煙の充満する車内に取り残されてしまった犬(画像は『Douglas County Sheriff’s Office 2022年2月4日付Facebook「Not much to say here!」』のスクリーンショット) アメリカの住宅街にて先月22日、民家の前で車両火災が発生した。真っ黒な煙が充満した車内には1匹の犬が取り残されてしまい、飼い主の男性が必死に助けようとするも煙の激しさに阻まれていた。しかし1人の保安官が助けに入って無事に犬を救出し、危険を顧みない勇敢な行動に多くの称賛の声があがっている。『New York Post』などが伝えた。
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先月22日午後4時半頃、車両火災の通報を受けた米コロラド州ダグラス郡保安官事務所のマイケル・グレゴレック副保安官(Michael Gregorek)が、現場となった同郡キャッスル・ロックの住宅街に駆けつけた。当時の様子を捉えたボディカメラの映像には、1軒の家の前で激しく煙が噴き出す黒い車が映っている。マイケルさんがパトカーを降りると、近くにいた車の所有者である男性が「車の中に犬がいるんだ!」と愛犬“ハンク(Hank)”の危機を泣きそうな声で訴えていた。
これを聞いたマイケルさんはすぐに警棒を手にし、後部座席の窓を割って懐中電灯で照らしながら中を確認した。しかし車内には真っ黒な煙が充満していたためハンクの姿を確認できず、男性に「後ろ側だ」と言われたマイケルさんはリアガラスも割って何とかハンクを見つけ出そうとした。
マイケルさんが後ろのドアを開けようとしたところ、ロックされており開けることはできなかった。愛犬が車内に取り残され男性は「オーマイガー!」と取り乱していたが、割れたリアガラスから車内へ手を入れるとハンクを見つけて外へ引っ張り出そうとした。
しかしハンクは煙を吸ってしまったせいか口からはよだれが垂れ、自ら外へ出る体力は残っていない様子だった。男性は力を振り絞って引き上げようとしたが、その間も大量の煙が車内からあふれ出しており、呼吸ができなかった男性はハンクから手を離してしまったのだ。
入れ替わるようにしてマイケルさんが車内に頭を突っ込むと、ハンクの体をお尻から持ち上げるように掴んでようやく救出した。そして少し離れた場所にハンクを降ろすと、自らの足で走っており無事であることが確認できた。
この直後マイケルさんは激しく咳き込んでおり、相当無理をしてハンクの救助にあたったことがうかがえる。自身も犬を飼っているというマイケルさんは「何があっても救出しようと思っていましたね」と当時の強い意思を明かした。
現場に到着した当初、飼い主である男性がリアガラスに向かって何かを投げつけていたため、マイケルさんは「火炎瓶を投げつけているのか」と勘違いしていたという。しかし男性の「中に犬がいるんだ」という言葉を聞き、瞬時に救助モードへ気持ちが変わったそうだ。
さらにマイケルさんは「ハンクの体を掴んだ時、体が硬直し始めているのを感じて酷い状態であることが分かりました。ハンクを車の外に出すこと以外は何も考えていなかったです」と危険を冒して救助を行った当時の心境を明かした。
マイケルさんの勇敢な行動が同保安官事務所のFacebookで公開されると、「言葉で表せないほど素晴らしいよ」「犬をコミュニティの一員として扱ってくれたことに感謝しかない」「まさにヒーローだね」「動画を見て泣きそうになっちゃった」などコメント欄はマイケルさんへの称賛の声で溢れた。
なお救助されたハンクは近所に住む獣医が健康状態をチェックしたと明かされており、その時点でハンクは遊ぶ気満々で走り回っていて大きなケガなどはなかったそうだ。
画像は『Douglas County Sheriff’s Office 2022年2月4日付Facebook「Not much to say here!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)