PTAをボランティア制にしてみたら? コロナ禍が進めた「PTA改革」

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2022年03月04日 06:20  キャリコネニュース

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個別指導塾を経営・運営する中で1500人をサポートした、プロ家庭教師の妻鹿潤です。

保護者や学校の先生とお話しすると中で、よく話題に上がる「PTA」が話題になるのですが、最近はコロナ禍で改革が進んでいるところが多いようです。中には「コロナはPTAが変わる良い機会だった」「コロナでPTAがほぼ無くなって、安心した」といった発言する人も多数おられます。

皆さんは、PTAにどんなイメージを何度も聞きました。何お持ちでしょうか?役員の押し付け合いや夜遅くの会議など、あまり良い印象が起きて無いかもしれません。

本来、子どものための活動であるPTA。どのような見直しが行われているのか、ご紹介します。

そもそもPTAって?

PTAとは、「Parent-Teacher AAssociation」の略です。つまり、保護者(Parent)と教職員(Teacher)が協力して子どもたちのために活動する組織、と定義されています。ですが、実際には教職員は活動に参加せず、保護者が「学校のお手伝い」という名目で、前年通りの活動を繰り返していることがほとんどです。また、PTAは本来は任意加入なのですが、「入るのが当然」という無言の圧力により、ほぼ強制的に入らされてしまいます。

非効率の代名詞=ベルマーク活動

PTAと聞いて「ベルマーク集め」を連想する人も多いのではないでしょうか。各家庭が集めたベルマークを、学校の教室に集まって1日がかりで集計する作業……時給換算すると1人当たり50円という説もあります。その分働いて寄付した方が効率が良いのでは?と思うところですが、誰も声を上げません。なぜなら、「変えるのがことは面倒」だからです。

残念ながら学校は、効率化よりも前例通りであることを重んじる風潮があります。なので、これまで何十年も続いてきたルールを変えるには、それなりの説明や話し合いが求められます。「波風を立てないでほしい」とストップをかける校長先生もいますし、「私たちの時代は我慢したのに……」と不満を言う保護者もいるでしょう。そんな中で、改革の声を上げるのはかなりの度胸と熱意が必要なのです。

「イベントを中止しても、何の問題も無かった」

ところが、PTA改革は思わぬところから進み出しました。私の知っているPTAの多くがコロナ禍によって、定例会議や周年行事、各種のイベントなどが中止されたり、オンライン開催になったりしました。

こんな声が聞こえてきました。

「イベントを中止しても、何の問題も無かった」
「オンラインの方が効率的に開催ややりとりできることがわかった」

中止やオンライン開催のメリットがわかったことで、PTA改革の機運はだんだん高まっていきます。これまで声を上げづらかった雰囲気が一変し、「もっとこうしたら良い」「こんなアイデアはどう?」など、活発に議論されるようになったそうです。

広報紙を廃止し、InstagramやTwitterなどSNSでの発信に代えたり、校内清掃や運動会の警備を業者に委託するアウトソーシングなど、イベントの中止やオンライン化以外の改革も積極的に進められるようになりました。

ちょっと笑ってしまうのですが、とあるPTAでは、役員が発言するたび毎回、席から「演台まで歩いて行く」という謎ルールがありました。Aさんが質問。 → 役員Bさんが演台に立って答える。 → 役員Bさんが席に戻る。Cさんが質問。 → 役員Dさんが演台に立って答える。 → 役員Dさんが席に戻る。(以下、延々、繰り返し)

「国会かよ!」とツッコミたくなりますが、「ずっとやってきたことだから」と長年辞められなかったところ、コロナ禍の見直しアンケートでめでたく廃止に至ったとのことです。よかったですね。

大胆な改革も

PTAが嫌われてしまう原因のひとつは、活動内容が必ずしも保護者の気持ちと噛み合っていないからでしょう。

いくら貢献したい気持ち、貢献できるスキルがあっても、結局のところベルマーク作業のような「誰でもできる苦行」を押し付けられるだけ。これでは幻滅して当然です。

とある学校では、PTAの役職を廃止して「出来る事を、出来る人が、出来る時にやる」というボランティア制にしたそうです。この方法であれば、それぞれのスキルを活かしながら、無理の無い範囲で活動することができます。学校との窓口担当、外部との交渉担当、デジタル化担当と最低限のリーダーだけを決め、あとは保護者の自主性に任せます。大胆な改革ではありますが、PTAの本来の存在意義に立ち返った形です。

「ボランティア制にすることで、誰も手を上げないのでは?」という不安もありましたが、「子供たちのために、必要なことは何かしたい」という保護者はかなり多く、特に必要なことができなくなったということはないようです。

少子高齢化が進む日本において、子どもたちは社会全体にとっての宝物です。PTA改革がより一層進み、子どもたちがさらに良い環境で学べることを願っています。

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【筆者プロフィール】】株式会社STORY CAREER取締役 妻鹿潤(めがじゅん)
関西学院大学法学部卒。塾コンサルタント・キャリアコンサルタント・プロ家庭教師などを通してのべ1500人以上の小中高生、保護者へ指導・学習アドバイスを行う。
大手教育会社時代は携わった教室が10か月で100人以上の生徒が入会する塾に。しかし志望校合格がゴールの既存教育に限界を感じ、「社会で生き抜く力」を身につける学習塾を起業。40〜50点の大幅な点数アップを実現し、生徒のやる気を引き出すメソッドを確立。入塾待ちの塾となる。
現在はキャリアコンサルタントとして企業の採用支援、大学生・社会人のキャリア支援を行う。ほかにも塾コンサルティング、プロ家庭教師、不登校・発達障害の生徒の個別指導なども行っている。

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