巨人・中田翔を筆頭にジェットコースターのような山あり谷あり。2007年高校生ドラフト1位の数奇な野球人生

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2022年05月19日 11:31  webスポルティーバ

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 見出しに映える男が、ようやくプレー面での活躍で、その名を躍らせた。

 巨人の中田翔は5月10日に一軍に再登録されると、5月13日からの中日との3連戦に攻守で存在感を発揮した。

 13日は1対1で迎えた4回裏の無死一、二塁で、プロ入り初の送りバントで勝ち越しのお膳立てをすると、8回裏には勝負を決定づけるレフトスタンドへの3号ツーラン。守ってもショート中山礼都からの乱れた送球を懸命に足を伸ばしてキャッチしてアウトを稼いだ。翌14日は2点差を追う7回裏に一死満塁から逆転満塁弾で雄叫びを上げた。




 昨季の暴行問題からの巻き返しを期する今季の中田だが、ここまでは"場外"で見出しになることが目立った。キャンプインに体重20キロ増で現れたのを皮切りに、開幕後は打率1割台に低迷し、いつスタメン落ちするかがクローズアップされた。二軍ではベンチにポツンと座る姿で記事にもなった。

 大谷翔平にしろ、佐々木朗希にしろ、見出しで名前は大きく躍るが、それは試合での活躍があればこそ。その点、中田の場合は何をしても見出しになる。それほどキャラ立ちしている選手と言えるが、それも本業での活躍があればこそだ。

 2007年高校生ドラフトで1巡目指名されてから今季で15年目。すでに球界を去った同期も少なくないなか、徳俵に足がかかりかけている中田が、ここから本業のバットでどんな活躍を見せてくれるのだろうか。

 その2007年高校生ドラフトは、中田を含めて11人が1巡目指名を受けた。『高校ビッグ3』として注目された中田(大阪桐蔭)には、日本ハム、オリックス、阪神、ソフトバンクの4球団が競合。由規(佐藤/仙台育英)にはヤクルト、巨人、中日、横浜、楽天の5球団が獲得を希望し、唐川侑己(成田)にはロッテと広島が入札した。

 ヤクルトに入団した由規は1年目に2勝をあげ、2年目に5勝、3年目には12勝9敗で自身初のふたケタ勝利を達成する。持ち味の速球も2年目に157キロ、3年目に日本人投手最速(当時)の161キロをマーク。しかし、その後は右肩の故障に苦しんだ。

高校ビッグ3それぞれの試練

 4年目の2011年、由規は7勝したものの、2012年からの4シーズンは一軍での登板がなく、一時は育成契約も経験する。2016年に復活したが、2018年に右肩故障の再発で戦力外通告。2019年からは生まれ故郷の仙台・楽天に新天地を求めたものの、一軍での登板は1試合1イニングのみ。2020年かぎりで戦力外通告を受けた。

 ただ、プロの世界はNPBだけではない。2021年からはBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズに加入。地区最多勝利をマークし、埼玉武蔵の地区優勝に貢献した。今季からは投手コーチを兼任している。

 もうひとりの高校ビッグ3・唐川も、入団1年目は4月にプロ初登板初先発で初勝利をマークするなど5勝4敗で上々のスタートをきった。2年目は開幕から先発ローテーションの一角に入って21試合に先発登板。勝ち星は前年と同じ5勝(8敗)だったが、防御率は前年を大きく上回る3.64を残した。

 ただ、4年目に12勝をマークしたものの、翌2012年は8勝、2013年は9勝と、エース候補はブレイクしきれなかった。2018年からはリリーバーになり、2020年は『7回の男』として14ホールド、防御率1.19と抜群の安定感を発揮。昨季も22ホールドをマークしている。だが、ドラフト前の評価や入団後に抱かせた期待感に比べれば、スケールダウンした感は否めないだろう。

 高校ビッグ3のプロ生活はジェットコースターのような乱高下だったが、ドラフト時の評価で彼らに続いた選手たちの境遇も、変化の著しい数奇な運命をたどっている。

 わずか4年のプロ生活でセカンドキャリアを踏み出すことになったのが、楽天に指名された寺田龍平。道内屈指の進学校・札幌南高時代に140キロ台中盤をマークした直球が評価されてのプロ入りだった。

 だが、プロ入り後は球速が130キロ台に低下し、制球難にも苦しむことになる。それでもサイドスローを試すなど試行錯誤を続けたが、4年間で一軍登板のないまま2011年かぎりで戦力外通告を受けて引退。IT企業や広告代理店などで社会人としてのキャリアを重ねている。

外れドラ1にも予期せぬ波乱

 巨人に外れ1位で入団した藤村大介(熊本工業)は、プロ4年目の2011年に119試合に出場し、28盗塁で盗塁王を獲得。しかし、レギュラー獲りに成功したかと思われた2012年は、打撃不振からセカンドの定位置を失ったうえに、前年の盗塁王ながら代走を送られるなど、首脳陣の信頼を勝ち取ることはできなかった。翌年以降は出場機会を大幅に減らし、28歳だった2017年かぎりで現役を退いた。

 中田翔を外した阪神が1位で獲得した高濱卓也(横浜)は、プロ入り4年目の春季キャンプで初めて一軍を見据える位置にいた。ところが、打撃でアピールを続けて一軍キャンプに昇格した矢先、FAで獲得した小林宏之の人的補償としてロッテ移籍を通告される。

 阪神では鳥谷敬の壁や自身の故障もあって一軍デビューはできなかった。だが、サード今江敏晃の故障やショート西岡剛のMLB移籍などで、内野陣の手薄なロッテで一軍デビューを果たす。しかし、チャンスは何度もないのがプロの世界。二軍では打率3割超えをマークするも一軍でチャンスをモノにできず、レギュラー獲りは果たせないまま昨季かぎりで現役を引退。今年から会社員として働いている。

 同じく中田を抽選で外したソフトバンクが1位で獲得したのは、甲子園で150キロをマークした岩嵜翔(市立船橋)だ。しかし、プロ入り4年間は先発投手としての期待に応えられず。5年目の2012年も開幕当初は先発で起用されたが、リリーフ陣に故障者が出たことでリリーバーへ。

 だが、そこで潜在能力が開花する。2017年には72試合に登板して40ホールド、防御率1.99と抜群の成績を残し、最優秀中継ぎ投手に輝く。翌年は右ひじを故障し、手術を受けて2シーズンを棒に振るも、2020年から一軍に本格復帰。昨季は一時クローザーを任されるなど48試合に登板して2勝5敗6セーブ14ホールドを記録する。

 今季は又吉克樹のFA移籍に伴う人的補償で中日のユニフォームに袖を通し、キャンプ&オープン戦を通じてセットアッパーとして期待された。移籍後初登板した開幕第2戦で右ひじを故障するという悪夢でシーズンを棒に振ることになったが、岩嵜が再び試練を乗り越える日を中日ファンもソフトバンクファンも待っている。

ドラ1が11人しかいない理由

 その中日が2007年高校生ドラフトで由規を外し、岩嵜を外して、3度目で獲得したのが赤坂和幸。浦和学院高時代は58本塁打のスラッガーとして名を馳せたが、プロでは投手を希望して入団。1年目の6月には首脳陣の粋な計らいもあって、地元・埼玉での西武ライオンズとの交流戦でプロ入り初登板する。

 しかし、その後は黄金期の中日にあって一軍での登板機会を手にできず、2011年から外野手に転向。2014年に育成契約から支配下登録に復帰すると、2015年は代打や左キラーとして一軍で存在感を発揮した。2017年かぎりで現役を引退し、現在は中日で広報を担当。SNSなどに選手とともに登場することも。

 あと、2007年高校生ドラフトの現役組には広島の安部友裕(福岡工大城東)とDeNAの田中健二朗(常葉菊川)がいるが、今季はふたりとも土俵際のシーズンになっている。

 安部は2017年には打率.310をマークするなど、走攻守で広島のリーグ3連覇を支えたが、近年は世代交代の波と戦っている。2020年は26試合の出場に終わり、昨年は85試合出場と盛り返したものの、今季いまだ一軍登録はない。

 田中は常葉菊川高3年時にセンバツで優勝投手になり、夏の甲子園でも野村祐輔(広島)、小林誠司(巨人)、上本崇(広島)を擁した広陵高に敗れたものの、ベスト4まで導いた実力が評価されてプロ入り。ドラフトは由規と高濱を逃した"外れの外れ1位"だが、それでも両選手より長いプロ生活になっている。

 ただ、その大半は故障との戦い。2015年にセットアッパーとして台頭し、オールスターゲームにも初選出されたが、2018年は大不振。阪神の藤浪晋太郎に満塁本塁打を浴び、2019年にトミージョン手術を受けた。昨季終盤に3年ぶりに一軍登板を果たし、今季は開幕から一軍に名を連ねている。

 ちなみに、この2007年高校生ドラフト1位が11人しかいないのは、西武が「栄養費問題」の制裁によって、高校生を対象とするドラフト2選手の指名ができなかったためだ。それにしても2007年高校生ドラフト1巡目の運命が数奇なのは、この時から始まっていたのかもしれない。

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  • BIG3と四天王とかもう言うの止めたら?全員酷いぞ(笑)
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