神木隆之介も登場! 『妻、小学生になる。』再び動き出した家族の時間と周囲のざわつき

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2022年01月29日 06:01  リアルサウンド

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『妻、小学生になる。』(c)TBS

 10年前に急逝した妻が、生まれ変わって帰ってきた――。最愛の伴侶に、そして頼れる母に先立たれ、残りの人生を「余生」とゾンビのように生きていた家族が、この生まれ変わりの奇跡をきっかけに再生する物語。


 そんなフィクションならではの温かな時間が流れる金曜ドラマ『妻、小学生になる』(TBS系)だが、もちろん世間が奇跡をすぐに受け入れられるわけもなく……。第2話では、生まれ変わった妻の弟・友利(神木隆之介)をはじめ、家族を取り巻く人々がざわつき始める。


【写真】オリジナルキャラの弟・友利を演じる神木隆之介


 妻・貴恵(石田ゆり子)の生まれ変わりとして戻ってきた万理華(毎田暖乃)の存在が、再び人生の活力となった圭介(堤真一)。引きこもりがちだった娘の麻衣(蒔田彩珠)も就職活動をスタートさせるなど、再び動き出した家族の時間。


 ところが、このわかりやすい父娘の変化に周囲が気づかないわけがない。圭介に至っては、万理華の写真を待ち受けにしたスマホを見てはニヤニヤする始末。40代の男性が娘でもない女子小学生の写真を眺めて頬を緩ませる様子に、万理華こと貴恵は「やばい人だと思われる」と頭を抱えるのだが、舞い上がっている圭介にはその危機感がまるでないから困ったものだ。


 生まれ変わってもこの人と結婚したい。そんな夢のような話が、現実になった圭介にとって、万理華が18歳になったら結婚したいというのは心から出た本音。それは相思相愛の父と母を見つめてきた麻衣にとっても、素直に受け入れられるプロポーズだった。


 しかし、真実を知らない人からしたら、やはりいきなり現れた小学生を「妻」と言い張る家族は、どうにかなってしまったと思われても仕方がない状況だ。現に貴恵の弟である友利は、圭介のプロポーズを目撃して心配になって駆けつけた1人。父と娘が揃って「妻なんだ」「ママなの」とにこやかに万理華を囲む姿に、すべてを見届けてきた視聴者であっても友利に同情したくなる奇妙な光景だった。


 そして、圭介とランチタイムに並んで持参したお弁当を食べる「お弁当友達」になった上司の守屋(森田望智)も、休日にデートをする圭介と万理華を見かけて、その関係が気になって仕方がない。なんとか貴恵が機転を効かせて「親戚のおじちゃん」という設定にするも、やっぱり怪しさが拭いきれない。


 今は、純粋に再会できた喜びに浸りたい圭介と麻衣と貴恵。対して、小学生と中年男性の理解し難い関係性を不審に思う周囲と、ヒヤヒヤする場面が今後も続きそうだ。もし現実に、その光景を目にしたら親戚として圭介や麻衣の精神状態を心配すべきだし、大人として万理華を守るべきだと思うが、これはフィクションのドラマだ。そのヒヤヒヤを家族で協力して乗り切り、結束を深めていく様子を楽しみたい。


 とはいえ、第2話では気になるシーンもいくつかあった。貴恵の中身を持つ万理華だが、ふと年相応の一面が垣間見える瞬間が見受けられたのだ。女児向けのアニメ映画に夢中になって思わずポップコーンをこぼしてしまったり、母親の千嘉(吉田羊)とのコミュニケーションに戸惑ったり……。もしかしたら、同級生のタケルから告白され胸をときめかせたのも、久しぶりに直球のアプローチを受けたからというだけではないかもしれない。


 もともと少女のような無邪気さと天真爛漫さを持つ貴恵だが、大人の状態であればそれほどアニメ映画に興奮することもないように思うし、千嘉に対してももう少しうまく立ち回れるようにも思う。しかし、それができない瞬間があるというのは、貴恵の記憶が戻ったとしてもやはり万理華の中にはもとの万理華がいるのではないだろうか。


 「最近、キャラが変わった」とクラスメートから噂されるように、もとの万理華と貴恵は全く違う性格だったのではないかと思うと、そのギャップをどのように調整していくのかが課題になりそうだ。そんな万理華のことを何やらジッと見つめる女子小学生の姿もあった。また予告には、新たな生まれ変わりの存在を示唆する映像もあって、気になるところ。


 人生の喜びも悲しみも、多くは前触れもなくやってくるもの。残念ながら自分たちの力で操作することができない。だからこそ、私たちはそこに理由や意味を見出したくなる。なぜ、こんな悲劇に耐えなければならないのか。どうして、こんな奇跡のようなことが起こったのかと。


 それは、この説明のできない現象のど真ん中にいる貴恵&万理華が、一番直面して考えていくことになるのではないだろうか。自分はなぜ生まれ変わったのか。その器としてなぜ自分が選ばれたのか。この生まれ変わりは、圭介や麻衣と貴恵という家族だけでなく、そして千嘉と万理華という家族にとっても再生のチャンスなのではないか。


 そして同時に、その葛藤は生まれ変わりを経験しない誰もが考えることであると気付かされる。私たちはなぜ今の人生を生きているのか。悔いなく自分自身を生きるとはどういうことなのか。ただ、生まれ変わって帰ってきた妻と家族が再会して嬉しい、というだけではこの物語では落ち着きそうもない。


(佐藤結衣)


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