40代ロスジェネ世代メディア関係者語る22年の希望と絶望 菅前首相と岸田首相の評価

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2022年01月16日 11:02  日刊サイゾー

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写真岸田文雄
岸田文雄

 コロナ禍が3年目に入った2022年。感染力の強いオミクロン株の登場で、日常生活の回復はまたも先送りとなってしまった。年明けには5年ぶりの大幅円安となり、日本経済の先行きには暗雲が垂れこめている。

 この状況を、2000年前後に社会に出て好景気を知らない「ロスジェネ世代」はどう見ているのか。出版社出身でビジネス系ネットメディア編集者のAさん(男性)、元新聞記者でライターのBさん(女性)、IT系ネットメディア編集者兼ライターのCさん(男性)の40代トリオに、2021年の振り返りと2022年の展望を語ってもらった。

左翼界隈に衝撃を与えた「ネットと現実との差」

――事前に「2021年の5大ニュース」のアンケートをしたところ、3人で共通していたのは「コロナ」「東京五輪」「衆院選」の3つでした。

A まあ、これは固いんじゃないですか。

B では、これで三題噺ということで(笑)。

A 前年からくすぶっていたコロナの感染者数が、8月に爆発的に増えて、野党を中心に五輪反対運動が起こった。しかし当時の菅首相が再延期を拒否して開催を強行したので、マスコミが騒ぎ、支持率が落ちた菅さんは自民党の総裁選立候補を断念した。

C 新しく決まった岸田総裁に対抗して、立憲民主党は日本共産党と共闘して衆院選に臨んだけど、事前のネットでの盛り上がりに反して議席を大きく減らしてしまった…。オチはないですけど。

A 2021年はそんな流れでしたよね。菅さんや岸田さん、野党に対する評価は、人によって違うと思うけど。

B 野党共闘は、結果的に議席を減らしたから失敗と批判されてるけど、候補者調整をしなければ議席はもっと減っていた。なので私は評価をしているんだけど。

――枝野さんは、党首を辞任する必要がなかったってことですか。

B 事前に予測されていた問題には、ある程度手が打てていたと思います。

A 支持者の事前の期待が、あまりにも高すぎたのでしょう。僕は5大ニュースのひとつに「ネット左翼の敗北」を挙げたけど、ツイッターでの政府批判の盛り上がりが選挙結果に結びつかなかったことに、界隈の人たちはショックを受けていました。

C 野党は支持者層とともに、エコーチェンバーに閉じているのでしょう。岸田総裁の「財政再建派」と高市政調会長の「積極財政派」の対立が自民党内で盛り上がる中で、臨時国会の野党が相変わらず「モリカケ桜」。これじゃ存在感が薄れるのも当然だなと思いました。

MIKIKO先生は五輪組織委相手に訴訟を起こすべき?

B それでいうと、私は野党支持者だし、5大ニュースに「ジェンダー」を挙げさせてもらったけど、このテーマが衆院選で盛り上がらなかったことに虚しさを感じたな。

A それだから立憲共産党は負けたんだよ。ジェンダーで腹は膨れない。

B いや、ジェンダーは死活問題よ。私は、東京五輪の開会式の「MIKIKOチーム案」が電通出身のおじさんたちの汚いやり方で潰されたのを報じた文春の記事が、2021年のトップニュースだと思ってるんだけど。

C 40代女性のMIKIKO先生や椎名林檎が作る開会式は、僕も見たかったなあ。小山田問題とかもあって本番は本当にひどいことになっちゃったけど、あれは2021年の日本の劣化を象徴する出来事だった。

B やっぱり古い「昭和のおじさん文化」をぶっ壊さないと、新しい日本はやってこないのよ。だから五輪の開会式は、私たちの世代でそれを実現できる凄くいいチャンスだと本当に楽しみにしていたのに、こんな形で頓挫するなんて。

A 言いたいことは分かるよ。でも、選挙でジェンダーなんて打ち出したってムダだよ。それに開会式の問題は、まずは発注者による優越的地位の濫用と捉えるべき。それを「女だからなめられた」で押すのは、問題のすり替え。

C 佐々木さんとMIKIKO先生が受発注の関係にあったかどうかは分からないけど、元電通としてはいつものノリでやったんでしょうね。発注者問題でいえば、野村ホールディングスが日本IBMに敗訴確定したのも2021年でした。これでめでたく「仕様凍結後に変更要求を多発してると、プロジェクト失敗の責任を取らされますよ」という脅し文句が使えるようになった(笑)。

B それを言うなら、MIKIKOさんが損害賠償請求の裁判で勝てば「おじさんの論理で押し切ろうとするなら、佐々木さんみたいに吊るし上げられますよ」と反論できるようになるんじゃない? いまからでもやってくれないかな。

A 判決には「ジェンダー」の言葉なんて出てこないと思うけど。まあ、筋論は別として、本当に五輪組織委員会相手に訴訟を起こすようなことがあれば、陰湿な組織の論理が絡んだ泣き寝入りは減るかもしれないね。

――テック系のCさんは、少し毛色の違ったニュースを挙げていましたね。

C 僕は「Web3」を挙げたんですけど、別にブロックチェーンや分散型に限らなくても、いまなら「メタバース(仮想空間)」という言葉で言い換えた方が分かりやすいかも。

A 2021年は、フェイスブックがメタに社名を変更した年でしたが、Cさんはどういう評価をしてるんですか。

C 20年くらい前に「セカンドライフ」というサービスが話題になって、すぐ廃れましたけど、あんな感じで盛り上がって、またすぐ冷めるんじゃないですか。インフラ含め技術的にはかなり進んだとは思うけど、そういう波が何度も押し寄せたり引いたりして、僕らが現役を退くころにようやく実用に近づくと。

B 私たち世代だと、ゲームは当たり前にやってるけど、それはそれ、現実は現実でやってきたので、生活全体でメタバースに没入できるとは思えないんですが。

C 周囲の業界人たちも、いまさらながら「現実世界って、解像度や情報量がハンパなくない?」とか言い出してる(笑)。

A ビジネス面では、新しいバズワードは投資のきっかけになるので、安易に消費しないで大事にしたいと思うんだけど。あと、いまの10代20代の子たちが僕らと違う感覚でメタバースに向かうのであれば、商売としては冷めずに追っていきたいし。――と、去年の話はこれくらいにして、2022年はどうなると思いますか?

B 今年は参院選があるんだけど、たぶん自民党がまた勝つと思う。さっきAさんが「ネット左翼の敗北」と言ってムッとしたけど、いわゆるリベラル系の人たちの「正義の押し付け」が嫌われてるのは認めざるを得ない。本来のリベラルとは逆のことをしてるから仕方ないんだけど、これからのリベラルをどういう形で整理して行動していくかは、私には仮想空間とかよりもずっと興味がある。

団塊世代とデジタルネイティブとの間で何を目指す

――岸田首相の評価とか、元政治部記者としてどうですか。

B 私の周辺の女性には評判がいいというか、悪評はあまり聞かない。でもそれって、波風を立てないようにしてるだけで、必ずしも有能の証ではないですよね。参院選には、そういうアプローチが一番有効なんだと思う、悔しいけど。

C 「危機のときには、拙速、やりすぎの方がまし」とか言ってたけど、ただ批判されないように無難に振る舞ってる感じはしますよね。

A リーダーシップとは、一時的に不満が高まっても、メンバーを最終的に納得できるところまで連れていくこと。その意味で、菅さんは正しいリーダーシップを発揮したと思います。長いこと官房長官として政権内部を見ていて、ここは何が何でもやる、と決めたことはやりとげた。最後はコロナや五輪といった重荷も加わって、疲れ切った表情が国民から嫌われてしまったけれど。

C いまの時代は「不言実行」的な行動や成果より、「説明責任」というか、弁舌さわやか、誰かに嫌われることを言わないことが一番大事で、その点で岸田さんは適任ですよね。でも、たぶん岸田さんでは、デジタル庁の新設はできないし、種苗法改正とか日本学術会議の改革のような波風が立ちそうなことは、これからもやらないと思う。

A ほんと、菅さんにやっておいてもらって助かったと思うことは多いですよ。一方で岸田さんは、株価が下がるようなことばかりすると思うけど、日本国民のほとんどが「投資より貯蓄」ですから支持率には影響がない。むしろ投資家を吊し上げた方が庶民の人気が出ると思ってるんでしょう。野党はいつまでも「昭和の正社員主義」みたいなことを言ってるし…。2022年は与野党ともに、守旧的な雰囲気が蔓延しそう。

B 私たちの親世代である「団塊の世代」が後期高齢者になる時代ですからねえ。政治家は国民の写し鏡です。

C 昔の学生運動を懐かしみながら「アベ政治を許さない」と盛り上がった後で、いまさら変革なんかしたくない、穏やかに最期を迎えたい人たちの意向を最優先にする時代が、これから何年続くんでしょうか。

A 彼ら昭和世代のお世話を終えた後で、我々はメタバースにも乗り遅れ、ネットネイティブな下の世代に突き上げられて居場所を失っていく。

B 椎名林檎は「簡素な真人間に救いある新型社会」を樹立しようと『緑酒』で歌ってたけど……。やっぱり東京五輪の開会式が、私たち世代が存在感を示す最後のチャンスだったんだよなあ。

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  • ほぼロスジェネ関係ない話でマスコミに勤めている人間をロスジェネで括っても更に意味がない。
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