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サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー〜
Question
右のジョー・ゴメスにボールが渡り、リバプールはこのあとどう崩したか?
プレミアリーグ第37節、リバプールがアウェーでサウサンプトンと対戦し、2−1で勝利を収めた。
首位のマンチェスター・シティが、同節で引き分けたために勝ち点差が1となり、熾烈な優勝争いは次の最終節までもつれ込むこととなった。
優勝の可能性を残すために、勝ち点3獲得が必須だったリバプールだったが、前半13分にサウサンプトンに先制点を許す苦しい展開となった。
しかし、27分に南野拓実の得点で同点に追いつく。そして後半22分、コーナーキックからジョエル・マティプが決めて逆転勝利となった。
今回は、南野が決めた同点シーンをピックアップする。
前半27分、後方からのビルドアップで攻撃を組み立てるリバプール。サウサンプトンが守備ブロックを整えるところを、センターバックのマティプから右サイドバックのジョー・ゴメスへ展開する。
ジョー・ゴメスがフリーでボールをコントロールすると、手前に右ウイングの南野が相手のネイサン・レドモンドにマークされ、中央にディオゴ・ジョタが走り込んでいる。
この状況で、ジョー・ゴメスはなにを選択して崩しただろうか、というのがQuestionだ。
Answer
中央のジョタにクロスを入れ、落としを南野が3人目の動きで受ける
最初のポイントは、ジョー・ゴメスがパスを受けたポジショニングである。
サウサンプトンは守備時に5−4−1システムのゾーンで守り、リバプールにスペースを与えないよう守備的な布陣を整えてきた。ただ、中盤の4枚は中央を固めるように絞り、サイドのエリアが大きく空くようになっていた。
攻撃時に両サイドバックを高く押し上げるリバプールは、右サイドバックのジョー・ゴメスが相手中盤ラインの脇という高い位置でボールを受けられた。これにより、相手MFとDFの間にクロスを入れやすくなった。
次の瞬間、ジョー・ゴメスは中央のジョタに素早いクロスを入れる。そのボールをコントロールしたジョタに、ジャック・スティーヴンスとモハメド・サリスが引きつけられた。ここが次のポイントだ。
とくにサリスがボールに食いついたために、守備ラインに南野が走り込むスペースが生まれた。もしサリスがそのままスペースにとどまっていても、ボールがジョタに入ったところで南野はサリスの背中側を取ることができ、裏へ抜け出せていただろう。
ジョタがスペースにボールを落とし、拾った南野は素早い2タッチでGKのタイミングを外しながらニア上に鋭いシュートを突き刺した。
ジョー・ゴメスのポジショニング、ジョタのポストプレー、南野の3人目の動きと質の高いフィニッシュワークによって、サウサンプトンの守備を見事に崩しきった得点だった。
南野の貴重な同点弾を皮切りに逆転に成功したリバプール。逆転優勝の可能性をわずかに残し、最終節にどんな結末を迎えるのか注目である。