世界3例目の顔面移植を受けた男性、事故から20年「手術、ドナーに感謝」(米)<動画あり>

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2022年01月24日 23:42  Techinsight Japan

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写真米陸軍で働いていた事故前のミッチさん(画像は『Mitch Hunter 2021年12月28日付Instagram「My transformation after having a face transplant.」』のスクリーンショット)
米陸軍で働いていた事故前のミッチさん(画像は『Mitch Hunter 2021年12月28日付Instagram「My transformation after having a face transplant.」』のスクリーンショット)
アメリカ在住のミッチ・ハンターさん(Mitch Hunter、41)は2001年に顔を激しく損傷する事故に遭い、2011年に世界で3例目となる顔全体(フルフェイス)の移植手術を受けた。手術から10年が経ち、41歳になったミッチさんは昨年末にTikTokをスタート、自身の経験を率直に語り大きな反響を呼んでいる。

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米インディアナ州に住むミッチ・ハンターさんは今から20年前、友人の男性が運転する車に乗っていて大事故に巻き込まれた。車は電柱に激突し、同乗していた女性が車から出た直後に高圧電線が落下。ミッチさんは女性を押しのけて救ったが、自らの体には1万ボルトの電圧が5分間流れ、左脚の膝から下と右手の小指、薬指を失い、顔に激しい火傷を負った。「事故30分前からの記憶は一切ない」というミッチさんは昏睡状態に陥り、事故から27日後に奇跡的に目を覚ました。

ミッチさんが顔の移植手術を受けたのは事故から10年が経過した2011年のことで、TikTokでは新しい顔を得るまでの10年を「地獄のような日々だった」と明かし、このように説明している。

「10年間で皮膚の移植手術を50回以上受けてね。あの時期が一番つらかった。別人のようになった自分がまるでゾンビのように思えて、事故から5年間は家から出ることもなかった。やっとのことで外出すると、僕の顔を見て子供たちが怖がるし、どこにいってもジロジロ見られ冷たい視線を感じた。事故で受けた脳の損傷と心的外傷後ストレス障害(PTSD)が、メンタルヘルスに大きな影響を及ぼした。正直なところ、体よりも心の回復に時間がかかったね。」

「顔の移植手術を受けたいと思うようになったのは、恋人が妊娠したから。生まれてくる子供に怖い顔を見せたくなかったんだ。」

こうして幸運にもドナーが見つかったミッチさんは2011年4月、マサチューセッツ州ボストンのブリガム・アンド・ウイメンズ病院(Brigham and Women’s Hospital、以下BWH)でアメリカでは2例目、世界では3例目となる顔全体の移植手術を受けた。移植担当チームは医師、看護師など30人以上にもなり、14時間以上にわたる大手術となった。

TikTokではドナーについて多くの質問があり、ミッチさんは次のように述べている。

「ドナーは自分より1歳年上で、髪の色が自分と似ている。写真が見たいという声があがっているけど、名前や写真を公表することはできない。」

「ただドナーの家族とは手術後2週間で面会し、今も頻繁に連絡を取っている。僕にとっては第二の家族のような存在だよ。ドナーの死があって初めて移植があるわけだからね。心から感謝している。」

さらに「鏡の中に見えるのは自分? それともドナーの顔? 以前と違うところはある?」という質問には、こう答えている。

「ドナーの顔と僕の顔とは全く違うよ。僕は事故で鼻梁が剝ぎ取られてしまったけど、顔を決める骨格はほとんど損傷を受けなかった。だから鏡の中に見えるのは自分だね。」

「手術後6日ですでに、くすぐったいという感覚があった。最初の1年は顔の腫れが酷く、マスクをつけているような感じだったけど、腫れが落ち着いてからは熱い、冷たい、痛いなど全ての感覚が戻ってきて本当に嬉しかった。正直なところ、手術がこんなにうまくいくなんて思っていなかったからね。もし事故にあわなかったら今とは違う顔になっていたとは思うけど、移植をした後でも自分の顔だと思える。」

「不思議なことに僕の顔は、手術から10年経ってもあまり年を取っていないように感じる。ただ今後どうなるのかは未知の世界でわからない。一つ言えるのは、僕の手術チームは最高だということだよ。手術代が気になる人がいるようだけど、僕は1999年から事故が起きる2001年まで米陸軍に所属していたから、米国防総省がサポートしてくれた。」

「元の顔と比べて違うところをあげるとすれば、えくぼがあることかな。それに唇と鼻が痛みに敏感で、目を完全に閉じることができない。頑張って目を閉じようとするとスピーチに影響が出てしまうんだ。それに目からは過剰な水分が出てきて、まめに拭かないと泣いているように見えてしまうし、顔がこわばって歯を見せて笑うことができない。普通の状態にするにはまだ形成手術が必要だけど、あくまでも自分が望めばという話。ただ今後小さな手術を数回予定しているよ。」

「顔の髭についての質問も多いけど、髭は普通に生えてきて、電気シェーバーで剃ることもできる。面白いことに僕の毛のDNAはドナーと自分のミックスでね。ちなみにまつ毛は自分のものだよ。」


そして顔の拒絶反応については「現在、3種の免疫抑制剤を服用しており、一生継続することが必要」と明かし、このように続けた。

「拒絶反応はこれまで数回経験しているよ。顔が日焼けしたように赤くなり、かゆくなる。拒絶反応のステージは1から4まであって、ステージ3までは薬を飲んで治療をすれば元に戻る。ただステージ4になると再び移植が必要になる。実は2週間前くらい前まではステージ2だったけど、今は正常だよ。」

「気を付けなくてはいけないのは、服用している薬の副作用で高血圧になりやすいということ。悪性リンパ腫や皮膚がんを発症する可能性も高いけど、今のところは大丈夫だ。」

そして最後に、同乗していた女性についてはこのように述べた。

「多くの人が僕を“ヒーロー”と呼ぶけど、自分は一人の女性の命を救っただけ。ヒーローなんかじゃないよ。」

「彼女とはしばらくの間連絡を取っていたけど、最近は疎遠になってしまったね。いい機会だから、こちらから連絡しようと思っている。ただ車の運転手とは事故以来話をしていない。」

実は運転手は自分だけ先に車から脱出してその場を去ったそうで、ミッチさんは「事故から20年経ってもPTSDに苦しんでいる。でも今の精神状態はこれまでの中ではベストの状態だと思う。手術をしたからこそ今の自分がある。以前のようにじっと見られることもなくなったし、生活の質もあがった。ドナーには感謝している」と述べ、「みんなに望むことは臓器移植に登録して欲しいということだね」と続けた。


ちなみに世界ではこれまで、約45例の顔面移植(顔一部と全体)が行われており、顔の一部の移植が世界で最初に行われたのはフランスで2005年、全体の移植の1例目はスペインで2010年、2例目はアメリカで、ミッチさんが手術をした約1か月前の2011年3月にBWHのチームが行った。

なおミッチさんはTikTokを始めてまだ1か月足らずだが、フォロワーは5万9千人を超えている。手術後10年が経った現在は3児の父でもあり、今後は本の執筆も考えているという。



画像は『Mitch Hunter 2021年12月28日付Instagram「My transformation after having a face transplant.」、2017年12月2日付Instagram「There’s way to many self proclaimed badasses out there.」、2021年11月7日付Instagram「Hello」、2017年12月11日付Instagram「Scroll through for the best glowup you will ever see.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

このニュースに関するつぶやき

  • 3種類の免疫抑制剤を呑んでいるってことは・・・コロナとか感染症に罹ったら危ないかもしれませんね。お大事に。
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