◆ 「この時期、あえてしんどいことをやる」
オリックスの能見篤史兼任コーチが8日、ブルペン入りし、ストレート1球種にこだわり112球を投げ込んだ。
「真っすぐを投げ続けるのが一番しんどい。早い時期しか出来ないので、あえてしんどいことをやろうと、毎年思ってやっている。そこはしっかりと意図を持ってやっている」と、直球にこだわる理由を説明した能見。
第1クールは3日間連続してブルペン入り。休日を挟んだ第2クールは6日を除き3日間投げ込み、ブルペンに足を運ばなかったのは、キャンプイン後の7日間で1日だけというハードスケジュールをこなしている。
調整は順調のようだが、「もう少し球数を投げたい」という思いを押しとどめているのが、気温の低さ。この日も、雨が降り午後2時の気温は8.8度と肌寒いコンディション。「今日も80球を越して体が動き出した感じで、手投げになってしまう。もう少し体全体を使って投げたいが、少し抑え気味にしている」という。
5月には43歳になる球界最年長投手の左腕。年々難しくなっていくコンディション作りについては「(身体を)ケアし過ぎると、気持ちがそちらの方に行きがちになる。気にして投げられなくなるのが嫌。その中で鈍感になるというか、ある程度(筋肉が)張ったり動きにくくなったりするのは当たり前だと、頭の中で整理している」と、“鈍感力”で乗り切っているという。
今季から厚澤和幸コーチ(前日本ハムコーチ)が加わり、能見のコーチとしての負担は軽減されるが、その分、選手としての比重は増していくことになる。
兼任コーチの肩書は変わらないものの、「高山(郁夫)コーチに厚澤さんが入って3人体制になり、僕がいなくても、2人が動いてくれているので、選手として重きを置いてくれている。(兼任の)大変さや難しさは感じない」。
昨季は投手コーチとしてブルペンでの準備や若手へアドバイスを送りつつ、マウンドでは、抑えだけでなくビハインドの展開でも、チーム事情に沿った起用に応え26試合に登板、2セーブ、5ホールドを記録した能見。中継ぎ陣が確立していない中、ベテラン左腕にかかる期待は今季も大きい。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)