神野大地が箱根駅伝で注目したランナー5人とその走りを分析。「めちゃくちゃ攻めの走りで衝撃的」だった1年生とは?

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2022年01月25日 11:31  webスポルティーバ

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 今回の箱根駅伝は、往路は激戦となったが青学大が圧勝し、2年ぶり6度目の総合優勝を果たした。ただ、区間ごとの局地戦は激しい競り合いが続き、個々の選手が大きくクローズアップされた大会でもあった。そこで、青学大OBでプロランナーの神野大地に、箱根を走った210人の選手のなかで将来性がある選手、次の箱根に期待したい選手を5名、挙げてもらった。

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★田澤廉(駒澤大3年)
 田澤選手の走りは、自然と前傾姿勢が保たれていますが、それはトレーニングで完成したというよりも生まれつき、天性のものだと思います。また、強気な発言が目立ちますけど、言ったことをそのまま実現して結果を出していくところを見ると、相応の取り組みをしていることがわかりますし、メンタルも相当強いなと感じます。意識も非常に高く、国内ではなく、常に世界を見すえています。12月の1万mの記録会では世界陸上の参加標準記録をターゲットにしていましたし、狙った試合は外さない。僕が大学生の頃は、実業団の選手に本気で勝とうとは思ったことがなかったですし、田澤選手のように学生のうちから世界へという気持ちも持てませんでした。そういう意味では、意識、実力ともにこれまでの学生界にいないレベルの選手ですね。

 今回の箱根駅伝では2区を走り、1時間6分13秒で区間賞を獲得しました。今回、ひとりで先頭を走れたおかげで、いろんなものが見えたと思います。5分台には14秒足りなかったですが、振り返った時に、あそこで休まなければとか、あそこでもう少し頑張っていればとか、把握できたでしょうし、どのくらいでいけば5分台が出るのかというのがわかったと思うんです。最後は、上りなので、3分10秒ちょっとかかっていたと思うんですが、ラスト3キロは9分30秒でいけば早いと言われています。ラストでどのくらいしんどくて、どのくらいかかったのかもわかっていると思うので、次回の箱根ではその部分を修正して、1時間5分台を出す田澤選手を見てみたいですね。

★丹所健(東京国際大3年)

 2年生の時までは、それほど目立った実績はなかったんですけど、今シーズンの活躍はすごかったですね。出雲駅伝では3区でトップに押し上げる走りで優勝に貢献し、全日本大学駅伝でもケガを抱えながら6区区間賞の走りで、シード権を獲得しました。箱根駅伝では、3区で太田蒼生選手(青学大1年)に最後は抜かれてしまいましたけど、トップに立ち、彼の引っ張る走りからは本当の強さが伝わってきました。記録会やレースでも留学生や外国人選手の前に出て、積極的に走る姿を見たことがあるので、たぶん気持ちも非常に強い選手だと思います。

 走り方も非常に特徴的です。

 スマートな走りというより、大きな筋肉を活かしたダイナミックな走りをしています。体が筋肉質で、腰から脚周りの筋肉は大学生の域を超え、社会人のマラソン選手が行なうような走りこみや、ウェイトトレーニングをやって仕上げたような体つきだと思いました。筋肉が大きければ大きいほど操るのが難しいんですが、それをうまく使えているのもすごいところ。丹所選手の体つきは大きな武器です。

 今からマラソンをやりたいという気持ちがあれば、仮に僕が指導者なら挑戦をすすめることができるだけの体ができています。田澤選手はトラックで世界に挑戦できると思うけど、丹所選手はマラソンで今後、活躍が期待できる選手のひとりですね。

★平林清澄(國學院大1年)
 出雲駅伝でアンカーを走る(区間5位)姿を見た時は、衝撃的でした。僕が中学生の時のような細い体つきなんですけど、めちゃくちゃ攻めの走りをしていたんです。全日本大学駅伝でも7区3位という結果を出し、箱根駅伝では9区でした。この時は、10位で襷を受けてシード権ぎりぎりのレース展開をしていたんですけど、区間2位の走りで5位に順位を押し上げてシード権をほぼ確実しました。1年生ながら3大駅伝すべてで大事な区間を任され、しかも1本だけではなく、3本のレースすべてで結果を出したのは本当に力がある証拠です。実際、1年生が3大駅伝全てを走るのは、体力的に非常にきついです。

 それに試合の走りを見るだけで、日常が思い浮かぶ選手ってほとんどいないです。

 平林選手の出雲駅伝の走りを見た時は、他の選手もみんな努力しているけど、彼の努力や陸上に対する熱量はまた一段階違うのではないかと思わされました。きっとラクなほうに流されることもないでしょうし、学年があがっていくごとに周囲に与える影響がどんどん大きくなっていくと思います。今後の走りがすごく楽しみなので、インスタを僕からフォローしたんです。すぐに平林くんからフォロー返しがあったんですが今、そのくらい一番気になる選手です。

★太田蒼生(青学大1年)
 以前から太田選手のことは、かなり自分に自信を持っているタイプで、出雲駅伝や全日本大学駅伝の選考の時は、「自分は走れるので監督、選んでください」というぐらいの自信、勢いがある選手だと聞いていました。出雲と全日本では出走はなかったので、彼の自信が本物なのかわからなかったですし、箱根駅伝で3区にエントリーされた時は、正直、当日の区間変更もあるのかなと思ってしまいました。

 でも、箱根での走りを見ると、本当に自信があったんだろうなって思いましたね。

 東京国際大の丹所選手にすぐに追いつかれたのですが、慌てなかった。自分ができるレースをちゃんと理解して、追いつかれるのは想定していたかのように、落ち着いたクレバーな走りをしていました。ラストもすごかった。残り1キロ地点でラストスパートをかけるならわかるんです。でも、丹所選手のペースも落ちていないなか、残り3キロからスパートをかけるのは、相当自信がないとできない。しかも丹所選手の前に出た時、ちょっと笑っていましたからね。あれを見た時は、普通の選手じゃ終わらないだろうなって思いました。実際、太田選手は、見ている景色が田澤選手のようにちょっと違うようです。1年生でマラソンに挑戦したいと考えているようで、そういう選手はかつて青学大にはいなかった。これから学生界のなかにとどまらない活躍を見せてほしいですね。

★吉田響(東海大1年)
 吉田選手は、静岡県出身で、一緒に練習しているスズキの先輩から「彼は高校時代からアップダウンのあるロードでいいタイムで走っていた。目立たないけど、安定して結果を出している選手」という話を聞いていたので楽しみにしていたのですが、そのとおりでしたね。5区で17位で襷をもらって、その位置から区間2位の走りで10位までもっていったのは、相当力がないとできないですし、ランナーとしての強さを感じました。

 走り方の特徴としては、僕もそうなんですけど、しっかりと腕を振って、腕でリズムを取る感じです。体つきもちょっと自分に似て、細くて身長もそんなにない(161cm)ですけど、腕を使った推進力で山を走れていたので、今回、5人のランナーを選ぶにあたって、同じ5区を走った若林宏樹選手(青学大1年)と迷ったのですが、より吉田選手が上りの適性があるのではと思ってあげさせていただきました。

 若林選手も力感がないフォームでよいペースで走れていたという意味では適性があるのだと思いますが、すり足というかあまり足が上がらないフォームでした。

 山の神と言われている今井正人さん、柏原竜二さん、僕は上りでも比較的足が上がるタイプで、且つ柏原さんと僕は腕振りも大きくその推進力を活かして走るフォームです。吉田選手は、軽さを生かしてグイグイ上っていて、腕振りも含めてフォームの共通点もあるように思いました。襷を受けた位置や1年生ということを考えるとまだ伸びしろがありますし、次回、東海大が出場できれば、区間記録の70分25秒を超える走りも期待できそうです。タイム的には今井さんが記録した69分12秒(距離変更前の記録)がひとつの目安になると思います。レース展開的にもチームを往路優勝に導く圧倒的な走りを見せれば、「4代目山の神」が見えてくるでしょう。

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