◆ 昨季はウエスタンで1試合の登板
オリックスは11日、今キャンプ初めての紅白戦を実施。
両組とも若手主体の編成となった中、投打ともにアピールに燃える若き力の躍動が目立ち、中嶋聡監督はじめ首脳陣を喜ばせた。
まずは“投”で観客を魅了したのが、紅組の2番手としてマウンドに上がったプロ2年目の育成右腕・宇田川優希だ。
3回から登板すると、最速151キロのストレートと落差のあるフォークボールで育成の釣寿生を見逃し三振。
さらに一軍経験もある佐野皓大、来田涼斗も空振りの三振に仕留め、予定の1イニングを3者連続三振で締める圧巻の投球を披露した。
八潮南高から仙台大を経て、2020年の育成ドラフト3位で入団。
昨季はウエスタン・リーグで1試合に登板があっただけで、150キロを超える直球と武器のフォークはあったものの、1年目は「うまくハマらなかった」とのこと。スピードを追い求めるのではなく、ボールのキレ、質を向上させること。そして制球力をつけることが必要だった。
小林宏二軍監督のアドバイスもあり、昨秋の高知キャンプからフォームを変えた。
力まず、バランスよく投げる。本人は「一気に変えるのは怖かった」と振り返るが、「力まない自然体のフォーム」を手に入れた。
中嶋監督は宇田川について、「もともと球速はある投手。昨年そんなに実戦で投げていないので、僕より周りに良いアピールになったのでは」と、飛躍を目指す若手投手たちに与える好影響にも期待を寄せた。
◆ ルーキーも躍動!
“打”では、紅組の1番に入ったドラフト4位ルーキーの渡部遼人(慶応大)が、初回の第1打席でいきなり安打をマーク。
左腕・佐藤一磨から左中間に弾き返す対応力を見せると、守っても1回裏の無死一塁の場面で、来田の中前打の際に三塁を狙った佐野を三塁への好返球で刺すレーザービームを披露。
「スローイングが悪かったが、練習の成果が出せた」と渡部。「打撃も少しずつ、力強く振れるようになった」と充実ぶりを口にした。
指揮官も「ミート、合わせるのがうまい。左対左だが、実戦向きかな」と高評価。守備のビッグプレーにも、「(俊足の)佐野晧大を刺したことは評価できる」と満足げだった。
このほかにも、ドラフト5位の高卒ルーキー・池田陵真(大阪桐蔭高)が勝ち越しの適時三塁打を放つなど、初戦からルーキーや若手がアピール合戦を展開。実り多い紅白戦となった。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)
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