「物価上昇なのに給料上がらない」 生協労連、最低賃金「1500円以上」を訴える

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2022年02月04日 10:01  弁護士ドットコム

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全国生協労働組合連合会(生協労連)は2月3日、オンライン会見を開いて、最低賃金を全国一律で「時給1500円以上」にすべきだと訴えた。


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会見には、各地の生協で非正規労働者として働く職員が参加し、最低賃金の地域格差による疑問や生活の苦しさなどを語った。



●最低賃金「地域の格差をなくすべき」

生協労連は約6万5000人で構成され、約6割以上がパート、アルバイトとして働いている。そのため、最低賃金が与える影響は無視できない。



地域による最低賃金の格差もある。たとえば、東京の最低賃金は1000円を超えているが、四国はどの県も800円台だ(厚生労働省「令和3年度地域別最低賃金改定状況」)。



愛媛県内の生協で非正規労働者として働く大黒直美さん(50代)は、最低賃金の地域格差に疑問を抱き続けているという。



「税金・食料品・医療費などは都会とほぼ変わりませんが、同じように、同じ時間働いたとしても、都会と地方では1日1000円以上の手取りの差が出てしまいます。生活が成り立たないため、ダブルワークやトリプルワークをすることが当たり前になっていますし、私もそのような働き方をしていました。



最低賃金はたしかに上がりましたが、700円台から800円台になっても、増税や値上げなどもされたため、生活が苦しい現状は変わりません。地方や都会を問わず、どこでも安心して暮らすことができるように、賃金の格差をただちになくしてほしい」(大黒さん)



たとえ、最低賃金が1500円に引き上げられたとしても、年収は300万円に届かないため、大黒さんは生活は困難ではないかと考えている。しかし、現状は「1500円」を下回る賃金のため、「とても生活できない」と話す。



●「人ひとりが生活できる賃金を求めたい」

生協労連が発行する「パート労働黒書」No.9(2022年1月)には、現場で働く約30人の非正規労働者から聞き取った現状や手記がまとめられている。



聞き取りでは「物価が上がっているのに、給料が上がらない」「親の介護もあり、貯蓄もできず、自分たちの老後も不安」など、収入に悩む声が複数寄せられたという。



また、収入を増やすためにダブルワークをしたくても、7時間にわたる配送の仕事をしているため、「体力的な余裕がなく、できない」と語った人もいたそうだ。



手記を寄せた一人、兼友奈美さん(30代)は、徳島県内で配送のパート職員として働きながら、小学1年生と4年生の2人の子どもたちを育てているシングルマザーだ。7年前に離婚してからは、実家で両親とともに暮らしている。



児童扶養手当(母子手当)はもらえておらず、徳島県の最低賃金は800円台。残業を減らすように言われたため、手取りは約18万円。兼友さんは「親に頼ることなく、自立した生活を送りたい」と考えているが、家計がプラスになることがほとんどないため、実家を離れて自立することに不安を抱えているという。



「収入は、子どもの学費や給食費をはじめ、日々の支払いですべて消えていき、子ども服1枚買うにも悩むことがしばしばあります。誰でも1500円の時給になれば、明日の暮らしを心配せず、親に頼らずに自立した生活を送れます。そんな日が1日でも早く来ることを祈っています」



最低賃金は、法律で決められている。生協労連の委員長をつとめる柳恵美子さんは「(賃金が最低賃金を上回っていれば)収入が低いことが法律に違反していると訴えるわけにはいかない。憲法25条が保障する『あるべき』賃金、人ひとりが生活できる賃金を求めたい」と主張した。


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