腸内環境、女性ホルモンが影響…便秘と肌荒れの関係は?【臨床内科専門医が教える】

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2021年12月08日 21:51  ウートピ

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「本気で腸活」と題し、その具体的な方法について、臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長に連載にてお話しを聞いています。「第1回 腸活事始め…十二指腸、回腸、直腸ってどこ? 何をしている?」では、腸の部位と各働き、食べてから排出されるまでの経路や状態、時間について、「第2回 ストレスフル、憂うつなときに便秘になるのはなぜ?」では自律神経のバランスによること、またセルフケア法について、「第3回 毎朝美便…腸の健康を知る目安は」では、美便の具体的な状態について教えてもらいました。各リンク先は文末を参照してください。

今回は、読者(34歳女性)の質問、「便秘や下痢の前後は肌荒れが激しいように思います。関係はありますか? あるとすればどうしてですか?」について尋ねます。

便秘で腸に悪玉菌や有害物質が増えて肌荒れに

——確かに、便秘や下痢の前後は吹き出物やニキビができる、肌ががさがさする、パックやマッサージなどのスキンケアをしても効果が現れにくいように思います。なぜそうなるのでしょうか。

正木医師:便秘の状態では、大腸に内容物が溜まる時間が長くなっています。そうすると、腸内フローラ(腸内細菌叢)の悪玉菌が増えていきます。悪玉菌は代謝の過程で、体にとって有害な物質を産生する「フェノール類」という細菌を増やします。

フェノール類は腸管から吸収されて血液に乗って全身をめぐります。その一部は表皮細胞に到達して溜まっていき、肌に悪い影響をもたらしてくすみや乾燥につながります。

——「便秘になる→腸で悪玉菌が増える→有害物質を作るフェノール類が増える→腸から血液を介して皮膚に到達して肌荒れを起こす」ということですね。皮膚にはターンオーバーと呼ぶ、定期的に再生する仕組みがありますが、それでは追いつかないということでしょうか。

正木医師:皮膚のターンオーバーにはサイクルがあり、約6週間で新しい細胞と入れ替わります。
有害物質が皮膚に蓄積すると、皮膚はそれを汗や皮脂とともに排出しようとします。すると、ターンオーバーのサイクルが無理に早くなったり、再生の力が低下したりするわけです。この過程で、ニキビや吹き出物、赤み、湿疹ができる、毛穴が開く、ガサガサするなどのトラブルが生じます。

月経前の吹き出物と、便秘による吹き出物の原因は同じ?

——女性は月経前に吹き出物やニキビが現れることが多いですが、便秘が原因の有害物質の影響とは関係がありますか。

正木医師:月経前には肌トラブルのほか、便秘にもなりやすいでしょう。いずれも、月経前に分泌が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響によるものです。プロゲステロンは排卵日から月経直前にかけて分泌量が増えます。

その影響で、この間は、妊娠に備えて水分やナトリウムをため込み、腸のぜん動運動を鈍らせる傾向にあるため、便秘になりやすいのです。

またこの期間は、自律神経の交感神経が優位になりがちです。交感神経が優位なときは腸の消化吸収活動は抑制されるので、これもまた月経前便秘の原因のひとつと考えらえます。

このころ、同時に肌荒れ、むくみ、イライラも生じるでしょう。それらは月経前便秘になる原因と同じで、女性ホルモンの影響です。

——そういえば、月経が始まるとおなかがゆるくなり、肌荒れも改善されるという声が多いです。

正木医師:それは、月経開始から排卵直後まで分泌量が増えるエストロゲン(卵胞ホルモン)の働きによります。エストロゲンはコラーゲンをつくって皮膚を保湿し、潤いを与えます。また全身の代謝を促し、溜め込んでいたものを排出するように作用します。

ただし、更年期のころからこのエストロゲンの分泌量は激減するので、肌は潤いをなくして乾燥し、シミ、シワ、たるみ、くすみと多くのトラブルが生じてきます。

皮膚を老化させる「AGEs」とは

——皮膚を老化させる「AGEs」(エージス。最終糖化産物。Advanced Glycation Endproducts)という物質があると聞きます。

正木医師:便秘で腸の悪玉菌が増えると、血糖のコントロールが悪くなります。体内に糖が増えるということです。その糖はタンパク質にくっついて糖化反応(メイラード反応)を起こし、このAGEsを分泌します。

皮膚は主にタンパク質でできていますが、糖と反応したAGEsが増えると皮膚のバリア機能が低下し、弾力が衰えて、シミ、シワ、たるみ、くすみなどの原因になります。これには、偏食や食べ過ぎ飲み過ぎなどで体内に糖が増えることが関わっています。

ほかにも、体が冷えると皮膚の血流が悪化すること、ストレスが強いと自律神経のバランスが乱れることなどで便秘も肌荒れも起こり、トラブルの要因はさまざまにあります。これらのことから、便秘と肌荒れの関係は、腸内フローラ、ホルモン、食事内容、自律神経などの乱れによって密接に影響し合うと言えるのです。便秘がちな人は、「肌荒れは便秘のサイン」と考えて、まずは便秘のケアを実践しましょう。

聞き手によるまとめ

便秘をすると腸内フローラに悪玉菌が増えて有害物質が発生、皮膚まで到達して肌が荒れる、月経前2週間ほどの期間に分泌が増えるプロゲステロンは便秘も肌荒れも引き起こす、皮膚の成分のタンパク質が糖と反応すると肌を老化させるAGEsが分泌されるなどがわかりました。まずは便秘ケアの腸活が重要であるとのことです。

★お知らせ
正木医師が理事を務める「大阪府内科医会」では、オンライン健康セミナー・第23回市民公開講座「美と健康はおなかから〜腸活のススメ〜」を、2021年12月12日(日)13:00〜と15:00〜の2回開催します。正木医師による講演「きょうから美腸活、始めませんか?」もあり、無料で視聴できます(事前登録が必要です)。申し込み先:https://www.osaka-naika.jp

(構成・取材・文 藤井 空/ユンブル)

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