『王様ランキング』が問いかける弱さと強さ ボッジと共に追い求めたい世界への希望

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2022年01月06日 10:01  リアルサウンド

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『王様ランキング』(c)十日草輔・KADOKAWA刊/アニメ「王様ランキング」製作委員会

「自分を無力だなんて思わなくていい!」


【写真】『王様ランキング』ボッジらの場面写真


 そんな心を打つメッセージを投げかけてくれるアニメ『王様ランキング』(フジテレビ系)の第2クールが、いよいよ1月6日深夜からスタートする。第1クール(1話〜11話)を見逃したという方もAmazon Prime Videoをはじめとした様々な配信サイトで追いつくことができるので、ぜひこの記事を目にした機会に視聴してほしい。


 新しい年を迎えたタイミングで「何かを始めたい」「自分を変えたい」「苦しい“今”を打破したい」と望む全ての人の背中を押してくれる作品になってくれるはずだ。


■強さの始まりは、弱さと向き合う勇気


 『王様ランキング』におけるキーワードは「強さ」だ。物語内で語られる“王様ランキング”とは、国の豊かさ、抱えている強者どもの数、そして王様自身がいかに勇者のごとく強いか、それらを総合的にランキングしたもの。


 ところが、主人公のボッジは王様ランキング7位の父・ボッス王の第一王子として生まれたにもかかわらず、生まれつき耳が聞こえず、言葉も話せず、剣を振ることもままならない非力な体だった。


 そんなボッジを見て、誰もが「王様になるなんて無理だ」「ましてや強い王になるなど……」と噂する。さらに常に笑顔を絶やさず、何も悩みなどないように見えるボッジに、ときには直接心ない言葉をかける場面も。


 耳の不自由なボッジだが、だからこそ周囲の声を敏感に感じ取っていた。人が見ていないところで大粒の悔し涙を流し、それでも強くなりたいと諦めない。文武両道で将来を有望視された異母兄弟のダイダに王位が継承される事態になっても、自分の可能性を信じて疑わない。


 そんなボッジの純粋な心の「強さ」に惹かれたのがカゲだ。カゲもまた根絶やしにされた暗殺集団「影の一族」の生き残りという残酷な背景を背負う少年だった。強制的に家族を奪われ、身寄りもなく、理不尽に追われる日々を過ごしてきた。


 信じては裏切られ、一人ぼっちで生きてきたカゲ。王子と暗殺集団の生き残り。いずれも生まれも育ちも選ぶことのできなかったボッジとカゲは、それでも生きていかなければならないという過酷な運命を共通点に仲間意識が芽生えていく。


 ボッジが世界一強い王様になること、そしてその活躍を陰ながら支える存在になること……そんな夢を追い求めながら旅する2人は、ついに冥府の王・デスハーの弟でデスパーと出会う。デスパーはボッジの力の無さはどうにもならないという残酷な宣言をしながらも、だからこそ彼が強くなる方法を模索していくのだった。


 強くなりたいと願えば願うほど、自分の弱さと向き合わなければならない。それはとても辛く苦しいことだが、そこからが現実的な夢のはじまり。残念ながら、この世は平等ではない。国も親も選べない。生まれ持ったものが違うのに、同じ武器で戦っても勝つことは難しい。その厳しい現実を受け止めるのが、強くなるために必要な「勇気」であり、最初の「強さ」だと気づかされる。


■それぞれの「強さ」が、世界を豊かにする


 一方で、ボッジとは対照的に順風満帆なように描かれる異母弟のダイダだが、彼もまた違う形で「強さ」について学んでいく。耳の聞こえない兄のボッジのみならず、城下町で見かけた目の見えない男に対しても、どう理解していいのか苦しむのだった。


 心身ともに健康で武術にも長けたダイダは、自分のことを強者として疑わない。だが、そんなダイダに指南役は「それは彼と同じ立場になったら生きていけないということか?」と問われるシーンが印象的だった。一般的に弱者だと見られる境遇になっても生きている彼らのほうがよっぽど強いのではないか、と。


 「強さ」とは何か。多くの他者を跪かせる「強さ」と、絶望に打ちひしがれることなく自分の人生を生きていく「強さ」。王様ランキングの上位に君臨するためには、抱える強者の数、そして王様自身の「強さ」に加えて、その国の豊かさも総合的に評価されるとあった。選ぶことのできない様々な背景を持った人たちも笑顔で暮らせる国を作るということ、それが本当の強さなのだと理解できる強者はなかなかいない。


 「弱さ」から「強さ」を目指すボッジと、「強さ」から「弱さ」を知っていくダイダと。2人の兄弟は真逆のルートで己の「強さ」とは何かを探っていくのが、この物語の大きな見どころと言えそうだ。そして、同時にそれを見守る視聴者自身にも問いかけられるのだ。自分の「弱さ」と「強さ」について。


 誰もが「強い」と思っていたボッス王は、その強欲さそのものが「弱さ」として見える瞬間がある。対して、ダイダの母でボッジの継母であるヒリングは攻撃力は「弱い」かもしれないが、我が身を省みず必死に息子たちを守ろうとする母性の「強さ」に胸を打たれる。私たちが表面的に見ている「強さ」「弱さ」だけではないものが、この世界にはあるということ。


 だからこそ、「自分を無力だなんて思わなくていい!」のだ。それぞれの人生をそれぞれが強く生きることで、誰かの「強さ」につながっていく。自分も強くありたいと「弱さ」と向き合うきっかけをもらえる。そうして、色とりどりの世界が強く豊かな世界になるのではないかと、この物語を通じて勇気をもらうことができるのだ。


 果たして、王様ランキングの上位に立つのは誰なのか。本当の「強さ」とはどうやって育まれていくのか。絶望しやすい混乱の時代を生きる今、ボッジの成長と共に豊かな世界への希望を追い求めたい。


(佐藤結衣)


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  • 典型的な冷酷な継母に思えたヒリング王妃がめちゃくちゃ愛情深い母親で驚いた。
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