工具所持の男性に「深夜5時間」の取り調べ、東京都に賠償命令

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2022年03月10日 18:41  弁護士ドットコム

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警視庁の警察官に違法な取り調べ・身体拘束をされたことで、精神的な苦痛を受けたとして、東京都内の工事業者、中野健太郎さんが国家賠償法に基づき、都に慰謝料などをもとめた訴訟で、東京地裁は3月10日、原告の請求を一部認めて、計22万円の支払いを命じた。


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判決などによると、原告の中野さんは2019年2月4日午後9時25分ごろ、都内の路上で作業車を停めていたところ、警視庁・中野署の警察官に職務質問をされた。その際、車内から工具(ツールナイフやタクティカルペンなど)が見つかったことから、携帯の理由を聞かれたうえで中野署に任意同行した。



その後、中野さんは、正当な理由もなく工具を携帯していたとして、取り調べを受けて、鑑識資料の作成や、車内の写真撮影などの捜査をされた。中野署での捜査が終わって、自宅前に戻ったのは、翌午前5時ごろのことだった。同年4月、嫌疑不十分で不起訴処分となった。



中野さんは同月、東京都を相手取り、慰謝料など計330万円をもとめて提訴した。



中野さん側は、工具は工事業者として所持していたのであり、(1)職務質問は違法で、実質強制力を伴う任意同行だった、(2)取り調べは、深夜に長時間にわたり、限度を超えていた、(3)承諾してないのにポケットに手を入れたり、服の上から肛門や男性器を執拗に触るなどの所持品検査をされた――などと主張していた。



加本牧子裁判長は、職務質問や任意同行について「違法」とは言えず、承諾のない所持品検査も「考えがたい」としたものの、深夜にわたって5時間の取り調べを実施したことについては、「合理的な理由は見出しがたく、社会通念上許容される限度を超えたものに至っていた」として、違法だと判断した。



この日の判決を受けて、中野さんは弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「賠償額は(請求よりも)少ないものの、国賠訴訟で一部でも認められたことはうれしい」と話した。中野さんの代理人によると、控訴など、今後については未定で、判決内容を検討しているとしている。


このニュースに関するつぶやき

  • 仕事内容と、午後9時に仕事の車をその場所に停めていた理由が合理的に説明できれば、そこまで拗れなかったと思うけどね。「あ?こっちの勝手だろ」みたいな態度だったのかねぇ。
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