正直、俺たちはまだ60代前半だ。身体的にもとくに問題はなく、介護が必要なわけではない。わざわざ将来を見据えて、今から老人ホームに入る必要性を感じなかった。しかし……。
未来は何が起こるか分からない。これから娘が負うかもしれない、年老いていく私たちへの心配を少しでも軽くしてあげたい。
きっと妻はそう思ったのだろう。だったらその気持ちを尊重する以外の方法は俺にはなかった。
寂しいけれど、これが俺たちがタカコに「最後」にしてあげられることだから―――。
俺たちは施設への申し込みを決めるまでは「いつも通り」に娘たちに接することにした。
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「お父さんと老人ホームへの体験入居に行ってきて、申し込みをすることに決めました」
と娘にLINEを送ったのだった。
【第4話】へ続く。
参考:厚生労働省「有料老人ホームの概要」
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・まゆか! 編集・木村亜希