『私の解放日誌』の謎の男、ソン・ソック演じるクの心の内が明らかに 崇めることでの変化

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2022年05月01日 08:01  リアルサウンド

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『私の解放日誌』(JTBC公式サイトより)

 「私は立派な人間だ。愛を求めたりはしない」と言いながら、殺虫剤を買いに行ったついでに、ク(ソン・ソック)のために焼酎を買ってくるミジョン(キム・ジウォン)。Netflixで配信中の韓国ドラマ『私の解放日誌』では、ミジョンとクの関係が大きく動き出していた。


【写真】兄・チャンヒの恋模様


 前週配信の第4話最後で、「崇めること」を一歩行動として表したク。「崇めれば、春には別の人になっているのか」と期待して聞くクに対して、ミジョンは「初めて何かを経験した後別人になれたから、一回なってみればいい」と、少し微笑みながら言うのだった。


 そして、クはまた行動に出る。ミジョンの父に電話番号を聞き、ミジョンを食事に誘ったのだ。無言で食事する二人だったが、帰り道、ミジョンも歩み寄り、好きな人がいないことを明かす。兄と姉は嫌いだし、親でも好きという感情だけではない、と。少しずつではあるが、二人がお互いを知るようになっていくと同時に、視聴者としても無口な二人の心が少し読めた瞬間だった。


 一方で、毎日欠かさず酒を飲むクは、自分の部屋に焼酎の瓶を溜め込んでいた。それでもお皿洗いが面倒なのと同じように片付ける気にならず、チャンヒ(イ・ミンギ)がそれをみて片付けようとする。しかし、「自分のクソは自分で片付ける」とクは苛立ちを見せた。後にミジョンに対し、人と関わることについて「どう答えるか考えること自体が重労働だ」と心の内を明かした。だからこそ、ミジョンを崇めることで変わろうとしているんではないだろうか。そして、ミジョンもクに共感するように、「なぜ生きるのかは分からないけど生きているうちはきちんと歩こう」と、自分を奮い立たせていると話すのだった。


 少しずつ「崇める」ということをしようとしているク。お互いのチャットのやり取りで「返信が来ると給料日みたいに嬉しい」と思わず返してしまうミジョン。二人は今まであまり喋らず、寡黙なキャラクターだったために、今回は会話の部分が長くそれだけ引き込まれてしまう。また、ミジョンは同僚とコミュニケーションを明るく取ったり、クは焼酎の瓶の片付けを自分の力で行うようになる。人に無関心だった二人が関心を持つようになることは、愛以上に大きな力を持っていると言えるだろう。


 どの同好会にも属したくない、同じ会社に勤めるサンミン(パク・スヨン)とテフン(イ・ギウ)と結成した「解放クラブ」。せめて何か活動を残してほしいからと、日誌を書くように言われてしまう。一冊のノートを手にしたミジョンは、その日誌に「心から好きな人」というテーマで言葉を束ねた。彼女は今まで、人間に対して嫉妬するところや嫌なところがあって、「心から好きな人」というのはいなかった。それが自分の心を少しずつ疲弊させ、孤独に苛まれたり置き去りにされたと感じる原因かもしれない。無関心に人と関わるより、ただ好きになってみたい。そう解放日誌に綴った。


 本作のセリフひとつひとつ、本を読んでいるかのようなずっしりとした重みがある。これからこの日誌に彼らの気持ちが綴られることによって、より人間の心に寄り添い、共感するような言葉が出てくるようになりそうだ。自分達が感じた感情を、言葉に置き換えてくれるそんなドラマであるとも捉えられる。


 もちろん、姉・ギジョン(イ・エル)と兄・チャンヒの恋模様も描かれている。ただいい人を見つけるというだけでなく、恋愛を通して自分個人の存在意義、そして何が原動力になっているのかを知っていく。そして兄妹だけでなく、両親との関係も今後注目すべき点になりそうだ。まだまだ、ヨム兄妹を取り巻く人間たちの過去や本心を読み取ることが難しいが、これからも彼らの歩みを見守っていきたい。


(伊藤万弥乃)


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