【桐光学園】「常に挑戦者」として一致団結 節目の大会で「今後の人生に自信と希望を」<第100回高校選手権>

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2021年12月27日 18:10  サッカーキング

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神奈川県予選決勝で試合前に円陣を組む桐光学園の選手たち [写真]=須田康暉
3年ぶりに水色と青のユニフォームが選手権に帰ってくる。中村俊輔(横浜FC)を筆頭に多くのJリーガーを輩出している名門・桐光学園は、過去2年連続で選手権予選決勝に進むも、いずれも涙を飲んできた。一昨年はエースの西川潤(セレッソ大阪)を擁し、インターハイ王者という看板を提げて臨んだが、日大藤沢の前に0−1の敗戦。昨年はDF奈良坂巧(FC町田ゼルビア)を擁したが、桐蔭学園に2−3といずれも接戦の末に敗れた。

 桐光学園OBで、中村が2年時に主将を務めていた鈴木勝大監督は、「今の3年生は決勝で負けている姿を目に焼き付けている世代。だからこそ、今年のチームはこれまでの悔しい思いを発奮材料にして成長をしてきたと思います」と語る。コロナ禍の影響でなかなかチーム練習ができない中でも、選手たちが一つにまとまれるよう、過去2年間の悔しさを思い出させながら、選手たちに自主性を求めてきた。

「合宿や遠征がなかなかできない状況だったからこそ、どうやってチームをまとめるか、全員で同じ方向に向くことができるか。選手たちには『我々は常にチャレンジャー。下から這い上がっていくストーリーしかないんだよ』と伝えてきました」

 鈴木監督の想いを選手たちもしっかりと汲んでいた。今年のチームの心臓であるボランチで主将の山市秀翔(3年)を中心に、選手だけでのミーティングを積極的に行った。山市だけではなく、DFリーダーである馬場拓己(3年)、左サイドアタッカーの三原快斗(3年)らも意見を出し、取りまとめた考えを鈴木監督に伝えるなど、自覚ある行動を取るようになった。

 インターハイ予選こそ準々決勝で相洋にPK負けを喫してしまったが、「日大藤沢、桐蔭学園に相洋も加わったことで、よりチャレンジャーだという意識は強くなった」と鈴木監督が語ったように、ここからさらにチームはまとまりを見せた。

「春先ではレギュラーとそうではない選手の中で序列があるように見えましたが、相洋戦以降はその序列がなくなって、中心選手に対しても意見が言えるような環境になった。逆にうまくいかない選手や悩んでいる選手に対しても声をかけたり、手を差し伸べる選手が増えてきた。ポジティブな考えがチーム全体としてできるようになったことで、『冬は這い上がっていく』という共通認識が深まっていったと思います」(鈴木監督)

 今予選はまさにその意識が結果として現れた。準決勝では東海大相模を相手に一進一退の攻防を見せた。山市が大学受験のために前半は不在の状態だったが、代わりにスタメンで出たMF岩根裕哉(3年)が攻守に関わって奮起を見せると、終盤に山市が投入されてさらにチームの士気が高まった。76分にエースストライカーの田中英泰(3年)が鮮やかな決勝弾を叩き込んで、4年連続の決勝進出を果たすと、決勝では相洋を相手に安定した戦いぶりで2−0の勝利。3年ぶり12回目の選手権出場を手にした。

 鈴木監督は、「正直、インターハイを制した時よりも嬉しかったです。決勝前は『3度目の正直』か、『2度あることは3度ある』のどちらに転ぶのかという不安がありました。でも、選手たちが勝ちたい、優勝したいという気持ちをピッチで出してくれたし、大きく成長した姿を見せてくれて頼もしかった」と選手たちを称えた。この世代が初めて臨む選手権は記念すべき100回大会となった。待ちに待った大舞台に向けて、鈴木監督はこれからのストーリーを語ってくれた。

「選手たちはこの1年間で悔しさを糧に成長すること、目標をぶらさずに突き進む強さと重要性、そして他者に手を差し伸べる強さと優しさを学んだと思う。だからこそ、それを選手権の舞台でプレーで表現してほしい。最後までやり切って、見たこともない景色を見て、彼らの今後の人生における自信と希望を100回大会で見出してほしい」

取材・文=安藤隆人

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