「女性ソロキャンプ」本当にあったゾッとする話、“教え魔”おじさんに野生動物の恐怖

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2022年05月19日 05:00  週刊女性PRIME

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 ひとり自然の中で過ごして楽しむソロキャンプブームが続く。だが、その一方でさまざまなトラブルも。事前の知識や準備が足りないことで起きるケガや事故だけでなく、性被害に遭ったというケースもあるという……。特に初心者が陥りやすいトラブルを専門家に聞いた。

女性ソロキャンパーの防犯問題

 さわやかな気候の中、アウトドアを楽しむ人も増えるこの時季。特にコロナ禍で、『密』が避けられるとして人気が急上昇したのがキャンプ。中でもひとりでキャンプを行う「ソロキャンプ」人口が増えている。

 だが空前のブームを前に、女性ソロキャンパーが不安を覚えるのは防犯問題だ。キャンプ歴3年の会社員、後藤美樹さん(30代・仮名)は、過去のゾッとした出来事を語る。

「以前、ひとりでキャンプに行ったとき、テントを設営していたら中年男性に『テント立てられる?教えてあげるよ』と声をかけられたんです。親切心からの言葉かもしれないし、角を立てたくないので、やんわり断りました。けど夕方に焚き火をしていたら“あぶなっかしいな〜。正しいやり方、教えてあげる”としつこく話しかけてきて」

 『教え魔』に遭遇してしまった美樹さん。夜には、信じられない出来事が起こった。

「私が寝袋で寝ようとしていたら、その男性がいきなりテントを開けてきて“夜は気温が下がるし、危ないから気をつけてね!”って言うんです。あまりの恐怖に、なかなか寝つけませんでした」

 場合によっては、住居侵入や軽犯罪法など自治体の条例に触れる可能性もある言動だ。

 美樹さんが遭遇した『教え魔』は残念なことに数は多い。さらには、ソロキャンプ中に性被害に遭ったというケースも……。

 鍵がないテントでひとり過ごす女性のソロキャンプは、やはり危険なのか?ソロキャンプの普及活動をする「日本単独野営協会」の代表理事、小山仁さんは語る。

「この後藤さんの例は、同じ男性としても腹立たしいです」

 そう憤る小山さん。実はソロキャンプの最も大きなリスクはケガやヤケドだという。

 東京都の塾講師・小島洋子さん(30代・仮名)はソロキャンプ中の事故を明かす。

「ナイフで木を削っていたら手をざっくりと切ってしまい……。血がたくさん出て目の前が真っ暗に……」

 幸い近くに別のキャンパーがおり、助けを求めて搬送された。数針縫う大ケガだった。

 洋子さんだけでなく、ガスバーナーやガスコンロを使用する際、使い方をよく理解せずに着火。火が消せなくなり、パニックでボンベを爆発させてしまった事故も起きている。どちらも一歩間違えれば命にかかわる大惨事となる。

「女性ソロキャンパーに限らず、です。薪割りの際に斧でケガをする、焚き火のヤケド、ナイフで手を切るなど、初心者のケガの事例は実に多いですね。また風の強い日に焚き火をして、周囲に燃え広がってしまうなど、火の不始末も。あわや消防車が出動……なんてケースも少なくありません」(小山さん、以下同)

 季節によっては、熊やイノシシなどの野生動物に遭遇する危険性もあるという。

「あくまでキャンプは、自然が相手のアクティビティー。特にソロキャンプは、自分のことは自分で面倒を見るのが大原則のため、最低限のスキルが必須です。初心者のうちは、何度かベテランのキャンパーに同行して“こういう日には焚き火をしたらダメなんだな”など経験を積んでから臨むとよいでしょう」

 そこで小山さんは具体的な注意点を挙げる。

「管理者が常駐しているキャンプ場を選ぶのが安心です。予約やチェックインの際には、管理者にひとりで泊まることを伝えて、緊急時の連絡先も確認しておきたいですね」

 先に挙げた『教え魔』など人とのトラブルを防ぐには?

「管理棟の近くや人通りの多い場所にテントを設営しましょう。特にトイレへの動線がいい場所なら人通りもありますし、便利。設営する前に両隣、近隣キャンパーに挨拶をして、その人たちが女性なのかファミリー層なのかもチェックすれば、対人トラブルや盗難の防止にもつながります」

 テントまわりの防犯対策も忘れずに。

「テントはダブルチャックのものを選び、チャックを南京錠で留めておけば、外から勝手に開けられることもありません。もしテントがダブルチャックでなければ、テントの最下部に南京錠用のループを事前に縫い付けておくのも一案。

 またテントの入り口に人感センサー付きのライトを置くと安心ですね。男性用の靴をテントの前に置いておくと、複数人で泊まっているよう装うことができます」

 テントに泊まるのが不安なら車中泊するのもありだ。

「男性にしつこく声をかけられた際には、フレンドリーに接することなく、“後から彼氏や夫が来る”と対応する、いわば嘘も方便です。また『教え魔』対策としては、“キャンプ経験が豊富な彼氏や夫に教えてもらう予定がある”など伝え“今、あなたに教えてもらう必要がない”ことを理解させるのも効果的です」

 最悪の事態も想定して、防犯ブザーは必携だ。

「出かける前に、ほかの人の迷惑にならない場所で防犯ブザーがちゃんと鳴るか確認しましょう。ホイッスルもよいですが、実際には呼吸を整えて、大きな音を出さないといけないのでブザーよりもハードルが高い」

 小山さんはうっかり犯しがちなミスも指摘。

「地面で直接焚き火をして、片づけずに帰る“焚き逃げ”の問題です。“よく炭は自然のものだから土に還る”と言う人もいますが、炭は自然に還りません。燃え残った炭は自治体のルールにのっとって処分するのが原則です。

 みんながこれをすると、いずれキャンプをする場所が消滅してしまいます。“来たときより美しく”という言葉を念頭に、マナーを守ってキャンプを楽しみたいですね」

ソロキャンプデビューもこれで安心!

 ここまで数々の防犯対策を列挙してきたが、ソロキャンプでは、なにかと女性側が自衛を強いられる男女不均衡な現状は否めない。小山さんは次のように思いを語る。

「これはほかの社会問題でも言えることなのですが、ソロキャンプでの女性特有の問題は、その当事者にしか見えないことが山ほどある。

 女性のソロキャンパーが増えれば、女性が女性のために問題解決を図ることもできる。全体の女性比率を増やすことも喫緊の課題です」

 小山さんたちが運営する日本単独野営協会の普及活動の一環に「ソロキャンプスタートアップ支援制度」がある。

「熟練の支援員が付かず離れずの場所で待機し、わからないことや困ったことがあったときだけ、アドバイスや指導をする制度です。必要に応じて声をかけてもらえたら、支援員が対応します」

 そんな小山さんらの活動のかいもあってか、最近では中高年女性のソロキャンパーも増えてきたようだ。埼玉県在住の池野恵子さん(50代・仮名)も2年前にソロキャンプデビューを果たしたひとり。

「昔は家族でキャンプをしていたのですが、息子が大学生になって子育ても一段落したタイミングで、ソロキャンプを始めました。自然の中、ひとりでテントの中でゴロゴロして、誰にも遠慮せずにダラダラできる時間は最高です(笑)」

 妻として母として、これまで家族のために働いてきた恵子さんも、ソロキャンプで本来の自分自身を取り戻しているのだ。

「どんなに慣れた人でも自然の力の前では無力です」と、小山さんは語る。どこへ行くのも、何を食べるのも自由。そんな時間と自然をめいっぱい満喫するためにも、備えを万全にして、ソロキャンプを楽しみたい。

 お話を聞いたのは…日本単独野営協会 小山仁さん ●代表理事。ソロキャンプの普及促進に関する活動や情報交換などを行う。同団体の会員数は全国で約2万人。ソロキャンプの第一人者として講演やメディア出演も多数。

〈取材・文/アケミン〉

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