“望んだ”過酷な環境での2年ぶり海外遠征 パリ五輪へU−21日本代表が初陣に臨む

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2022年03月23日 12:28  サッカーキング

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ドバイの地で練習を行うU-21日本代表 [写真]=川端暁彦
2年後のパリ五輪を目指し、大岩剛監督を迎えたその活動を本格的にスタートさせたU−21日本代表。日本を遠く離れた中東の地にて、その最初の戦いを始めようとしている。

 日本から十数時間のフライトを経て辿り着く、アラブ首長国連邦。この中心都市ドバイで開催される「ドバイカップU−23」が、パリ五輪代表の初陣となる国際大会だ。「代表チームに負けていい試合はない」と語る大岩監督の指揮下、クロアチアとの初戦でまず勝利を目指すこととなる。

 とはいえ、簡単なシチュエーションで迎える試合ではない。Jリーグや欧州クラブとの日程の都合上、メンバーは徐々に集合していく形に。21日に行われた到着初日の練習では前日に試合をこなしたMF山本理仁(東京ヴェルディ)ら3選手は別メニュー調整。GK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)、DF半田陸(モンテディオ山形)ら、そもそもこの時点で合流できていない選手も多数おり、全員が揃って練習できたのは試合前日の1回だけ。それも強度はさほど上げず、時間も限定してのトレーニングである。

 日本とは比べものにならないレベルの強い太陽光線が降り注ぐピッチ、時差ボケ、慣れない食事、不十分なトレーニングで、「はじめまして」の選手もいる中で、ほぼぶっつけ本番で試合に臨む。しかし、この環境こそ、まさに求めていたものである。

「確かに過酷ですけれども、今後の自分たちにとってみれば非常に有意義な遠征になる。ホテルの中も決して恵まれた環境ではない点も含めて、それでもしっかり力が発揮できる、発揮をしなければいけない状況で戦うことに意義がある」(大岩監督)



 この年代の代表チームが最後に海外遠征をしたのは2年前のこと。タフな海外遠征をこなしながら若い世代に経験を積み上げていくのが日本サッカーの強化方針だっただけに、これが空白になっていたのは「非常に良くない状況だった」(反町康治技術委員長)。今回のA代表の最終予選を観ていても、困難な環境に適応して戦っていくことは日本代表としての必須要素で、それはスタッフを含めての経験による蓄積によってしか克服できないものでもある。途絶えていた経験の蓄積がまた始まることこそ、こうして海外に遠征しての国際大会を戦う大きな意義の一つであり、だからこそ指揮官も、過酷な環境をむしろ歓迎する素振りさえ見せているのだ。この中でパフォーマンスを落としてしまうような選手は、代表選手として戦えないのだ。

 選手からもネガティブな声は聞こえてこない。むしろ、「めっちゃ楽しいです」(MF斉藤光毅/ロンメル)という声ばかりで、DF成瀬竣平(名古屋グランパス)も時差ボケについて「懐かしさがあります」と笑う。

 そして、今年1月にはA代表の候補合宿も経験し、守備の中心として期待されるDF西尾隆矢(セレッソ大阪)は、久々の国際試合に臨む心境をこう語った。

「いまこのメンバーでどのくらいできるか凄く気になるし、課題も多く出ると思うけれど、どこが通用したのかもわかる。自分の中でも楽しみな試合です」

 日本時間の23日21時から、ドバイカップU−23のクロアチア戦から、パリ五輪を目指すU−21日本代表の「最初の戦い」が始まる。久々に海外で、欧州勢を相手にした試合で、選手個々が何を見せて、何を得るか。何とも楽しみな90分となりそうだ。

取材・文=川端暁彦

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