。「チームは負けてしまったけど、いい緊張感の中で周りもかなり見えた部分があった。それまで『勝たないと』という意識が強かったが、それが全くなく楽しめた」と、大舞台で新境地を開くことが出来たようだ。
散髪を頼んだ後輩のミスで生まれた坊主頭でチームを和ませ、一躍、全国的に知名度アップにもつなげた宮城。「丸坊主になった時の騒ぎはヤバいかなと思ったけど、たくさんの人が(球団グッズの)タオルを振ってくれた。うれしかったが、もう少し実力をつけて知名度を上げたい」という。
高卒2年目の同期・奥川恭伸(ヤクルト)や佐々木朗希(ロッテ)を上回る成績にも「世間の印象は、僕より奥川や朗希の方が強いと思う、負けている部分もあるので、離されないようにしたい」。
好成績にもおごることなく謙虚さを貫く宮城。この点でも、大エースになっても変わらない山本の立ち居振る舞いが参考になっているのだろう。3年目のさらなる飛躍が楽しみだ。
そのほか、8勝(8敗)を挙げた左腕の田嶋大樹は3800万円増の8000万円、プロ初勝利を含む2勝(2敗)の山崎颯一郎は850万円増の1300万円で、いずれも更改した(金額は推定)。
文・写真=北野正樹(きたの・まさき)