コロナ禍で目立つ建設・工事業の倒産…「一時的に解体工事が増えたが、受注減少」「資材不足でストップした現場も」経営者に聞いた理由

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2022年05月16日 15:20  まいどなニュース

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写真コロナ禍で建設・工事業の倒産が目立ちます(masa/stock.adobe.com)
コロナ禍で建設・工事業の倒産が目立ちます(masa/stock.adobe.com)

新型コロナによる経済停滞のあおりを受け、倒産や廃業を選ばざるを得ない企業が少なくありません。帝国データバンクによると、2022年3月16日までに新型コロナ関連倒産は全国で3000件に到達したといいます。業種別に倒産件数をみたとき、意外に多いのが「建設・工事業」の倒産です。1位の飲食店(481件)に次ぐ2位(341件)で、大打撃を受けたと言われている「ホテル・旅館」(131件)などよりも多くなっています。なぜ建設・工事業の倒産件数が多くなるのか、建設・工事業のティーエスケイ株式会社(神奈川県川崎市)の代表取締役社長・齋藤篤史さんにうかがいました。

【グラフ】業種別の倒産件数。「飲食店」が最も多いですが…

解体工事の発注で一時的に売上げアップしたものの…

外出自粛などで「人の流れ」が止まり、大打撃を受けたのが飲食店。感染防止のための休業協力金が出されても苦しい経営状況が続き、店を畳むことが多いようです。この倒産により、店舗などの解体工事の発注が増え、ティーエスケイでは一時的に売上がアップしていたといいます。

しかし、協力金がいきわたり始めた2021年3月ごろから解体工事の依頼は激減。他の受注も減り、工事がストップする現場も増えました。現在もコロナ禍前から比べると、売上は3分の1ほどになっているといいます。

――建設・工事業の倒産件数が多い原因で考えられることは何でしょうか?

齋藤:企業が新たな発注を控えている点と、海外で製造されている資材が入ってこず、現場がストップしている点が考えられます。弊社でも本来終わっているはずの現場が、止まったままのところがあります。

――そうなると、現場作業員は休業ですね。

齋藤:そうですね。それでは生活ができませんので、他業種に転職する人も少なくありません。その結果、人手不足で倒産をする企業も多いはずです。弊社はそれを防ぐため休業補償を社員に出し、その上で採用にも力を入れています。

コロナ禍で求人応募に変化

――現場が動いていないにも関わらず人材を確保する理由は?

齋藤:資材不足などが解消し、いざ現場が動き始めた時に「どれだけ人材を確保しているか」が、不況を乗り切る鍵だと弊社は考えているからです。景気が回復しても、人手不足ではせっかくの依頼を請けられません。これでは開店休業状態です。いちから人材採用から始めなくてはならず、かなり経費がかかる。それに教育にかかる時間も経費もかかりますから、実は休業補償を出す方が安上がりなんですよ。

――なるほど。コロナ禍になって、新たに応募してくる人材に変化はありましたか?

齋藤:以前は地方から上京する際の足がかりとして応募する若者が多かったのですが、今はほとんどありません。現在は首都圏在住の20代が増えましたね。派遣切りにあったり、シフトを減らされたりで苦境に陥った若者が、寮がある弊社を希望してくれています。中には、興行が減った格闘家の若者もいるんですよ。

――格闘技のイベントは、以前と同じようにはいきませんね…。

齋藤:でも、いつかは以前と同じように戻ります。その時に向け身体づくりのためにも、弊社を選んでくれたそうです。若者の方がアフターコロナについて考えていますね。弊社は資格取得のサポートもしていますが、こちらもやはり若者の方が勉強熱心です

――バブル崩壊やリーマンショックの時と比べて、コロナ不況は深刻ですか?

齋藤:その2つの大不況に比べると、コロナ不況からの回復は早いと見ています。株価が下落し実体経済に反映されるのは2〜3年後で、建設・工事業があおりを受けるのはまたその先です。世間が好景気に戻りつつあっても、建設・工事業は不況のままということもありました。コロナ禍の場合、始まって2年で現場が動き始めています。弊社はこれからリニア新幹線や羽田空港の滑走路、高輪、東京駅前再開発などに関わる予定です。バブル崩壊とリーマンショックと比べると、かなり早い回復だと感じています。

元気の秘訣は…太陽とコミュニケーション

――それでも経営は苦しくありませんか?

齋藤:慌てず悲観的にならないことが、2度の大きな不況を経験し学んだことです。苦しい時こそ福利厚生を充実させ社員のモチベーションを上げる方が、のちのち売上につながることも経験から学んでいます。あと「私たちが日本を元気にする」という自負を持って働くようにもしています。いつまでもボロボロのビルや道路だと、景気が良くなっても気分は沈んだままになりがちです。新しいビルを建て、綺麗な道路を敷くことで街に活気が戻ってきますから。

――元気を保つ秘訣はあるでしょうか?

齋藤:先をある程度予想できるよう情報収集することと、太陽の下で体を動かすことですね。じっとしていても何も解決策は生まれません。あとはコミュニケーションを取ること。リモートワークによる孤立化が問題になってきていますが、建設・工事業だとそれは絶対にありません。チームでひとつの事業に臨むため、孤立なんてしていられませんよ。

――一致団結できる点も元気の秘訣?

齋藤:時々ケンカもありますが(笑)。一人で思い悩むよりも、ずっと良いと考えています。あとは仕事にワクワクするのも大事かと考えています。暗い表情のサラリーマンを街中で見ていると、建設・工事業に行けば良いのにと思ってしまいます。ビルや道路など成果が見えやすい仕事なので、達成感が他業種よりも高いはずです。「一緒に日本を元気にする仕事をしよう」と声をかけたいですね。

   ◇   ◇

▽ティーエスケイ株式会社
1979年、有限会社藤伸興業として齋藤一男が創業。2012年齋藤篤史が代表取締役社長に就任、2022年社名を「ティーエスケイ株式会社」に変更。現在、社員数94名。関東地方を中心に駅前開発や地下鉄工事、社会インフラ工事など幅広い事業を手掛ける。主な取引先は、(株)フジタ・(株)鹿島建設・大成建設(株)・(株)大林組など。多様化する依頼に対応できるよう、長年社員の資格所得に力を入れる。一つの技術に特化した企業でないため、初めて建設・工事業に飛び込む若者の勉強の場としての一面も持つ。密かな自慢は、元ホテルレストランの料理人が作る社員寮の美味しい食事。

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

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このニュースに関するつぶやき

  • 一番の理由は、この業界の「完工・引渡し後の支払」って悪しき慣習。下請程、最初の自己負担を強いられるからね。
    • イイネ!33
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