『Nintendo Switch Sports』に集まる高評価。任天堂の体感型スポーツゲームが支持される理由

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2022年05月07日 10:01  リアルサウンド

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『Nintendo Switch Sports』(C)Nintendo

 4月29日、『Nintendo Switch Sports』がリリースを迎えた。


 2006年にWiiで発売され、大ヒットを記録した『Wii Sports』。その流れを汲む同タイトルに、さっそく高評価の声があがっている。


 任天堂の体感型スポーツゲームは、なぜこれほどまでに支持されるのだろうか。同社が確立したジャンル・シリーズの魅力と、『Nintendo Switch Sports』の可能性を考える。


【画像】まるで『Fall Guys』な体験ができる『Nintendo Switch Sports』のサッカー


・8年半ぶりの任天堂『Sports』シリーズ最新作『Nintendo Switch Sports』


 『Nintendo Switch Sports』は、『Wii Sports』から続く任天堂『Sports』シリーズの第4作(リメイクを含む)。Nintendo Switch専用コントローラー「Joy-Con」を操作端末に、画面の前で実際に体を動かせる、体感型のスポーツゲームだ。


 収録されている競技は、バレーボール、バドミントン、ボウリング、サッカー、チャンバラ、テニスの6種類(2022年秋にゴルフが追加予定)。プレイヤーが「Joy-Con」を片手に各競技さながらの動きをすることで、画面上のキャラクターが反応する仕組みとなっている。オンライン対戦にも対応しているため、世界中のプレイヤーと実力を競うことも可能。勝つとゲージが上昇し、より上位のランクへと上がっていく。


 ゲームの性質上、Nintendo Switch Liteのみではプレイできず、据置型のNintendo Switchでも携帯モードでは遊べない。Nintendo Switch Proコントローラーにも対応していないため、プレイする場合は「Joy-Con」が必須となる。


 価格は、パッケージ版が税込5,478円、ダウンロード版が税込4,300円(※)。オンラインプレイ時には、Nintendo Switch Online(有料)への加入が必要だ。


※パッケージ版には、サッカー「シュート対決」に必要なレッグバンド(税込1,100円)が付属。ダウンロード版を選択した場合には、別途購入しなければならない。


・『Nintendo Switch Sports』支持の理由は“プレイヤー目線の工夫”


 任天堂は過去にも、『Sports』シリーズ作品を筆頭に、実際に体を動かすスポーツゲームを複数発表し、それぞれがヒットへとつながっている。直近では2019年10月発売の『リングフィット アドベンチャー』も、全世界で約1,400万本(2021年12月末時点)を売り上げる大ヒットを記録した。なぜ任天堂発の体感型スポーツゲームは支持されるのか。その理由を紐解いていきたい。


 最初に挙げておかなければならないのは、老若男女を問わず、誰でも楽しめるゲーム設計だ。たとえば『Sports』シリーズ作品は、基本的にコントローラーを振る操作のみで遊べる仕様であるため、不慣れなプレイヤーでも肩ひじを張らずにゲームに参加できる。このカジュアルな設計は、もちろん『Nintendo Switch Sports』にも踏襲されており、同タイトルでは、テニスなどの移動をともなう競技においても、プレイヤーがキャラクターの位置を合わせる必要がない。こうした点がライト層のプレイのハードルを下げているのは明白である。各作品が気軽に手に取れるタイトルとして幅広い層に支持される1番の理由だろう。


 一方で、コア層に向けては、オンライン対戦やランク制を採用することで、「ただ運動するだけ」というコンセプトからの脱却も果たしている。突き詰めて遊びたいプレイヤーは、さらなる上達を目指して、勝敗やランクの上下を意識できる。カジュアルに見えて、その先にはアクション、スポーツジャンルならではの競争も存在していることが、「さまざまな層が同じフィールドで戦う」という、シリーズ特有の面白さを演出しているのだ。


 また、没頭して長い時間遊んでしまうような工夫も施されている。1戦あたりの拘束時間が短い点だ。熱中するうち「もう1試合!もう1試合!」と長く遊んでしまった経験が、多くのプレイヤーにあるのではないだろうか。もし1戦が長い仕様であったならば、きっとこうしたのめり込みは生まれいなかったに違いない。これは、ジャンルこそ違うが、PS Plusで4月のフリープレイとなっていた『Slay the Spire』のそれと同質の中毒性であると言える。コンテンツそのものの面白さを前提に、随所にプレイヤー目線の工夫が盛り込まれていること。この点が任天堂の体感型スポーツゲームが広く支持される理由の根幹だ。


・誰もが感じられる面白さこそ、任天堂が追い求めた遊び心の根幹である


 『Nintendo Switch Sports』のサッカー競技のトレーラーを観たとき、私は“あるアクションゲーム”の存在が頭をよぎった。そのタイトルとは、『Fall Guys: Ultimate Knockout(Fall Guys)』である。2020年夏、彗星のごとく現れ、あっという間にトレンドへと上り詰めた同作にも、『Nintendo Switch Sports』のサッカー競技と似た性質を持つステージがあった。


 『Nintendo Switch Sports』は今後、アップデートを重ねていく(特に「チャンバラ」のような種目が増えていく)ことで、体感型『Fall Guys』のようなタイトルとなっていくのかもしれない。同作をプレイした人にならわかってもらえると想像するが、もし『Fall Guys』の世界を体感できるコンテンツがあれば、そこにはほかに類を見ない、良い意味で頭がおかしくなりそうな面白さが横たわっているはずだ。


 こうした遊び心と、誰でも遊べる仕様の合体は、ファミリー機として不動の地位を確立したNintendo Switchの集大成とも言える。任天堂『Sports』シリーズ8年半ぶりの最新作には、無限の可能性が眠っているような気がしてならない。(結木千尋)


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