ウグイス嬢や審判、監督もまさかのミス…一軍選手なのに間違えられた「悲しき人々」

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2022年05月03日 07:12  ベースボールキング

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鷹の守護神も初登板の洗礼を受けていた…!?
◆ウグイス嬢がまさかの“チョンボ”?

 現代では地上波でのテレビ中継も減り、お茶の間で野球を見るという機会は減っているかもしれない。

 とはいえ、プロ野球選手というと世間一般には名が通っている。ある程度活躍している選手ならば、野球に興味のない人を除いて、名前を間違えられるイメージはあまりない。




 ところがどっこい、時には一軍の選手でも、よりによって球界関係者から名前を間違えられてしまうこともあるのだ……。

 記念すべきプロ初登板時にウグイス嬢に名前を間違えられたのが、ソフトバンク・森唯斗である。

 ルーキー時代の2014年5月11日の西武戦。森は7−1と大きくリードし、勝利まであと1人となった9回二死からマウンドに上がった。プレッシャーのかからない場面で、試運転させてあげようという秋山幸二監督の“親心”でもあった。



 オープン戦4試合を無失点に抑え、開幕一軍濃厚とみられていた右腕だったが、3月13日の中日戦で左足太もも裏を痛めたことから無念の二軍降格。その後、故障も治り、5月2日に一軍初登録されたばかりだった。アクシデントで1カ月出遅れた分を取り戻そうと、気合十分でマウンドに向かったのは言うまでもない。

 ところが直後、投手交代の場内アナウンスでまさかのハプニングが起きる。

 「ピッチャー、柳瀬(明宏)に代わりまして森福(允彦)」

 別人の名前がアナウンスされたので、森は一瞬きょとんとし、スタンドのファンはワンサイドの試合にも関わらず中継ぎエースが登板すると思い込んでドッと沸いた。


 「森」を「森福」と聞き間違えたウグイス嬢のチョンボ。すぐに訂正されたが、本人は「『森福』から『森』なので、(森福見たさの)球場が静まり返りましたね」と居たたまれない思いだった。

 それでも「緊張したけど、思い切り投げられた」と直球を2球続け、秋山翔吾を二ゴロに打ち取りゲームセット。名前を間違えられても、仕事はきっちりはたした。

 絶対的な守護神となり、「ピッチャー、森」のアナウンスとともにスタンドが大熱狂する今では、ちょっと想像できないような話である。


◆ 審判が“退場選手”の名前を間違える

 審判に名前を間違えられるという“誤審”に等しい扱いを受けたのが、日本ハム時代のナイジェル・ウィルソンだ。

 1997年9月5日の近鉄戦の6回。ウィルソンは西川慎一に胸元をかすめるボールを投げられたことに激高。2回の第1打席でも、香田勲男からリーグトップの13個目の死球を受けたばかりとあって、「もう我慢ならねえ」とばかりに怒り心頭でマウンドに突進した。

 身の危険を感じた西川はいち早く逃走。荒れ狂うウィルソンはタフィ・ローズや大石大二郎ら数人の手で取り押さえられた。


 結果的に暴行未遂で終わったが、前川芳夫一塁塁審は「(成り行き上)退場させるしかなかった」と判断。ウィルソンに退場を宣告した。

 ところが、新屋晃球審が場内説明の際に「ウィリアムは退場とします」と名前を間違えてアナウンスしたため、日本ハム・上田利治監督が「(退場理由について)何の説明もない。ウチの看板選手の名前も間違えやがって」と審判団に猛抗議。ウィルソンも「(死球騒動の)イチローのことだけじゃなく、オレの(死球禍の)ことも書いてくれ」と試合後も怒りが収まらなかった。


◆ 長嶋茂雄監督が残した“珍エピソード”

 名前の呼び間違いといえば、巨人・長嶋茂雄監督も数々の珍エピソードを残している。

 清水隆行を「柳田(真宏)」、広沢克を「広岡(達朗)」、上原浩治を「二岡(智宏)」と呼び間違えた話は有名だが、極めつけは2000年にドラフトで2位(逆指名)で入団した谷浩弥だ。

 社会人時代の在籍チームが「田村コピー」だったことから、前年10月の逆指名会見の日に長嶋監督から「あっ、あの田村君ね」と言われてしまう。

 11月の入団会見では「長嶋監督に早く名前を覚えてもらえるよう頑張ります」と挨拶した田村だったが、その後も「田村君」のままで、「谷コピーの田村君」と呼ばれたという嘘みたいな話も伝わっている。


◆ オンラインの公示申請で“うっかりミス”

 最後はオンライン時代ならではの“取り違え騒動”を紹介する。

 まさかの事件が起きたのは2013年。阪神は7月4日の巨人戦を前に、投手の白仁田寛和に代わって捕手の“清水誉”を一軍登録した。

 ところが、公示されたのは清水ではなく、なぜか投手の“清原大貴”だった。実は、球団関係者がオンラインで公示申請を行った際に、うっかり同じ「清」のつく名字を取り違え、清水のつもりで清原を入力してしまったのだ。


 一軍昇格を告げられた清水はすでにチームに合流していたが、公示されたのが別人である以上、7月4日の試合には出場できない。

 一方、清原は間違って一軍登録されたとは夢にも知らず、二軍の鳴尾浜球場で練習中だったが、練習が終わった午後4時前、突然「甲子園に来るように」と呼び出され、目を白黒させながら駆けつける羽目になった。

 いきさつはどうあれ、棚ぼたの一軍昇格は、自身をアピールするチャンスでもあったが、この日は0−1の接戦だったため出番なく終わり、翌日には清水と入れ替わりで二軍にUターンとなってしまう。

 その後、一軍再昇格をはたした清原は7月28日のDeNA戦で8回から敗戦処理としてマウンドへ。その時の捕手はなんと清水。奇しくも取り違えられた者同士がバッテリーを組むことになった。これも何かの因縁だろうか……。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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