流れのある川では「ライフジャケット」 専門家が「命を守る3つのポイント」解説

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2022年05月18日 11:00  AERA dot.

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写真服などを着たまま浮かぶ練習をする児童。「背浮き」は長時間浮き続けることができ、救助される可能性が高くなる
服などを着たまま浮かぶ練習をする児童。「背浮き」は長時間浮き続けることができ、救助される可能性が高くなる
 新型コロナウイルスに対応した緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の行動制限がなくなり、川や山など観光地に人出が戻りつつある。一方、レジャーによる事故も相次いでいる。AERA 2022年5月23日号は、命を守る方法を紹介する。


【図】水難事故と山岳事故での死者・行方不明者の推移はこちら
*  *  *


 川の事故が後を絶たない。


 警察庁の統計では例年、700〜800人前後が水難事故で死亡・行方不明となっている。


 2020年のデータを見ると、事故が発生した場所は海が計722人のうち362人(50.1%)と最も多いが、川も254人と35.2%を占める。5月5日には愛知県豊田市の矢作川(やはぎがわ)で、川遊びをしていた19歳の男性が流され死亡した。


 河川に関する調査・研究をする「河川財団」(東京都)主任研究員の菅原一成さんは、川はどこもリスクがあるとした上で、事故が集中する「水難事故多発地点」があると指摘する。


「一つは、川が曲がっているところや大きな岩などがある付近です。流れが複雑になり、川底に向かって引きこむような流れが生じることもあります。そのように強く引き込まれると、水泳の選手並みの泳力をもってしても流れに逆らって泳ぐことはできません」


 あと一つは、水を一時的にせき止める取水堰(ぜき)やブロックなど「河川工作物」と呼ばれる付近。穏やかそうに見えても、周辺が急に深くなるなどしていて危険性が見えにくい。こうした場所には近寄らないことが大切。その上で、川で遊ぶ際は必ずライフジャケットを着用し、親子で遊ぶ時は流された時を想定して親は子どもより下流側にいることが重要だとアドバイスする。


■仰向けに浮く「背浮き」


 では、川で流された場合はどうすればいいのか。菅原さんは、(1)立たない(2)元いた場所に戻らない(3)流れの穏やかな場所に避難する──ことが大事だと指摘する。


 足がつきそうな場所では意識的に立とうとするが、そのとき足が石の間に挟まれるなどすると川の流れの力を全身に受ける。例えば、流速1メートルだと40キロ近い力がかかり、ライフジャケットを着けていても水中から顔を出すのが困難となる。また、流された場所に戻ろうとすると、流れに逆らうことになりリスクが増す。立ったり戻ったりせず、足を下流に向けて浮かぶ「ラッコ」の姿勢で、流れの緩やかな場所を目指して避難することが大切だという。




 ちなみに、服を着たまま仰向けになって浮く対処法を「背浮き」という。全身の力を抜き、背中を下にして水に浮く。救命胴衣やライフジャケットを着けていない状態で水に落ちても、水面から鼻と口が出て呼吸ができ、衣服内の空気が上に抜けにくいので浮きやすい。


 溺れている人を救助する際も注意が必要だ。河川財団の調べでは、救助行動をした人の約15%が二次被害に遭い、その多くが死亡・行方不明になっている。


「慌てて川に飛び込んで救助に行くのは最もリスクがある。陸側から声をかけて安全な場所に誘導したり浮くものを投げたりして、まず陸からできることを優先してください」(菅原さん)


 一見安全そうに見えて危険なのが、ため池だ。死亡事故だけで年間20〜30件近く起きている。先の斎藤さんによると、水面に波や流れがなく、陸地からは土手が緩やかな傾斜に見えても、水中は滑りやすくなっている。


「ため池に落ちて上ろうとしても、現役の水難救助隊員でも斜面を上ることは難しい。落水した場合は、背浮きの状態で浮いて助けを待つことが大事です」(斎藤さん)


■中高年が多い山の事故


 一方、山でも不慮の事故が多発している。警察庁の統計では山岳遭難での死者・行方不明者は毎年300人前後に及ぶ。年齢別では中高年が多く、20年は40歳以上が91.4%に上った。


 日本山岳会理事で同会遭難対策委員会委員長の川瀬恵一さんによれば、山の事故で多いのは「転倒・滑落」や「道迷い」。また、夏でも強い風や雨によって低体温症の心配があるという。大切なのは、自分の体力や技術に合わせた登山。その上で、日帰りだとしても、何らかのアクシデントによって計画通りに進まなかった時などに必要となる備えが重要だという。


「レインウェア、ヘッドランプ、地図とコンパス、ツェルト(簡易テント)、包帯やホイッスルなどが入ったファーストエイドキット。それと、予備の食料と水です。携帯電話の予備バッテリーもあると安心です。低い山でも高い山でも、どんな山でも必ずこれらを用意しておくのが、自分の身を守ることになります」(川瀬さん)


 また、万が一の場合に捜索救助の大切な情報となる登山ルートや連絡先を書いた登山計画書を必ず作成してほしい。家族や身近な人に渡すとともに、警察などの提出先にも出しておきたい。今はインターネットから提出できる登山届システムもある。川瀬さんは、山を楽しむためにも、登山の心構えが必要だとしてこう話す。


「しっかりと計画と準備を行い、山の中では自然に触れながらそのリスクも認識し、天候や難所などの自然の状況、自分の体調や体力、それらと向き合い的確な状況判断をしてください。そのことが、安全な登山につながります」


(編集部・野村昌二)

※AERA 2022年5月23日号より抜粋


このニュースに関するつぶやき

  • ライジャケ着用は、基本だろ!!。膨らむタイプも有るけど、100%作動する保証はない。
    • イイネ!16
    • コメント 2件

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