◆ もう一度あの舞台へ…帽子に自身を鼓舞する“一言”
オリックスの6年目右腕・榊原翼が、2度目の支配下登録に向けスタートを切った。
第5クール最終日の20日、背番号「125番」で実戦的なフリー打撃に登板。打者と対戦するのは約6カ月ぶりだったが、打者6人に30球を投げ込み、ヒット性の当たりは3、4本と上々の滑り出しだった。
制球難から自信を失い、2年間実績を残せず、昨年オフに再び育成契約に。
すべてをリセットするためボールを握らない期間もあり、打者との勝負は昨年8月末のウエスタン・リーグ以来のことで、「メチャメチャ、緊張した」というが、力みのないフォームで大きく制球を乱す場面もなく、順調に調整が進んでいることがうかがえた。
「また、打者に向かって投げることが出来るのだろうか、と思っていただけに、まずはうれしい」と榊原。
球速を抑え気味だったストレートでファウルが取れたほか、「今年は自分の中でもカーブがいい感触」という球速を殺したカーブもまずまずだった。
数年前から交流を続けてきた宮崎市内の特別支援学校の訪問は、コロナ禍で今年も行けない。「本当に行きたい。僕の方が子供たちから元気をもらえるから」と残念がったが、来年は再び2ケタの背番号のユニホームで訪問したい。
「よかった方。まだ、よかったとは言えない。50%くらいかな。あとは練習をするだけ。開幕まであと1カ月ある。なんとかうまく練習して、二軍戦からスタートして、投げられるようになれば」。
マウンドで被った帽子のつばの裏には、黒いマジックの直筆で「しんかのとちゅう」とあった。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)