Time Machineは基本的に、システム全体を対象としたバックアップ機能だ。こうすることで「バックアップし忘れ」という事態を防ぐことができるのだが、一方でバックアップに必要な容量が大きくなるという短所もある。この問題が大きく影響しがちなのが、数GBを超える大きな容量のファイルの存在だ。
Time Machineでは差分バックアップを行うことは以前に紹介したが、これはあくまで「そのファイルが存在する/しない」状態だけを対象としたもので、ファイルの変化まではカバーしていない。例えば「hoge.docx」という1MBのファイルがバックアップされており、これを編集して2MBになったとき、次にバックアップされるのは+1MBぶんの部分ではなく、2MBになったhoge.docxのファイルそのもの、つまり2MBぶんとなる。
Time Machine最も相性が悪いのが、Parallels Desktopなどの仮想デスクトップソフトだ。仮想マシン(VM)用のOSを保存したイメージファイルが1つの巨大なファイルだった場合、ちょっとVMを起動して「あいうえお」と書いただけのテキストファイルを追加して終了すると、OSやアプリを含んだVMイメージ丸ごと(数GB以上)がアップデートされてしまう。ほかにも1ファイル型のデータベースファイルやディスクイメージファイルなども、Time Machineと相性の悪いファイルだ。
Time Machineの対象から除外したファイルは、当然バックアップされないので、何かあってもTime Machineから救うことはできない。これらのファイルはTime Machineとは別に、もっと緩やかな間隔でバックアップすればいいだろう。手動でやるなり、別のバックアップソフトを使うなり、そこはユーザーの自由だ。いずれにしても、クラウドにバックアップがある場合を除いて、ローカルにしかないファイルはバックアップしておくのが、何かあった時に後悔しない唯一の手段だ。