長友佑都、百戦錬磨の経験を生かす時 若手から刺激受けW杯イヤーを突き進む

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2022年01月25日 08:10  サッカーキング

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写真国内組合宿での長友 [写真]=野口岳彦
国内組合宿での長友 [写真]=野口岳彦
 国際Aマッチ歴代2位の131試合に出場し、自身4度目となるワールドカップ出場を目指している長友佑都。彼にとって勝負の2022年、カタールW杯イヤーが幕を開けた。

 新シーズン始動の舞台となったのは、1月17日から21日に行われた国内組の日本代表合宿。2008年5月のコートジボワール戦で初キャップを飾ってから14年。長友が国内組のみの代表活動に参加したのは、2010年4月のセルビア戦以来である。当時は楢崎正剛、中澤佑二ら年長者に囲まれてプレーしていたが、今はもちろん最年長。東福岡高校の後輩にあたる荒木遼太郎は16歳下、トレーニングパートナーで参加したチェイス・アンリに至ってはなんと18歳も年下だった。

「アンリとは何歳違うんだろう…、20歳近く違うんですよね。最近の高校生が何を考えているのか、何が流行っているのか、いろいろ話したら面白いですよね。楽しかったし、僕も青春に戻りましたよ」と長友本人も茶目っ気たっぷりに笑ったが、ガムシャラに這い上がろうとしていた若き日の自分に思いを馳せる好機になったのではないか。



 つねにチャレンジャーとして高みを目指していかなければ、いつトップ選手の座から陥落するか分からない。そういう危機感を持って5日間、全身全霊を注いだはずだ。

 実際、長友を取り巻く環境は年々、厳しさを増している。2018年ロシアW杯の頃も「おっさん」と呼ばれ、世間の批判を跳ね返そうと躍起になっていたが、時はさらに4年進んだ。今では30代後半に差し掛かり、世代交代論はより一層、高まっている。

 さらに昨年は、欧州での新天地を思うように見出せず、大いに苦しんだ。2020−21シーズンを過ごしたマルセイユではリーグ25試合に出場。欧州5大リーグで完全復活を果たしたはずだったが、コロナ禍で移籍市場が停滞。長友のような高年俸のベテランには色よいオファーが届かなかった。結局、11年ぶりに古巣であるFC東京に加入し、日本復帰を決断したものの、約4カ月間公式戦から遠ざかったことが響いたのか、最終予選でのパフォーマンスもやや重苦しい印象が拭えなかった。

 一例と言えるのが、11月のオマーン戦の前半だ。相手が自陣に引いて守っていたため、長友が高い位置を取る回数はかなり多かったが、敵をはがしきれずにボールを戻す場面が目立った。タテ関係に位置した南野拓実が中央寄りでプレーしていたため、守備意識を高め、リスクを最小限にとどめたいという考えが強かったのかもしれないが、数年前の彼なら一瞬のキレと俊敏性、思い切りのよさでマークをはがしていた。見る者の多くが「彼ならもっとできるはず」という感想を抱いたのではないだろうか。



 加えて言うと、後半から出てきた中山雄太がクレバーな仕事ぶりで三笘薫をフォロー。自らも先制点の起点を作った。となれば、どうしても大ベテランへの目線は厳しくなる。そこが年長者の辛いところ。ここまでの最終予選6戦のうち5戦で途中交代という現実も重なり、逆風は強まっていると言っていい。

 森保一監督もその雰囲気をいち早く察知。「いろんなデータを見ても佑都のパフォーマンスで批判を受けるような数字は出ていない」とネガティブな見方を一蹴した。「実力もそうですけど、苦しい最終予選の中で、どんな時も自分を高めるために前向きに戦い、周りに対してもポジティブな雰囲気を出してもらえる。それはすごく有難いこと」と絶対的な信頼感も口にした。

 指揮官の期待に応えるべく、本人も一段と気合を入れて2022年を迎えたはず。その心意気は国内組合宿では色濃く出ていた。左SBとしての安定感や攻守両面での貢献度、周囲への影響力含め、やはり「長友なしでは最終予選を戦い抜けない」という印象を抱かせたのは確かだ。だからこそ、この流れを加速させ、27日と2月1日に迫る中国、サウジアラビアとの2連戦で明確な結果で示してほしい。それが代表14年目を迎えた左SBへの切なる願いだ。

 今回は絶対的主将である吉田麻也がケガで不在。代わってチームを力強くリードする人間が求められている。アルベルト・ザッケローニ監督時代、2014年3月のニュージーランド戦で自らキャプテンを志願し、「エゴを出し過ぎた」と反省した長友は、それ以来、目立った役割を担わずにここまで来た。が、今回は百戦錬磨の経験値をいかんなく発揮すべき時。腕にマークを巻いてもいいのではないか。



 もちろん決めるのは森保監督で、大迫勇也や遠藤航といった他の候補者もいる。ただ、フィールドプレーヤー最年長の彼にはそれだけの資格が十分にある。周りを鼓舞し、自身のパフォーマンスもこれまでの最終予選6試合をはるかに超える高度なレベルに引き上げ、さらにチームも勝利に導くことができれば、まさに理想的なシナリオと言っていい。

 そうやって右肩上がりに調子を上げ、最終予選を突破し、4度目の世界舞台に立つことこそ、彼の行きつく先だ。

 過去に4大会連続というのは川口能活、楢崎の2人だけ。フィールドプレーヤーは皆無だ。遠藤保仁の持つ最多キャップ数151試合到達は少し難しいかもしれないが、W杯出場回数という偉業達成は視野に入ってきている。長友佑都にはこの1年を全力で駆け抜け、前人未到の領域に辿り着いてほしいものである。

取材・文=元川悦子
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