スタジオポノック最新作『屋根裏のラジャー』(連載:1)人間に想像された少年はどこから来たの?

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2021年12月08日 19:00  ORICON NEWS

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写真スタジオポノック長編最新作『屋根裏のラジャー』2022年夏、劇場公開 (C)2022 Ponoc
スタジオポノック長編最新作『屋根裏のラジャー』2022年夏、劇場公開 (C)2022 Ponoc
 世界150以上の国と地域で上映され大ヒットを記録した『メアリと魔女の花』以来、5年ぶりとなるスタジオポノック長編最新作『屋根裏のラジャー』が、来年(2022年)夏に公開されることが発表された。

【動画】スタジオポノック5年ぶり新作の特報

 本作の主人公は、誰にも見えない少年・ラジャー。彼は少女の想像から生まれた“イマジナリ”という存在。人間の想像が食べられてしまう世界を舞台に、ラジャーと仲間たちが、大切な人の未来と運命を懸けた“誰にも見えない戦い”に挑むファンタジー超大作になるとのことだ。

 スタジオポノックの手描きアニメーションで描かれる“想像たち(イマジナリ)”の世界とは、いったいどのようなものなのか? なぜ今、見えない存在を描くのか? 本作の西村義明プロデューサーに聞いた。

――イギリス文学協会賞受賞をはじめ、ケイト・グリーナウェイ賞、カーネギー賞等にノミネートされるなど、世界の文学賞を席巻した、A.F.ハロルド著「The Imaginary」が原作とのことですが、アニメーション映画化しようと思った理由は?

【西村】『メアリと魔女の花』を作り終えた直後、次回作でもきちんと子どもたちに何か大事なことを伝えられる作品を作りたいと思って、原作を探したり、オリジナルストーリーを考えたりしている中で、「The Imaginary」を翻訳した『ぼくが消えないうちに』を書店で見つけました。

 帯に書かれていた「子どものときのことなんて、みんな忘れていく。でも、こどもに忘れられていく友達を書いたこの本を、きみはきっと忘れない」という翻訳家・金原瑞人さんの推薦文にひかれました。読んでみたら、とても愉快で、でも少し怖くて、誰もが経験したことのある人生のきらめきを感じて心が動きました。人間の想像から生まれた少年が、大切な人とその家族を守るために奮闘する、わりとシンプルなおはなしです。

 その中で、主人公のラジャーが言うんです。自分のことを想像してくれた少女が部屋に入ってくると、「いろんな物が動き出す。命が吹き込まれて、想像力で色が塗られて、全部が完璧になる」って。これって、アニメーション映画そのものじゃないか、と思いました。この文学を映画にできないだろうか。いや、僕たちでやるべきだろうって。

――主人公が「人間に想像された少年」というのは斬新ですね。

【西村】そうですね、人間でも幽霊でもロボットでも動物でもない、「人間に想像された少年」の視点で私たちの今を捉える映画を作れないか。2年くらい考え続け、ラジャーの姿が立ち現れました。

 「人間に想像された少年」は、想像の産物ですから、なんでもできそうですけど、例えば想像した人が「空は飛べない」と設定していたら、「空は飛べない」んです。ではなぜ、「空は飛べない」設定にしたのか。理由はなんなのか。「人間に想像された少年」を描くことで、この少年を想像した子ってどんな子なんだろう、という想像をかきたてる。誰にも見えない想像の中に生きる少年ラジャーの物語は、誰にも見えない所で必死に生きる私たち人間の物語になりうるな、と思ったんです。
(次回につづく)

■西村義明(プロデューサー)
 1977年、東京都生まれ。米国留学後、2002年スタジオジブリに入社。宮崎駿監督初のTVCM「おうちで食べよう。」シリーズ(04年、ハウス食品)から製作業務に関わり、次いで『ハウルの動く城』(04年)、『ゲド戦記』(06年)、『崖の上のポニョ』(08年)の宣伝を担当。その後『かぐや姫の物語』(13年/高畑勲)や『思い出のマーニー』(14年/米林宏昌)にプロデューサーとして携わり、2度の米国アカデミー賞ノミネートを経験。15年、アニメーション制作会社スタジオポノックを設立し、代表取締役プロデューサーを務める。『メアリと魔女の花』(17年)、『ちいさな英雄』(18年)、オリンピック文化遺産財団芸術記念作品『Tomorrow’s Leaves』(21年)をプロデュース。


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