「PTAに積極的な保護者」がいる理由、ベルマーク作業が人気の背景――PTA委員を1年やって見えたもの

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2022年04月16日 20:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

 2021年春、我が子が小学校に入学! と同時に、うわさでいろいろ見聞きしていた「PTA」が現実のものに。さらに子どもの学校は「PTA加入率100%」!? PTAの謎ルールに直面した母がつづる「PTAには入りません、って言えない!?」。

PTA活動を振り返って

 新年度を迎えた。我が子の小学校入学と同時にPTAへ自動加入し、くじ引きの結果、まさかのPTA「委員」になって、かれこれ1年。そんなわけで、年度始めは「下校指導」の活動がまだ残っているが、この1年間で私が体験した「PTA」がどのようなものであったかを振り返りたい。

「PTAに積極的な保護者」のトリック

 そもそもPTAは、任意加入のボランティア団体。入学説明会で受けたPTAの説明でも「PTA加入はあくまでも任意」と前置きがあった。しかし「加入届」があるわけではなく、子どもの入学と同時に「加入した」と見なされる。結果、校内の保護者の加入率は100%。会則にも入退会についての記載はない。「加入しない」ためには、自ら行動を起こすしかない感じだ。

 そういった状況で、「任期1年・子ども1人につき在学中1回(任期1年)」という委員活動が課せられるため、早めに済ませようと委員に「立候補」する保護者は多い。結果、表面上は「積極的にPTA活動をしている保護者が多い」という建前が成立してしまうような格好だ。

 「子どもの人数にかかわらず1家庭につき1回(任期2年)」である役員は、他者推薦なのか立候補なのか不明だが、候補者は数人いる。これも、“積極的な保護者像”に結びつくだろう。

学校側のPTAへの依存体質

 学校側も「保護者は基本的にPTAに加入しているもの」という前提で学校運営を進めている様子だった。月300円のPTA会費も、教材費等と一緒に引き落とされる。

 また、来校時に保護者が着用する「入校カード」やホルダー、学校から保護者に連絡が届くメール配信のシステム登録料など「どう考えても全員に与えるべきもの」にかかる費用をPTAが負担している。

強制的な雰囲気はないが「やる意味」が不明な活動

 一方で、PTA「委員」の活動に関しては、「絶対にやってください!」と強制的な雰囲気ではないように感じた。

 私が所属した「校外委員」に関していえば、係やリーダー決めで一悶着(?)はあったものの、コロナの影響で地域のお祭りが中止になったため、校外委員が揃って行うパトロールは実施されないなど、活動自体が減った。毎月2回ほど地域を巡回する平日夕方のパトロールも「都合がつかない時はできなくてもしょうがない」というスタンスに近かった。

 係としては「下校指導」を担当したが、お便り作成などの細々した作業はリーダーさんが一括で行ってくれた。これまでPTA活動だけのために学校に足を運んだのは、校外委員の引き継ぎ、下校指導係の顔合わせ、入学説明会のお手伝いの3回で、所要時間はそれぞれ1〜3時間くらい。間もなく始まる下校指導を入れると1年間で4回だ。

 仕事や体調不良でこれらを欠席する人もいたが、LINEで連絡を取るなどして、特に支障は生じなかった。平日夕方のパトロールは在宅勤務の合間に対応でき、その報告もメールでOK。

 総合的に見て、委員としては結構楽なほうだったのだろうと思う。もちろんあくまで私の場合だ。リーダーになったり、在宅勤務が不可能だった場合は、負担感はもっと大きかったと思われる。

 とはいえ、活動内容そのものに対して「やる意味あるの?」と感じることは少なくなかった。例えば、夕方のパトロールや自転車カゴにつけるパトロールプレートに、どれだけの防犯効果があるのか甚だ疑問だ。

 ちなみに、「労力の割に大した金額にならない」とネットニュースでたびたび話題になる「ベルマーク」の係は、うちの小学校では希望者が多いらしい。単純作業で活動時間に融通が利くからだろうか……? 

 まあ、実質強制加入で、「委員は子ども1人につき1回」がルールのPTAで、委員をやる保護者の立場からすれば、金額とか活動の意味とか、どうでもいいことなのかもしれない。どうせタダ働きなんだし。

 PTAに疑問を抱いたり、実際に困っているという人におすすめしたい本がある。8年にわたりPTAを取材してきた大塚玲子氏による『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版、2021年11月刊行)だ。

 本書では、PTAが忌み嫌われる最大要因ともいえる役員・委員決めや非会員家庭の子ども差別など、PTAの問題点を指摘。本来、入退会は自由で「任意加入」であるはずのPTAの仕組みを説明し、自動加入や会費引き落とし、個人情報の取り扱いなども拾い上げ、日本中に散らばっているであろう、PTAの「理不尽」をわかりやすくあぶり出している。

 さらには、PTAを「改革」する時の実践方法やポイント、実際に会長や役員になって会則変更などの改革を成功させたケースも紹介されている。

 しかし何よりも画期的なのは、会長でも役員でも委員でもない一般会員、あるいはPTA非加入家庭が、PTAに自分の疑問や意見を伝える方法をレクチャーしている点だ。会長や何らかの役職に就き、率先してに導こうという熱意がなくとも、疑問や意見は表明してもいい。

 そして、「退会したってかまわない」「退会は、いつでも可能」ともハッキリ書かれ、退会する時の手順も指南されている。

 この春、我が子の通う学校のPTAに不安があったり、早くも「理不尽さ」を感じている人にとっては、実用的で、お守りになるような1冊だ。

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