くりぃむ有田哲平は「第二の松本人志」もうなずける『全力!脱力タイムズ』での能力の高さ

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2022年05月21日 11:30  AERA dot.

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写真くりぃむしちゅー有田哲平
くりぃむしちゅー有田哲平
 5月9日放送の『しゃべくり007』(日本テレビ)で、出川哲朗がくりぃむしちゅーの有田哲平を「第二の松本人志」と呼んで称賛した。演者としての能力があるだけでなく、企画力にも優れているからだという。現在の有田は「第二の○○」と呼ぶには地位が高すぎる気もするが、出川の言いたいことはわからないでもない。


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 世間では、テレビに出ている芸人を評価する際に、レギュラー番組の本数や視聴率などの数字に換算できる部分ばかりに目が行きがちだが、本当に重要なのは芸人として「本質的な仕事」をどれだけやっているか、というところにある。


 ほかの芸人でも務まるような「置き換え可能の仕事」ではなく、その芸人でないとできない仕事がどれだけあるか。そういう基準で見た場合、現在の有田は唯一無二の地位を確立した芸人であると言える。


 そんな有田の代表作とも言えるテレビ番組が、2015年4月に始まった『全力!脱力タイムズ』である。報道番組のようなセットで、有田哲平演じる「アリタ哲平」がキャスターとして進行役を務めている。


 向かって右手には元経済産業省官僚の岸博幸、犯罪心理学者の出口保行、侵入生物専門家の五箇公一など、報道番組でも解説役を務めるような各分野の専門家が「全力解説員」として並んでいる。向かって左手にはゲストの俳優と芸人がいる。スタジオの雰囲気だけはお硬い報道番組そのものだ。


 世界や日本のさまざまな社会問題を取り上げて論じる、というのがこの番組の表向きのテーマだ。しかし、それが真正面から論じられることはまずない。全力解説員はテーマとは関係ない専門分野の話を始めたり、ツッコミどころの多いふざけたVTRが流されたりする。最近では悪ふざけのバリエーションもどんどん広がっている。


 ゲストの芸人はこのような展開に戸惑い、あきれながら、ツッコミをいれていく。普段バラエティ番組に出ていないようなゲストの俳優も、突然ふざけた言動をしたりする。それが芸人をさらに困惑させる。



 実は、この番組ではゲストの芸人以外すべての出演者が仕掛け人となって、決められたシナリオを演じている。芸人だけには偽の台本が渡されているため、予想外の展開にうろたえることになる。いわば、大がかりなコントのようなことが行われているのだ。ゲストの芸人は、視聴者の代弁者としてその場にいて、異常な状況にツッコミをいれる役目を果たしている。


 この番組がどういう番組なのか知られていない初期には、戸惑う芸人のリアクションが新鮮だった。番組全体で一丸となってここまで大がかりなドッキリを仕掛けてくるような番組はほとんどないため、百戦錬磨の芸人もどう振る舞えばいいのかわからず、混乱したりしていた。


 番組の存在が徐々に知れ渡ってくると、ゲストとして出る芸人もそれなりの心構えをしてくるようになった。そこからは、その予想を裏切ってさらに意外な展開が起こるように、何重にも手の込んだ企画が行われるようになってきた。この番組でアンタッチャブルの柴田英嗣に対するサプライズ企画として行われた「アンタッチャブル復活劇」はその1つである。


 かくいう私自身も「全力解説員」の一員としてこの番組に出演したことがある。収録現場で実感したのは、有田哲平の芸人としての能力の高さだ。この番組の性質上、仕掛けたことに対してゲストの芸人がどういう反応を返すのかは事前に予想できない。有田は場の空気を読んで臨機応変に対応して、笑いを生み出していた。その頭の回転の速さと瞬発力は驚異的なものだった。


 有田がアドリブで力強く台本にない方向に舵を切った瞬間、私は出演者の1人として表面上は平静を保ちつつも、心の中では興奮を抑え切れなかった。サッカー少年が目の前でメッシのシュートを見たときのような感動があった。


 フジテレビへの入社を希望する学生の中では、制作してみたい番組として『脱力タイムズ』を挙げる人が多いのだという。たしかに、今の時代、ここまで情報性も社会的な意義も一切ない純粋なお笑い番組は珍しい。テレビの笑いに愛着がある人にとってはこの上なく魅力的な番組である。


『脱力タイムズ』という番組の偉大なところは「ブレない」ということだ。番組が始まった当初から、コンセプトが一切ブレていない。細かい企画や演出の面ではブラッシュアップが行われているが、根本にある精神は全く変わっていない。だからこそ、視聴者の根強い支持を得ているのだろう。


『脱力タイムズ』は、芸人としての有田の研ぎ澄まされた笑いのセンスが隅々まで行き渡った上質のお笑い番組である。こういう番組を複数抱えている彼の地位は当分揺らぐことはないだろう。(お笑い評論家・ラリー遠田)


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  • 瞬発力や頭の回転の速さ笑いへのセンスだったらグッさんじゃない?
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