◆「100%という言葉は出てこない」
オリックスの宮崎キャンプは27日、第7クール最終日を迎え、2月1日から実施していた春季キャンプを打ち上げた。
午前11時45分、本球場に午後からの練習試合の準備をしている選手らを除く選手やスタッフがマウンドを囲むように集合。マウンド付近で選手会長の吉田正尚が挨拶し、三本締めで締めた。
午後からは若手主体のB班が、第2球場で社会人の「Honda熊本」と練習試合。B班も15時半頃に一本締めを行い、すべての日程を終えた。
中嶋聡監督は、「ケガ人も何人か出て、100%という言葉は出てこない。いろんなことを試しながらやってみて、シーズンが始まってからその答えが出るのか、何年後かとも思うので、総括は出来ないかな」と、慎重に言葉を選んだ。
コロナ禍で、1月末に大阪市内の球団施設が使えないまま、宮崎に移動するという厳しい状況から始まったキャンプ。しかも、11月末まで日本シリーズを戦うという、タイトなスケジュールを考慮し、けが防止に最大限の配慮をしながら強化を進めるという難しさが、指揮官の口ぶりからもうかがえた。
◆ 新戦力の台頭がチームを活性化
そんな中で、中嶋監督が挙げた収穫は、新人選手の活躍だった。
26日のソフトバンクとのオープン戦で、千賀滉大、和田毅の一線級投手から4打数3安打1打点、1盗塁で即戦力外野手としてアピールしたドラフト4位の渡部遼人(慶應義塾大)や、勝負強い打撃に加え、強肩も披露した同3位の福永奨(國學院大)。
また、唯一の高卒新人ながらも積極的な打撃が光った同5位の池田陵真(大阪桐蔭高)や、「小気味よい投球」(入来祐作・投手コーチ)で力強いボールを投げ込んだ同7位の小木田敦也(TDK)らフレッシュな新人の躍動を、「新しいメンバーたちが、いい刺激を与えてくれた」と評価した。
「まだ1カ月ですので、その点ではこれから先だと思う。今までのメンバーも調整を進めており、ここからが大事」と、若手のさらなる奮起を促すとともに、チーム内競争の活発化も願った中嶋監督。
誤算は、ドラフト1位の椋木蓮(東北福祉大)が、中盤に左内腹斜筋の筋損傷で別メニューでの調整になったことだろう。キャンプ中に先発、抑えの適性を実戦で判断する機会がなくなってしまい、「正直、期待していたので、見てみたかったというのはある」と残念がった。
◆ チャレンジャーとして「連覇」掲げる
チームの投打の主軸、吉田正尚と山本由伸も、今のところはスロー調整気味だ。吉田正は、12月に神戸市内の病院で受けた「両足関節鏡下三角骨摘出手術」によるリハビリで合流が遅れ、開幕投手、東京オリンピック、クライマックスシリーズ、日本シリーズとフル回転だった山本も、まだ実戦登板をしていない。
しかし、吉田正が「シーズンに合わせ、1年を通して出来るようにしっかりと準備したい」というように、2人とも開幕にしっかりと照準を当てており、心配は不要だろう。
「チャレンジャー」「全員で勝つ!!」を合言葉に、終盤の激戦を勝ち抜き、25年ぶりのリーグ優勝を果たしたオリックス。「固定観念のない、臨機応変な野球で対応していきたい。チャレンジャーの気持ちは変わらず、連覇にチャレンジしていきたい」。
開幕まであと1カ月。チームの総合力を結集し、この春に話題をさらったBIGBOSSの上をいく野球が展開されそうだ。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)