1年目からフル回転で積んだ経験を活かして…澤村拓一は「立ち上がり」に注目【データで振り返る!メジャー日本人選手の2021年】

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2022年02月11日 18:13  ベースボールキング

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レッドソックスの澤村拓一
◆ 離脱もありながら55試合に登板

 澤村拓一にとって、期待と不安が入り交じったメジャー挑戦。

 少なくとも1年目を終えた時点では、大きな成功だったといえそうだ。




 4月2日に1回無失点でデビュー登板を飾ると、翌日に33歳の誕生日を迎える。その後も6試合目で初失点を喫するまでは失点「0」を並べた。

 レギュラーシーズン中に2度の負傷者リスト入りはあったが、最終的に55試合に登板。5勝1敗で防御率は3.06。セーブこそなかったが、10ホールドを記録するなど、レッドソックスのブルペンを支えた。

 シーズン終盤に調子を落としたことで、ポストシーズンに入るとワイルドカードゲームで登録から外されてしまう。それでも、アストロズとのリーグ優勝決定シリーズではベンチ入り。3試合に登板して防御率4.50に終わったが、1年目からポストシーズンでの登板は得がたい経験となっただろう。



◆ リリーフも「立ち上がり」が重要

 レギュラーシーズンでは「3.06」と及第点といえる防御率をマークした澤村。

 しかし、投手の純粋な能力を示すといわれる「FIP」(=被本塁打・与四死球・奪三振のみで投手を評価する指標)を見てみると、防御率よりもかなり悪い「5.00」という数字だった。防御率とは2点近くの乖離があり、実際は防御率が示す以上に苦戦していたことになる。


 特にシーズン終盤に露呈したのが「制球難」だ。

 「与四球率」を見ると、オールスター前も9イニングあたり「4.42」と良くなかったが、オールスター後はこれが「7.71」まで悪化。2年目に向けて大きな課題となっている。


 さらに、澤村にとってもう一つ浮き彫りとなった課題が「登板直後のパフォーマンス」、つまり「立ち上がりの悪さ」だ。

 シーズン通算では被打率.227・出塁率.339だったが、リリーフ登板後最初の打者に対しては被打率.327・被出塁率.400と打ち込まれていた。

 これは、シーズンを通して起用法が固まっていなかったこと、イニング途中での起用も少なくなかったことなどが影響した可能性がある。


 また、イニングまたぎの登板も多く、イニング先頭打者に対しても被打率.308・被出塁率.372と分が悪かった。

 1年目ではセットアッパーと呼ばれるほどの信頼感を得ることはできなかったが、ある程度起用されるタイミングが固定されてくれば、これらの数字は改善されていくだろう。今季は“立ち上がり”でいかに相手の出塁を防げるかがカギとなりそうだ。


 最後に球種別のデータを見ると、沢村にとって「スプリット」がやはり生命線だった。

 投球割合は全体の4割近くを占め、被打率は.202とまずまず。ところが、7月までの被打率.162に対し、8月以降は.308と、シーズン後半は痛打される場面も目立った。

 スプリットを生かすための速球と、時折織り交ぜるスライダーの精度も上げていきたいところだ。


 昨季メジャーの過酷な162試合を経験したことを今季に生かせるか。

 まずは課題の制球力を向上することで首脳陣の信頼を強固にしていきたい。


文=八木遊(やぎ・ゆう)




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