鈴木誠也の後継者候補として期待される「大器晩成」の末包昇大【2022年注目ルーキー・広島 編】

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2022年03月24日 09:14  ベースボールキング

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打撃の波は大きいが 巨体から放たれる打球に首脳陣の期待も大きい (C)Kyodo News
◆ 鈴木誠也が抜けた穴埋めが急務

 昨季は4位とAクラス入りまであと一歩だった広島。坂倉将吾、小園海斗、林晃汰らイキのいい若手が台頭して世代交代が進む一方、大黒柱の鈴木誠也(カブス)の流出という大きな戦力ダウンもあった。

 近年のドラフト会議では右の強打者を思うように補強できておらず、昨年は社会人から3位で中村健人(トヨタ自動車)、6位末包昇大(大阪ガス)を指名。素材型の選手を伝統の猛練習で育て上げる広島が、なりふり構わぬ姿勢で鈴木の穴を埋めにきた。

 なかでもキャンプから首脳陣の高い期待を背負ったのは末包だ。フリー打撃ではサク越えを連発するなど、類まれな飛距離を大いにアピール。身長188センチ、体重110キロという日本人離れした巨体から放たれる打球には夢がある。


◆ 社会人で花開いた末包のキャリア

 ルーキーながら5月には26歳になる年齢で、すでに妻帯者だ。そのキャリアはまさしく「大器晩成」と呼ぶにふさわしい歩みだった。

 東洋大では厚い選手層に阻まれ、4年春までベンチウォーマー。4年秋にようやく先発出場が増えたものの、4年間のリーグ戦通算安打数はわずか6本。本塁打はゼロだった。

 それでも社会人の強豪・大阪ガスに入社。近年では近本光司(阪神)、小深田大翔(楽天)とドラフト1位を立て続けにプロへと送り込んだチームで、末包の確実性は飛躍的に向上する。1年目は控えだったが、2年目から4番打者に定着。3年目は日本選手権で打率.450をマークして、優勝に大きく貢献した。

 さらに社会人日本代表候補合宿で測定した打球スピードは、171.3キロを計測。社会人を代表する強打者たちを抑え、ナンバーワンの数値だった。

 末包が社会人3年目にしてブレークした背景には、何の因果か鈴木誠也の存在がある。末包は鈴木の打撃フォームを参考にし、好結果につなげていたのだ。

 ドラフト会議後に開催された都市対抗では、東京ドームのバックスクリーンへ豪快な先制アーチを放ったかと思えば、次の試合では4打席連続三振を記録。外角に逃げる変化球へのもろさを露呈した。

 プロ入り後も、末包の乱高下は続いている。2月26日のオープン戦・巨人戦では内角低めのストレートにうまく腕をたたんで対応して特大本塁打を放った一方、実戦16打席連続無安打が続いた時期も。それでも佐々岡真司監督は末包を辛抱強く一軍で実戦経験を積ませた。末包も出場機会を増やすため、高校時代以来となる一塁守備にも挑戦している。

 もちろん、日本代表の4番打者の穴をドラフト6位ルーキーで埋めようとは虫が良すぎる。末包への先行投資が実るのは、少し先の未来になるだろう。

 近年、層の薄さが深刻な投手陣では、ドラフト1位左腕の黒原拓未(関西学院大)が光明になっている。キャンプではシート打撃で打ち込まれるなど出足は悪かったが、オープン戦では貴重な中継ぎとしてアピール。上背はないものの、快速球とカットボール、チェンジアップを武器に小気味いい投球ができる。

 黒原の存在がブルペン陣の刺激になれば、チーム全体の底上げにつながるだろう。


◆ 広島東洋カープ
 2021年ドラフト指名選手のオープン戦成績*1軍成績(3/21終了時点)

1.黒原拓未・投手(関西学院大)
 6試合 0勝0敗0セーブ 防御率8.44

2.森翔平・投手(三菱重工West)
 2試合 0勝2敗0セーブ 防御率27.00

3.中村健人・外野手(トヨタ自動車)
 14試合 5安打 打率.200 0本 1打点 0盗塁

4.田村俊介・外野手(愛工大名電高)
 出場なし

5.松本竜也・投手(Honda鈴鹿)
 5試合 1勝0敗0セーブ 防御率1.80

6.末包昇大・外野手(大阪ガス)
 16試合 11安打 打率.177 1本 6打点 0盗塁

7.高木翔斗・捕手(県立岐阜商業高)
 出場なし

◇育成
1.新家颯・投手(田辺高)
 出場なし

2.前川誠太・内野手(敦賀気比高)
 出場なし

3.中村来生・投手(高岡第一高)
 出場なし

4.坂田怜・投手(中部学院大)
 出場なし

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  • 末包より、中村健の方が期待できそう。
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