米アップルの元管理職・松井博さんが指摘する英語学習の問題点 ネイティブに一発で通じる発音を

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2022年05月13日 07:00  AERA dot.

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写真「英語を英語のまま理解することが大事」と語る松井博さん(写真/Brighture提供)
「英語を英語のまま理解することが大事」と語る松井博さん(写真/Brighture提供)
 米アップル本社でシニアマネジャーを務め、アメリカに25年間住んだ松井博さんは、どのように英語をマスターしたのでしょうか。『AERA English2022』(朝日新聞出版)では、日本人が英語を習得するために心がけるべきことを聞きました。


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*  *  *


 初めて英語に触れた中学生のころ、英文科出身で教育熱心な母に、英語の教科書を丸ごと暗記させられました。この丸暗記という変わった勉強法が後々効きました。


 16歳で交換留学生として1年間、アメリカの現地校に通ったのですが、英語を話せないことは死活問題でした。クラスメートからは下手な発音をまねされ、ファストフード店ではオーダーが通じない。心の傷に塩を塗りながら必死に覚えました。


 日本語を頭の中で英語に翻訳して話したり、相手の話を和訳して聞いたりしているうちは、「英語が話せない人」と思われて相手にされません。頭の中の「翻訳作業」をやめて、話すスピードを重視しました。ここで中学英語を英語のまま丸暗記していたことが効き、比較的すぐに「翻訳癖」をなくすことができたのです。


 8月に渡米し、12月には周りの言っていることがわかり、帰国するころには会話を楽しめるようになっていました。帰国後はがぜんやる気が出て、海外の大学へ進学しようと、起きている時間の半分を英語学習にあて、洋書50冊、TOEFLの問題集を何周も解き、家でFEN(在日米軍向けラジオ)を流しっぱなしにしました。


■使うことを前提に英語を学ぶべきだ


 アメリカの大学を卒業後、エンジニアとしてアップルジャパンで働き始め、2002年に米国本社に移籍しました。スティーブ・ジョブズというカリスマ経営者の下、傑出した人材ばかりの中で、自分はネイティブでないからという甘えは一切通じない世界でした。


 そのころ、カリフォルニアに駐在している日本人に英語を教えてほしいと頼まれるようになったのです。みんな一流大学を出ているのに、英語で苦労している。日本の英語教育には根本的な問題がある、と感じました。



 彼らの英語力が乏しいのは、使うことを前提に学んでいないから。和訳中心の授業のせいで、頭の中でまず翻訳する癖が染みついて、発話するまでに時間がかかる。正しい発音を教えられていないから、ローマ字やカタカナ英語に引っ張られて発音も変になっている。よく「カタカナ発音で大丈夫!」なんて言う人がいますが、大ウソです。実際アメリカでは、外国人に慣れていない地域に行くと、悲しくなるほど通じないのが現実です。また、日本人によくみられる、舌を巻いて音をこもらせた「英語ふう」な発音はもっと通じません。


 発音の障壁がなくなるだけで、話すのは楽になります。自分が発音できる音は、確実に聞き取ることができるし、にわかに信じがたいでしょうが、正確な発音や音のつなぎ方がわかると読み書きのスキルまでも格段に上がっていきます。


■めざすのはネイティブに一発で通じる発音


 ではどんな発音を身につけるべきか。日本人がめざすのは「ネイティブ同様の発音」ではありません。「聞き手が一発で理解できる発音」です。ネイティブ同様の発音を習得するのは、幼少期から英語圏に住んでいないと難しいですが、「通じる発音」は大人になってからでも訓練で身につけることができます。


 仕事で使う英語を習得したいなら、ネイティブの日常会話をすべて理解できる必要はありません。また、試験スコアや資格取得自体を目的にしないことです。僕自身アップル時代にたくさんのノンネイティブを採用しましたが、TOEIC のスコアを尋ねたことはありません。その人の英語力は5分も話せばわかるからです。それよりも「自分の専門分野なら英語でも日本語でも困らないレベル」をめざしましょう。


【松井博さんのおすすめ英語学習教材・ツール】


◇自分の発音をAIが判定 楽しみながら矯正できる
発音矯正アプリ「ELSA Speak」
ネイティブには悲しいほど通じない日本人の発音。AIの発音コーチがネイティブ度を判定、弱点も指摘してくれる。



◇三つのルールで書けば会話のネタも増えていく
『ハーバード式5行エッセイ英語学習帳』(コスモピア)
たった5行の英文を書くだけで自分の言いたいことが整理され、わかりやすく伝わるという目からうろこの指南書。


◇物書きをめざす人には必ず読んでほしい一冊
『Nobody Wants to Read Your Sh*t』(Black Irish Entertainment, LLC.)
米国で映画のシナリオライティングをしている著者による書き方指南。「これまでで一番役に立った本」と松井さん。


◇机上の英文法を使える英語にまで高める
『英語のハノン 初級』(筑摩書房)
英語の型を反復練習することで自然に話せるようになるドリル教材。「毎日続ければ劇的に変わる」(松井さん)


松井 博(まつい・ひろし)
1966年生まれ。米国で大学卒業後、米アップル本社シニアマネジャーを経て2009年、カリフォルニア州で保育園を開業。15年、フィリピン・セブ島に英語学校Brighture English Academy 創設。


(文/曽根牧子=編集部)


※『AERA English2022』から抜粋


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