オリックス 12年ぶり開幕勝利

● 西武 0 － 6 オリックス ○
＜1回戦・ベルーナドーム＞

　オリックス・山本由伸が、8回、3安打、9奪三振、無失点というこれ以上ない投球で、チームの開幕戦での連敗（10）を止め、12年ぶりの白星、自身の昨季からの連勝も「16」に伸ばした。

　2年連続の開幕投手を任されたエースが、敵地のマウンドで躍動した。昨年の開幕戦でもしのぎを削った西武・髙橋光成と、5回まで息詰まる投手戦を展開した。許した安打は、ともに1本。

　「とにかく、先取点を与えないように気を引き締めて投げた」という山本の気迫のこもったプレーが飛び出したのは、5回だった。先頭・中村剛也を内野安打で出し無死一塁。外崎修汰の送りバントが一塁線側への小飛球になると、マウンドを駆け下りた山本が、左手のグラブを差し出しダイビングキャッチ。

　「高目の直球のサインだったので、（打球は）浮くだろうと準備をして、上がった瞬間、前に行ったら捕れそうだったので、ヘッスラ（ヘッドスライディング）をしちゃいました」と、ダイビングキャッチを振り返った。

　元巨人の桑田真澄が1995年の阪神戦で、三塁線側への小飛球に飛び込んだシーンを思い出させるプレー。桑田は捕球の際に右肘を強打し、側副靭帯断裂の重傷を負ったこともあり、ベンチから高山郁夫・投手コーチやトレーナーがマウンドに駆け付けたが、大きなダメージもなく、栗山巧を遊ゴロ併殺打に仕留めた。

　8回を終わり、104球、3安打、無失点で三塁を踏ませない投球。8回の自軍の攻撃中にベンチ前で投球練習を始めたが、敵失や安達の2点適時三塁打で4点が入ったところでベンチに戻り、次の登板に備え村西良太にマウンドを託した。

　「昨年、負けてしまった悔しい思いをリベンジする強い気持ちで投げた。開幕戦ということで、とにかく気合を入れてマウンドに上った。勝ててよかった」と表情を緩めた山本。

　2010年の白星以来、引き分けを挟んで10連敗中の開幕戦に勝利したことについては、「長く開幕戦を落とし続けていたので、ファンの人が一番うれしいのではないでしょうか」と、12年ぶりの勝利の喜びをファンと分かち合った。

　バックも攻守で、山本の好投に応えた。

　3回の守りで、愛斗の三塁線の打球をお尻をつくような形で逆シングルで好捕、一塁へ好送球を送りアウトにした宗佑磨が、6回二死二塁から右翼線へ先制の適時二塁打。続く主砲・吉田正尚も右前打で2点目を援護した。

　守っては、7回二死一、二塁の場面で、外崎の中堅への浅いライナーを福田周平がダイビングキャッチするビッグプレー。山本は「守備にも助けられた。チーム全体でつかんだ1勝」と振り返り、「今日勝てたことは、チームにとっても僕にとっても、すごく大きな1勝。昨年出来なかった開幕戦勝利が出来たことは、成長でもあり収穫」と喜んだ。

　ただ、「うまく狙ったところに行かないなど、納得のいかなかったボールもある。次の試合もある」と、気を緩めることはなかった。

　中嶋聡監督は「危険なのでやってほしくないが、あのプレーと併殺で帰ってきたことで流れが来ると感じた。あの回で野手（の気持ち）に火がついたのかなと思った」と、5回の山本のプレーが6回の攻撃につながったとみた。

　開幕戦勝利について「マスコミの人が言うこと。僕も2年目だし」と言いながらも、スタートダッシュにもつながるだけに「この1勝は大きい」と喜んだ。

　エースが責任を持ってマウンドを守り、バックも全力プレーで応える。「全員で勝つ！！」を合言葉にリーグ優勝を果たしたオリックスが、チャンピオンチームらしい勝ち方で好スタートを切った。

取材・文＝北野正樹（きたの・まさき）

【動画】まさに「大エース」山本由伸が連敗ストップ＆連勝更新の快投

オリックス・山本由伸が12年ぶりの開幕勝利に導く「昨年出来なかったことが出来たのは、成長であり収穫」

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