久保建英の武器と課題を風間八宏が指摘。ゴールやアシストが不足しているのはなぜか

8

2022年05月20日 11:41  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真写真

風間八宏のサッカー深堀りSTYLE

第1回:久保建英(マジョルカ)

独自のサッカー技術論を広め、サッカー界の選手、指導者に大きな影響を与えている、風間八宏氏の新連載がスタート。国内外のトップクラスのサッカー選手のテクニック、戦術を深く解説する。第1回は、日本のサッカーファンがその成長を見守っている、久保建英を取り上げる。

◆ ◆ ◆

ボールが体から離れない

 2021−22シーズンは、保有元レアル・マドリードからのローン移籍により、マジョルカでのプレーとなった久保建英。6月4日には21歳の誕生日を迎えるが、すでに日本代表で15キャップを数えるなど、以前から日本の将来を担う逸材として注目され続けてきた。




 とりわけ最大の武器とされるドリブルテクニックは、ラ・リーガにおいても高く評価されているが、果たして、風間八宏氏の目にはどのように映っているのか。

「まず、久保のドリブルの優れている点は、ボールが自分から離れないことですね。これは、おそらく少年時代から体格に恵まれていなかったのが影響し、このような技術が自然と身についたのだと思います。そもそも、小柄な選手でボールを体から離してドリブルできるのは、ディエゴ・マラドーナしかいませんから(笑)。

 ボールが体から離れないというのは、ボールにタッチしたあとに自分の体もしっかりついてくるということ。しかも久保の場合、ドリブルをしている時の姿勢がすごくいい。ボールが体から離れなくて姿勢もいいから、ドリブルしながらいつでもスムースにパスすることもできる。相手DFからすると、すごく対応しにくい選手ですよね」

 もちろん、時にはドリブル中にコントロールミスをすることもあるが、スピードアップしてもこれだけのクオリティでドリブルができる日本人選手は珍しい。だからこそ、久保のドリブルは大きな武器になっているのだろう。

相手の位置を見ながらボールを受けられる

 そしてもうひとつ、久保のプレーで注目すべきポイントがあると風間氏は言う。

「それは、ボールを受けるテクニックです。よく見ればわかると思いますが、彼の場合、自分でボールを受けにいっている。それは、ボールを受けるテクニックとその自信があるからできることです。

 ボールを受けにいくとは、自分のいるところに止まっているのではなく、相手が嫌がるタイミングで空いている場所に動いて受ける。あるいは相手を見ながら逆を突いてボールを受ける。そうしたいろいろなかたちでボールを受けることができるという意味です。そのようにして攻撃にアクセントをつけられるのが彼の武器になっていて、だからいろいろな場所でプレーができるのだと思います。

 久保のほかに、現在の日本代表にもボールを受けにいくことができる選手がいるので、そういった選手たちとコンビネーションを積み重ねていくと、もっと面白いプレーができると思いますね。

 ただし、たとえば彼らがクロアチア代表のルカ・モドリッチのレベルかというと、さすがにそこまでとは言えません。逆に言えば、そこが日本の伸びしろと言うこともできると思います」

 そんな久保が、ラ・リーガの舞台で自身のストロングポイントを発揮したシーンがあった。第26節のバレンシア戦(2022年2月26日)の52分、相手ペナルティーエリア内右からカットインしたあと、エリア内左にオーバーラップした左サイドバックのジャウメ・コスタに絶妙なスルーパスをピタッと通したプレーだ。

 残念ながら、フリーでパスを受けたジャウメ・コスタがファーストタッチをうまくコントロールできず、放ったシュートも枠を外れたために久保のアシストとはならなかったが、そのプレーにも久保のストロングポイントの一端が垣間見える。

「このシーンでは、ボールから目を離して前を見ながらドリブルできています。それでいて、ドリブルが乱れていません。これができるから、逆サイドからフリーでペナルティーエリアに進入してきた味方選手を見逃さずに、正確なスルーパスを出して好機を作ることができたのだと思います。

 もっとも、このプレーでもっと高い要求をするなら、相手DFが前に出た瞬間にパスを出せるようになると、申し分ありませんね。久保が何を見てパスをしたのかは本人に聞いてみないとわかりませんが、このシーンを見る限り、タイミング的には味方を見て出していたように思います。これが、敵を見て出せるようになれば、もっと最高のタイミングでパスを通すことができたと思います」

ペナルティーエリア内で勝負する回数を増やしたい

 相手を翻弄できるドリブル、センス溢れるパスなど、少年時代から傑出したテクニックを誇る久保建英。

 ただ、ラ・リーガの舞台に渡ったここ3シーズンは、必ずしも周囲の期待に応えられているとは言えない。とくにゴールやアシストといった目に見える結果が不足している点は、かねてから指摘されているとおりだ。

 では、久保がゴールやアシストを量産するためには、どうすればいいのか。風間氏は、その点について次のように説明してくれた。

「たとえばゴールを決めるために何をすればいいのか。まずは相手ペナルティーエリアのなかでフリーになる必要があります。その視点で見てみると、まだ久保はペナルティーエリアでプレーする時間が少ない。そのなかでフリーになるテクニック、つまりあの狭いエリアのなかで相手を外すといった技を身につければ、ゴールを決める可能性はもっと高くなると思います。

 もちろんチーム事情もあると思いますが、これまでのプレーを見ていると、ペナルティーエリアの外でボールを受けてから仕事を始めるケースが多い。ボールを扱うテクニックはすでに高いものがあるので、もしゴールやアシストを増やしたいなら、ペナルティーエリアで勝負する回数を増やすべきでしょうね。

 そうすれば、チャンスメーカーやフィニッシャーと言われる選手になれると思います」

 若くして周囲から大きな期待をかけられている日本サッカーの逸材は、果たしてゴールやアシストを量産する選手に進化を遂げることができるのか。久保の未来は、今後の日本代表にも大きな影響を与えるはずだ。

久保建英
くぼ・たけふさ/2001年6月4日生まれ。神奈川県出身。小学生時にバルセロナの育成組織でプレーし、帰国後はFC東京の育成組織へ。15歳でトップチームデビューし、16歳でプロ契約。2019年にレアル・マドリードへ移籍し、以降ローン移籍の形でマジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェ、今季は再びマジョルカでプレー。昨年は東京五輪を戦った代表でも奮闘した。日本代表Aマッチ出場15試合(2022年5月時点)。

風間八宏
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

このニュースに関するつぶやき

  • 今回のブラジル戦で、ピッチに立てるかどうか( `ー´)ノ3分でも、5分でも立てたら、結果出してほしいよね。
    • イイネ!21
    • コメント 5件

つぶやき一覧へ(6件)

ランキングスポーツ

前日のランキングへ

ニュース設定