パースプロジェクトとカーリーの一番の違いは、布帛を使用したアイテムをメインに展開している点。カーリーの着心地の良さを活かしながらも、製品染めやパッカリングなど、生地の表情を大切にしたクリエイションを意識している。また、襟を立てることでチャイナジャケットのように着用できるテーラードジャケットなど、1点で複数の着方を提案するアイテムもラインナップ。伊藤は「何を着るかではなくどのように着るかが重要で、ファッションの楽しいところ」と語り、カラーもあえて「曖昧でどちらとも言えない色」を多く採用している。同じ服でも着る人によって違った見え方をする服を目指しているという。
伊藤は今後の目標について「まずはお客さんにブランドを覚えてもらうこと」とし、続けて「才能であったり素材であったり、自分が『もったいない』と感じるものの魅力をブランドを通じて多くの人に知ってもらえたら」とコメント。デビューコレクションは、広島の「シティライツ(CITYLIGHTS)」や三重の「ノックアウト(KNOCK OUT 247)」など、地方のセレクトショップを中心に展開。今後、瀬戸内のアパレル以外のクリエイターと協業して地方の魅力を伝えるポップアップイベントの開催も計画しているほか、品質には問題がないものの僅かな傷や筋があるためにB品として廃棄されてしまう皮革を用いた製品の構想も練っている。