「ホームランを打って借りを返したい」と決意してから4年。ロッテ・山口と日ハム・吉田のライバル対決が一軍公式戦で実現

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2022年04月16日 20:21  ベースボールキング

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日本ハム・吉田輝星から安打を放ったロッテ・山口航輝 (C)Kyodo News
◆ 一軍の公式戦で初対決

 「自分は吉田(輝星)のことをライバルと思っています。今年(2018年)の夏は自分が打てず決勝戦で負けてしまった。プロの世界に入って、自分がホームランを打って借りを返したいと思います」。

 2018年12月4日に行われた新入団会見で、このように意気込んでいたロッテの山口航輝とライバル・吉田輝星(日本ハム)の対戦が、16日の日本ハム戦で一軍の公式戦で初めて実現した。

 3−7で迎えた6回一死走者なしで迎えた山口の第3打席、1、2打席目は先発・伊藤大海の前に抑え込まれていたが、この回からマウンドにあがった吉田に対し、2ボール2ストライクからきたインコース高めのストレートを振り抜き、レフト前にはじき返した。

 20年、21年の二軍公式戦、一軍の舞台で初対決となった3月8日の日本ハムとのオープン戦では二直、左飛に抑えられていたが、一軍の公式戦初対決はレフト前に安打を放ち山口に軍配が上がった。


◆ 高校時代からあった対決

 ロッテの山口と日本ハムの吉田輝は、高校時代に甲子園出場を目指し、切磋琢磨した間柄。高2年夏の秋田県大会決勝は、山口の明桜高が吉田輝星のいる金足農業高を下し甲子園出場を果たしたが、高3夏の決勝で金足農業高に敗れた。山口も吉田輝星の前に4打数0安打3三振。

 「2年生のときは普通に打てるボールで、変化球も放れていなかったので、真っすぐ張っておけばどうにかなるピッチャーだった。そう考えると3年生になって球の質も変わって、変化球も良くなっていて成長していると思いました」。

 初めて対戦した高校2年春のときから比べものにならないくらい成長したライバルを前に完敗だった。

 そして、山口のいる明桜高校を破った金足農業高は夏の甲子園で、鹿児島実業高、大垣日大高、横浜高、近江高、日大三高を破るなど、快進撃を続け“金農旋風”が巻き起こった。決勝では藤原恭大(ロッテ)、根尾昂(現中日)らがいた大阪桐蔭高に2−13で敗れたが、秋田でしのぎを削ったライバルの吉田輝星は“甲子園”の舞台で躍動した。

 「(決勝で)負けたときは、金足農業に頑張って欲しいなと思っていました。ただ、甲子園の活躍をテレビとか、1回応援にも行ったんですけど、やっぱり悔しいというのが正直ありますね」。

◆ プロでも名勝負に期待

 秋に行われたドラフト会議で吉田輝星が、1位で日本ハムへ。山口も4位でマリーンズから指名を受けた。山口と吉田輝星は同じパ・リーグに所属するチームに入団が決まり、山口は「一緒のパ・リーグで嬉しかった」と喜んだ。

 プロ1年目の19年は対戦が実現しなかったが、対戦が訪れそうな場面もあった。19年3月26日に行われた日本ハムとの二軍戦は、吉田輝星が6回からマウンドに上がり、山口に打順が回ってきたが高濱卓也に代打を送られ、対戦とはならなかった。

 山口は、吉田が投げていたボールに「だんだん速くなってきた印象。一昨日(19年5月8日)見てあいつらしい球を放っていた。今が本来の吉田のボールに戻っているんじゃないかなと思います」と対戦を待ち遠しそうにしている姿が印象的だった。

 2年目の20年は7月11日の日本ハムとの二軍戦で、「力はたしかに入りました」とプロ入り後初めて対戦が実現。0−0の3回無死走者なしで迎えた第1打席、1ボール2ストライクからの5球目の128キロフォークに手を出すも右飛。続く0−0の5回一死三塁の第2打席は1ボール2ストライクから130キロのフォークで空振り三振に倒れた。

 「負けていられないというのはやっぱり一番ですし、あの夏やられて負けたので、ファームの試合ではなくて、一軍の試合で、一軍で打ってこそやと思っているので、一軍の試合でホームランを打ちたいと思います」(21年2月2日取材)。

 3年目の昨季は山口が一軍デビューを飾るも、一軍での対決は実現せず。二軍では、8月11日の日本ハムとの二軍戦で対戦し、0−0の2回一死走者なしの第1打席1ボール2ストライクから141キロのストレートに見逃し三振に倒れると、1−3の4回一死二塁の第2打席は3ボール2ストライクから8球目のスライダーを打つも三ゴロ、1−3の6回二死走者なしの第3打席は二飛。昨季の二軍公式戦の対決はこの1試合だけだった。

 今季は、昨年2月の取材で「一軍で打ってこそ」と話していた中で、本塁打とはならなかったが、一軍の公式戦初対決でレフト前に安打を放った山口。ただ、4年前の12月の入団会見から、吉田輝星から本塁打を打って、“あの夏”の悔しさを晴らすという思いは変わらなっていないだろう。ここ最近、投手と野手の1対1の名勝負というのが少なくなってきたなかで、山口vs吉田輝星には、江川卓vs掛布雅之、川上憲伸vs高橋由伸といった後世にも語り継がれるような熱い対決を繰り広げて欲しいところ。そのためにも、山口がマリーンズの中心打者、吉田がファイターズのエースとなり、優勝を争う戦いのなかでライバル対決を見たい。

◆ 山口航輝と吉田輝星のプロ入り後のライバル対決
▼ 2020年7月11日vs日本ハム二軍
第1打席:右飛
0−0の3回無死走者なし
1球目:122キロカーブ ボール
2球目:122キロカーブ 見逃しストライク
3球目:143キロストレート 空振り
4球目:128キロスライダー ファウル
5球目:128キロフォーク 右飛

第2打席:三振
0−0の5回一死三塁
1球目:143キロストレート ファウル
2球目:141キロ高めボール球ストレート 空振り
3球目:131キロフォーク ファウル
4球目:130キロフォーク ボール
5球目:130キロフォーク 空振り三振

▼ 2021年8月11日vs日本ハム二軍
第1打席:見三振
0−0の2回一死走者なし
1球目:142キロストレート 見逃しストライク
2球目:142キロストレート 見逃しストライク
3球目:131キロフォーク ボール
4球目:131キロフォーク ファウル
5球目:141キロストレート 見三振

第2打席:三ゴロ
1−3の4回一死二塁
1球目:121キロスライダー 見逃しストライク
2球目:137キロストレート ボール
3球目:123キロスライダー ボール
4球目:136キロストレート 見逃しストライク
5球目:130キロフォーク ファウル
6球目:139キロストレート ファウル
7球目:123キロスライダー ボール
8球目:127キロスライダー 三ゴロ

第3打席:二飛
1−3の6回二死走者なし
1球目:スライダー ボール
2球目:ストレート ボール
3球目:ストレート 二飛

▼ 2022年4月16日vs日本ハム
一軍初対決:左安
3−7の6回一死走者なし
1球目:127キロスライダー 空振り
2球目:130キロスライダー ボール
3球目:147キロストレート ファウル
4球目:130キロスライダー ボール
5球目:ストレート 左安

※二軍教育リーグ、フェニックス・リーグ、オープン戦の対決は含まない

取材・文=岩下雄太

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  • また不都合から目を反らした岩下の誤魔化し記事。五右衛門の乱調からの大敗の原因を書くのが本当の番記者だ。岩下は辞めろ。
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