連載16年。まだ一つも国が滅びていない。『キングダム』の展開にあらためて唸らされる。

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2022年05月21日 06:20  キャリコネニュース

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原泰久の人気歴史漫画『キングダム』(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)がこの夏、またも映画化される。2019年公開の前作は興収57億3000万円。7月公開予定の映画『キングダム2』はこのほど、佐藤浩市、玉木宏、平山祐介らも出演することが明らかになり、SNSで話題を集めた。

単行本も累計発行部数が8300万部(昨年9月時点)を突破していて、もはや言わずとしれたオバケ作品なのだが、ただ一つだけ心配していることがある。それは、この作品が「ちゃんと完結」するのか、という点だ。(文:昼間たかし)

このペースだと、さらに15〜20年?

軽く説明しておくと、『キングダム』は、中国の春秋戦国時代が舞台。天下の大将軍になるという大望を持つ少年・信と、中華統一を目指す若き秦王・エイ政(後の始皇帝)を中心とした大河作品だ。

2006年1月の連載開始から既に16年、現在64巻にも及んでいる。ただ、緻密なストーリー展開が特徴なだけあって展開速度もゆっくりだ。

スタート時点が紀元前246年ごろなのだが、62巻でやっと紀元前234年の「平陽の戦い」が始まる、というペースになっている。作品内の1年を描くのにリアル1年以上かける、という今のペースが続くとなると、中華統一となる紀元前221年に至るまでに、今後さらに15〜20年ぐらいはかかる計算となる。

長期連載大河は他にもあるが……。

『キングダム』に限らず、最後まで描かれるのか、みんなが気にしている歴史大河作品は、けっこう存在する。

たとえば少女漫画だと、1976年から連載中の歴史大河、細川智栄子あんど芙〜みんの『王家の紋章』だ。一年に一冊ペースで単行本が刊行されているが、いっこうに終わる気配が見えない。最近、第一巻から読み直したが最初の頃は、歴史ロマンじゃなくホラー漫画風味だった。

ヒロイン・キャロルがあらゆる登場人物に惚れられる→攫われるルーティンを繰り返しているような気もするが、飽きないのは細川先生のテクニックかと思う。が、その細川先生は現在87歳。果たして完結はあり得るのか。

また、岩明均の『ヒストリエ』も亀の歩みだ。マケドニアのアレクサンドロス大王に仕えたエウメネスの生涯を描く作品なのだが2003年の連載開始から19年。まだアレクサンドロス大王が即位すらしていない……。

逆に、最近見事に完結した長編が、宮下英樹の『センゴク』だ。2004年に『週刊ヤングマガジン』で連載を開始したこの作品は『センゴク 天正記』『センゴク 一統記』と続き2015年から最終章『センゴク権兵衛』を連載。2022年2月に完結に至った。

戦国武将・仙石権兵衛秀久を「戦国史上最も失敗し挽回した男」として描いたこの作品。長期連載だと多かれ少なかれ内容が変化していくものなのだが、これは「著しく進化」したケースだと思う。連載開始当初は、史実をもとにした凡庸な青年漫画ではないかとも思ったのだが、いい意味で裏切られた。

おそらく連載と平行して、作者の取材力もどんどんアップしていったのだろう。結果的に、丹念な歴史考証をベースにしたリアリティのある作品となった。ネタバレになるので詳しくは書かないが、エピローグも最終回のお手本ともいえるような、長年のファンも納得の描かれ方だった。

『キングダム』の場合、濃厚なエピソードの連続で飽きる要素はまるでないのだが、物語はやっと折返し地点に到達したかどうかだ。今後も驚異的な創造力を保って、ぜひ最後まで描ききってほしい。

このニュースに関するつぶやき

  • 史実だから経過も結末もわかるもんね。ベルセルクとかもう闇の中よ。
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