ヤマイモと誤食して死亡例も…ユリの一種「グロリオサ」の球根は毒性が強く危険【管理栄養士が解説】

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2022年05月16日 19:51  All About

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写真「ヤマイモ」に似た形の植物として、美しい花を咲かせるグロリオサの球根があります。毒性があるため誤食による食中毒事故も多く、死亡例も報告されています。見分け方と注意すべきポイントを解説します。
「ヤマイモ」に似た形の植物として、美しい花を咲かせるグロリオサの球根があります。毒性があるため誤食による食中毒事故も多く、死亡例も報告されています。見分け方と注意すべきポイントを解説します。

ヤマイモとは……ナガイモ・ジネンジョ・イチョウイモなどの一般的総称

ヤマイモ(山芋)には、丸いものや長いもの、イチョウのように広がったものなど、様々な形のものがあります。しかしこれらは実際には「ナガイモ」「ジネンジョ」「ダイジョ」「イチョウイモ」などの芋で、それぞれまったく別の種類のものです。

しかしいずれもヤマイモの一品種かのようによく似ているため、一般的にはこれらを総称して「ヤマイモ」と呼ぶことが多いようです。

ヤマイモの栄養素・主な食べ方

ヤマイモを、日本食品標準成分表2020年版(八訂)で確認すると、イチョウイモ、ナガイモ(ナガイモ)、ナガイモ(ヤマトイモ)、ジネンジョ、ダイジョの5種類があります。ツクネイモはヤマトイモの仲間です。

ヤマイモの栄養素は、表1に示す通り。
(表1)ヤマイモの栄養素・エネルギー

ナガイモ(ナガイモ)以外は100kcal程度のエネルギーを持っていますが、ナガイモ(ナガイモ)だけは、64kcalです。その他、多く含む栄養素は、食物繊維は1.0〜2.5g、カリウムは430〜590mgです(数値はいずれも「可食部100gあたり」)。

ナガイモ(ナガイモ)は生と水煮を比べてみても、大きな差は見られません。加熱をしても栄養素は保たれると考えて大丈夫です。

主な食べ方はすりおろして「とろろいも」にしても美味しいですし、すりおろしてお好み焼に混ぜてもふっくらして美味しいですね。すりおろしたり一口大に切って揚げ物にしたり、短冊切りや千切りにしたものを、酢の物やしょうゆとおかかをかけるだけでも美味しいです。

また、蒸しても美味しくいただけます。大きめにカットしたものは、茶わん蒸しにも合いますね(茶わん蒸しに入っているのを見つけると、得した気分になるのは筆者だけでしょうか?)。

ヤマイモに似たグロリオサの球根・過去の誤食事故と死亡例

根がよく似ているグロリオサの花。とても華麗な花ですので、見たことがある人も多いのでは?

グロリオサとは、ユリの一種(キツネユリ)です。真っ赤できれいな花ですので、公園などで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。自宅で育てているという人も少なくないかもしれませんね。

そんなきれいな花を咲かせるグロリオサですが、球根の見た目が食用のヤマイモとよく似ており、誤食をしてしまう事故が時折、起こります。グロリオサの球根にはアルカロイド類の「コルヒチン」という成分が多く含まれているため、誤食すると中毒症状を起こしてしまいます。

コルヒチン食中毒の主な症状は、嘔吐、下痢などの消化器症状、呼吸困難、急性腎不全、出血、脱毛などです。死亡例も多く見られます。

グロリオサは、寒冷地では屋外での越冬が難しいため、冬期は掘り起こして球根を保存する必要があります。食中毒の原因は、この状態のものをヤマイモと誤って食してしまうパターンがほとんどです。

グロリオサが自生しているスリランカやインドなどでは、グロリオサの球根が自殺目的に利用されてしまった報告例もあります。グロリオサの球根は身近に入手できるため危険性を感じにくいと思いますが、実際には簡単に致死量に至る毒性を持っているため、取り扱いには厳重に気を付けてください。

家庭では、食用のヤマイモとグロリオサの球根が混乱しないよう、それぞれをキッチンと倉庫などにしっかり分けて保存する他、認知障害を持つ人や小さな子どもなどの手が届かないところに保存するなど、家庭内でも気を付けてください。

家庭菜園などでヤマイモとグロリオサを育てる場合も場所が近いと混乱してしまいますので、しっかりと離して育てるようにしましょう。

ヤマイモとグロリオサの見分け方……ひげ根と粘り気の有無も確認を

ヤマイモと似たグロリオサの球根。ひげ根も粘り気もありません

生の状態では、ヤマイモは「ひげ根」と呼ばれる根が生えていますが、グロリオサの球根にはこの「ひげ根」がなく全体的につるつるしています。

日本における誤食はすりおろしたグロリオサ球根の生食によるものが多いのですが、グロリオサの球根をすりおろしても「粘り気」は出ません。「知り合いからもらったヤマイモをすりおろしてみたが粘り気が出ない」という場合は、残念ですが、食べないほうがよいでしょう。

グロリオサ食中毒の対処法・治療法

グロリオサを誤食して中毒症状が出てしまった場合、特異的な治療法はありません。誤食をしてしまったことに気づいた場合は、できるだけ早期に病院で診察を受け、早期に診断し、内視鏡的に除去する以外、対処方法がありません。

誤食を防ぐための心構え・注意点

先述の繰り返しになりますが、

・ヤマイモやグロリオサを育てる場合は、離して植える

・ヤマイモとグロリオサの球根の保存場所は離しておく

・特にジネンジョなど、自生しているヤマイモを食べる際には、少しでもすりおろしてみて「粘り気」があるかどうかを確認する

などに、注意してください。

グロリオサの球根は死亡事故も多く、ヤマイモもグロリオサの球根も「身近な場所」に普通にあるため、食中毒事故も起こりやすいです。ヤマイモを食べる際には、食の安全に注意しながら、美味しくいただきましょう。

■参考
・ヤマノイモの選び方(見分け方)(野菜ナビ)
・家庭菜園 ヤマイモ(JA西春日井)
・自然毒のリスクプロファイル:高等植物:グロリオサ(厚生労働省)
・桑原 佑典 ら、グロリオサの球根を自殺目的に摂取し死亡したコルヒチン中毒の1例(Wiley Online Library)

平井 千里プロフィール

メタボ研究を行いエビデンスに則ったダイエットを教える管理栄養士。小田原短期大学 食物栄養学科 准教授。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。前職の病院での栄養科責任者、栄養相談業務の経験を活かし、現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養の基礎を発信している。
(文:平井 千里(管理栄養士))

このニュースに関するつぶやき

  • グロリオサはユリ科ではなくイヌサフラン科。APG分類体系がスタートしてから20年以上経つと言うのに。
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