第2次大戦後の1947年、実業家のデービッド・ブラウンの傘下となったことから、アストンマーティンが生産するクルマの名称に彼のイニシャルである「DB」がつけられるようになった。1948年の「DB1」に始まり、1950年の「DB2」などニューモデルごとに数字が増えていき、1963年の「DB5」へと続いていく。この時期に生産されたクルマは、ノーズ先端に装着する羽根型のロゴマークに「DAVID BROWN ASTON MARTIN」の文字が刻まれている。
先日の「AUTOMOBILE COUNCIL 2022」(オートモビル カウンシル 2022、4月15日〜4月17日に幕張メッセで開催)では、「AC MINDS」(愛知県岡崎市)のブースで「DB5」を見ることができた。
このクルマを手に入れたらジェームズ・ボンドのようになれるかは別として、クルマ自体は抜群のミントコンディションをキープ。2020年1月6日発行の「British Motor Industry Heritage Trust」の書類付きという由緒正しい個体だ。そこに記入されたデータによると、
「アストンマーティンDB5サルーン、右ハンドル。スーパーレッジェーラ製法(ボンネットフードに記載)で制作された軽量ボディのchassis number『DB5 2154/R』で、1965年5月5日に新車登録され、英国バーミンガム近くのウォルバーハンプトンにあるディーラー『Cyril Williams Motors』で販売されている。ボディサイズは全長4,572mm、全幅1,676mm、全高1,346mm、地上高152mm、ホイールベース2,489mm、トレッドはフロント1,372mm、リア1,359mm。車重は1,465kg」
カラーコード「ICI MO 35-2829」のシルバーメタリック(silver birch)塗装で、フロントに搭載するNo.400/2148のエンジンはオールアルミニウム製のヘッドとブロックの直列6気筒、ボア・ストロークは96mm×92mmで、排気量は3,995cc。最高出力282hp/5,500rpm、最大トルク288lb ft(392Nm)/4,500rpmを発生する。現車に取り付けられていたキャブレターは純正のトリプルSUからトリプルウェーバーに換装されている(ヴァンテージ仕様)ので、実際には314hpまでパワーアップがなされているようだ。
AC MINDSの澤野大介さんによると、DB5は1963年から1965年9月までの約2年間で約900台が製造されていて、この個体は日本に来て3人のオーナーの手に渡ったとのこと。最後のオーナーによって全てのオーバーホールが行われていて、しっかりと効くクーラーも装着済み。日本でも快適な走行が可能になっている。価格は8,380万円となかなかのものだが、それでジェームズ・ボンドに変身できるのであればお安い、のかもしれない。