石川雅規は「こんなに小さくて大丈夫か?」から現役20年。八重樫幸雄が指摘する体の強さと活躍の要因

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2022年01月27日 11:31  webスポルティーバ

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「オープン球話」連載第99回

(第98回:川端慎吾の打撃は「川上哲治レベル」>>)

【東北人らしからぬ人懐っこさ】

――さて、今回からは「小さな大投手」石川雅規投手について伺いたいと思います。石川さんが入団してきたのが2002年、若松勉監督時代です。当時、八重樫さんは一軍打撃コーチでした。打撃コーチと新人投手ということで、あまり接点はなかったんですか?

八重樫 本来は、新人投手と打撃コーチはあまり接点がないんだけど、石川の場合は彼のほうから積極的に近づいてきてあいさつしてくれたんですよ。彼は秋田出身だけど、僕が会ってきた東北出身者の中では珍しく社交性のあるタイプですね。




――どんなあいさつだったんですか?

八重樫 「青山学院大学出身の石川雅規です」から始まって、青学大の河原井正雄元監督の話になったんです。河原井さんはパチンコがすごく好きらしいんだけど、たまたま僕が移動日に新横浜でパチンコをしている姿を監督が見ていたらしいんです。それで、石川が「八重樫さんがパチンコしている時に、河原井監督もいたそうです」って(笑)。

――とてもかわいらしいあいさつですね(笑)。

八重樫 そうでしょ(笑)。それまで、東北人であんなに人懐っこい人はいなかったから、すごく印象に残っているんですよ。入団してからも、石川にはいろいろなことを質問されました。

――バッティングコーチである八重樫さんにどんな質問をしたんですか?

八重樫 いろいろ聞かれたけど、石川は僕がキャッチャーだったことを知っていたから、「キャッチャー目線でのアドバイス」が多かったかな。石川は2ケタ勝てるけど、同じくらい負ける。そんな成績が続いていたじゃないですか。それを打破したくて、いろいろアドバイスを求めていたんでしょうね。

【貪欲にアドバイスを求めてくる向上心】

――それで、八重樫さんはどんなアドバイスをしたんですか?

八重樫 僕が見ていて、中日戦では左バッターにホームランを打たれている印象があったんです。立浪(和義)とか、左バッターの肩口から入ってくるスライダーを狙い打たれていた。だから、「スライダーを生かすには、インコースのストレートを磨かなくちゃいけないよ」と言いました。長打が減れば、失点もかなり防げる。そうすれば、白星を拾うことも増えてくる。そんな内容でしたね。確か大阪だったかな......プライベートの場で話した記憶があります。

――その後、改善されましたか?

八重樫 どうかな(笑)。インコースのストレートを意識するようになったとは思うけど、やっぱり甘く入ったスライダーは打たれますよね。あとはバッティング、バントについてもいろいろ聞かれましたよ。

――それは、どんな内容だったんですか?

八重樫 石川って、すごくバントが上手じゃないですか。でも、入団当初はそれほどうまくなかったんですよ。バッティングセンスはよくて、そこそこヒットは打つんだけどバントが得意じゃなかったから、「バントの成功率を上げれば、ピッチャーとしての勝率も上がるんじゃないの?」と言いました。

――現在の石川さんはめちゃくちゃバントが上手で、初球できちんと決めていますよね。具体的にはどんなアドバイスをしたんですか?

八重樫 室内練習場でマンツーマンで取り組んだことがあるけど、石川は「打つ構えからバントの構えにしたほうが、リズムが取れるんです」って言っていましたね。

――つまり、バスターの逆パターンですね。普通に打つ構えから、ピッチャーが投球動作に入ると同時にバントの構えをするという。

八重樫 そうそう。特に技術的なことを教えた記憶はないけど、バッティングセンスがいいから呑み込みが早くて、何度も練習しているうちにどんどん上達していきました。今では、本当に見事にバントを決めているよね。とにかく向上心が強いタイプだから、貪欲にいろいろなことを吸収したいんでしょう。

【探求心と目的意識を持ってキャンプに臨む】

――公称167僂箸いΑ△△譴世云柄な体格ながら、いきなり2002年に12勝9敗で新人王を獲得。以降、2006年まで5年連続で2ケタ勝利を挙げています。当時、八重樫さんは石川投手のことをどのように見ていましたか?

八重樫 1年目はやっぱり驚きました。最初は「こんなに小さくて大丈夫か?」って思っていたのに、とんとんと2、3勝しましたから。「夏場になったらスタミナは大丈夫かな?」と思っていたんだけど、そんなに一気に崩れもしなかったから、さらにビックリしました。平塚での横浜戦だったと思うけど、印象に残っている場面があるんです。

――平塚ではどんなことがあったんですか?

八重樫 この時、テレビ解説で野村収(元阪神ほか)さんが球場に来ていたんですけど、石川が野村さんのところに走って行ってあいさつをしたんです。それで、しばらく2人でいろいろ話していて。不思議に思って、野村さんに「石川とはどんな関係なんですか?」と聞いたら、2000年のシドニー五輪で一緒だったみたいですね。

――野村さんはシドニー五輪の時の投手コーチで、当時青学大2年生の石川さんも代表入りしていました。実は先日、野村収さんにインタビューをしたんですけど、大学時代の石川投手のことを絶賛していましたよ。

八重樫 そうなんです。平塚で話した時も、野村さんが石川を絶賛していたんですよ。この時は「意外とスタミナがあるから、夏場も乗り切れるぞ」ということと、「小柄だけど肩が強いんだ」と言っていました。実際に、プロ2年目、3年目も2ケタ勝つけど、石川がバテている印象はほとんどなかったです。

――小柄ではあるけれど、スタミナも抜群だったんですね。

八重樫 キャンプでも、館山(昌平)と石川は競うように球数を放っていました。普通に150球ぐらい投げて、終盤には一日200球投げることもありましたね。あと、研究熱心だから、毎年春のキャンプでは新球に挑戦していました。あとはクイックで投げたり、じっくりボールを持ってみたり、目的意識を持ってキャンプで挑戦して、それをオープン戦で試してみる。そんな姿勢が見られました。

――プロ20年目となった2021年シーズン終了時点で、通算177勝です。目標としている200勝まで残り23勝。これだけ長い間活躍できて、成績を残している要因は何だと思いますか?

八重樫 先ほど言ったように、本当に研究熱心であること。体は小さいけど、丈夫で、肩が強く、スタミナがあること。あとはバッターのタイミングを外したり、狙い球を絞らせなかったり、いわゆる「投球術」が抜群ですよ。次回はそのあたりを詳しくお話ししましょうか。

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