田端信太郎×テスタ対談「客になりたい企業と社員になりたい企業は違う」

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2022年05月21日 17:00  AERA dot.

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写真50億円トレーダーのテスタさんとオンラインサロン「田端大学」塾長の田端信太郎さん(撮影/写真部・加藤夏子)
50億円トレーダーのテスタさんとオンラインサロン「田端大学」塾長の田端信太郎さん(撮影/写真部・加藤夏子)
 リクルート、ライブドア、LINE、ZOZOなど「超ホット」な企業を渡り歩いてきた田端信太郎さんと、50億円トレーダーのテスタさんが会った。田端さんはツイッターで歯に衣着せない発言で有名、YouTubeも絶好調。テスタさんは相変わらずコツコツと株の利益を積み上げている。一見、住む世界が違う二人のおもしろ対談。


【注目】いい人すぎて担当編集は驚いた、田端信太郎さん
*  *  *


編集部:田端さんはリクルートでフリーマガジン『R25』を立ち上げ、ライブドアのメディア事業部長として「ライブドアニュース」、LINEで法人ビジネス全般を軌道に乗せてこられました。


テスタ:どれも社会の中心になっていった企業や事業ばかり。狙って転職されたんですか?


田端:半分は、狙っていましたね(笑)。ぶっちゃけ、会社員って、倒産でもしない限りダウンサイドリスク<損する可能性>はないじゃないですか。勤務先が大変なことになっても僕が大変なことになるわけじゃないでしょ。


テスタ:確かに。


田端:「ライブドアに東京地検が入ってきたとき、僕、その現場にいましたからね」という体験は、振り返ると「お金じゃ買えない、すべらない話」みたいなもの。


テスタ:それにしても、先見の明がないと、なかなか狙って転職できるものではないですよね。


編集部:田端さんが転職したら、その企業の株を買うと儲かりそう?


田端:いやいや、客になりたい企業と社員になりたい企業は違うんですよ。たとえばサイバーエージェント。ネット広告事業で国内トップ、最近ではゲーム事業の『ウマ娘』が大ヒットしてますよね。


田端:サイバーエージェントの藤田晋さんは非常に素晴らしい社長だと尊敬しています。株を買うならライブドアではなくサイバーエージェントの株を買っていたと思う。でも当時はライブドアに入社しようと思った。なんだか、おもしろそうだなと。はい、勘です(笑)。


テスタ:「客になりたい企業と社員になりたい企業は違う」。名言。 




テスタ:ライブドア・ショックから16年以上経ちますが、僕は当時、投資をはじめて1年目でした。あのときのことははっきり覚えています。なぜ堀江さんが逮捕されたのか、よくわからない。あの事件はベンチャー企業の発展に水を差したような気がします。


田端:その視点、大事ですよね。僕のような当事者が「あの頃のライブドアに比べたら今のベンチャーは……」なんて言うと、単なる「おっさん語り」になっちゃう。


テスタ:そんなことは(笑)。


田端:最近ようやく、ネット産業は少し「整って」きましたよね。僕がライブドアに入社した頃って、新卒で入社するっていうと親から反対されがちでしたから。


テスタ:整って安定感が増した分、おもしろみがなくなった? 田端さんは会社員時代からツイッターで自由に意見を言って、炎上もたくさん。今も遠慮なしに発信してますよね。だからおもしろい。


田端:遠慮することもあるんですよ! 言いたいことの半分ぐらいしか言っていません。ライブドアにいたときも、ZOZOで前澤友作さんの下で働いていたときも、「自由にやっていいよ」と言われていたけど。ツイッターは、炎上しても絶対やめません。


テスタ:前澤友作さんは実際のところ、どんな方ですか?


田端:経営者というより、バンドマン。いやロックスター。いい意味でも悪い意味でも無邪気な悪ガキがそのまんま大人になって、資産数千億円の大富豪になりました〜って感じです。


テスタ:悪ガキ(笑)。でもアパレル初のネット通販事業、宇宙旅行……と誰もやらなかったことにチャレンジするのがすごい。田端さんも地道にコツコツやるより、新しいことを見つけて飛びつくほうが楽しいタイプですか?


田端:うーん、粘り強くはないかな。たとえば「ユニクロ」は20年くらい前に「ヒートテック」を作って、地道に改良を積み重ねて、今のヒートテックブランドを作り上げました。そういうの、僕にはゼロとは言わないけど……飽き性かもしれない。


テスタ:同じです! 自分も本当に飽き性で、株以外のことは長続きしないんですよ。


田端:僕も株が好きで15年ぐらいやっていますけど、デイトレードは下手なの。かといって長期保有するのも苦手で、株を買ってもせいぜい半年くらいで手放す。暗号資産も初期に1ビットコイン5万円で10ビットコインくらい買いましたけど、30万円くらいまで値上がりしたときに売りました。


テスタ:株はたくさんの会社の仕事ぶりを見て投資するわけじゃないですか。だから、いつも新しいことに触れられる。「へぇ、こんな新しい業界や商品があるんだ」と知るとワクワクします。僕がやっていることは株の売買ですが、その時々で見える景色が常に新しい。それが飽きない理由かも。




田端:ここ3年はナスダックのハイテク株が調子よくて、日本でもS&P500やナスダックの投資信託が人気ですよね。それもまた、2000年代のITバブルの再放送を見ているようだなと。


テスタ:一般の人に株がはやればはやるほど、そろそろ相場は天井かな……と思ってしまいます。


田端:投資って常に「自分が間違っている可能性がある」というプレッシャーに身をさらすことですよね。心の中で勝手に割安で有望だと判断している株が値下がりしたとき、「自分じゃなくて、マーケットが間違っている」と思う時点で、投資家としては終わっているわけじゃないですか。


テスタ:それ、一番あかんやつですね(笑)。


田端:企業の社長も消費者や投資家から忖度(そんたく)なしの罵声やマジレス(真剣な返信)を浴び続けながらまともな経営を続ける必要がある。頭が柔軟じゃないと、投資家も経営者も務まりません。


テスタ:凝り固まったら終了。怖いなぁ。


田端:ユーチューブの配信で「ちょっと難しいことしゃべったら、再生回数落ちる。ほんと視聴しているやつ、バカばっかり」と言ったらおしまいですから(笑)。俺は正しい、周りが間違っているなんて、どの世界でもありえない。


編集部:「バカばっかり」って言いそうな雰囲気あるのに、実は謙虚な人なんですね?


田端:やめて!(笑)




テスタ:田端さんって「お金欲しい!」っていう感じがしないですよね。もちろんお金に興味ないとか無欲とかではないと思いますが、お金至上主義じゃないというか。


田端:わかります、その表現(笑)。お金、ねえ。ゲームのスコアみたいなものかな。スコアは上げたいけど、ゲームでズルして勝っても楽しくない。「カネがすべてだ」というのも違う気がするし、かといって「カネなんてぜ〜んぜん関係ない」というのもウソだし。


テスタ:お金=ゲームのスコア。すごくよくわかる!


田端:死ぬときに人生を振り返って「あのとき、お金のことなんか気にせず、アレをやっておけばよかった」という後悔はしたくない。


テスタ:たとえばどんな?


田端:僕には今、息子とアメリカをキャンプで横断するっていう夢があるんです。今年、長男が中2になるんですけどね。費用は1カ月200万〜300万円。


テスタ:何かをやるやらないで迷うときの理由がお金だったら、金銭的に多少苦労したとしても、やったほうがいいですよね。これツイッターで言うと「あなたはお金があるからそういうことが言える」って燃えそうですけど(笑)。


田端:いい薪に(笑)。ま、でもテスタさんはもうお金なんかどうでもいいんじゃないの?


テスタ:僕は株の成績を上げたいというだけ。成績が上がったら、自然とお金がついてくる、という感じになっています。自分の予想が当たるとうれしいし、はずれると悔しい。「どうすればもっと株のトレードがうまくなるんだろう」、もうそれだけ。昔は生活費を稼ぐために株式投資をしていたのに、いつの間にか。


田端:一般人が考える「贅沢(ぜいたく)」って10億円あったら、だいたいできるんですよ。資産がすでに数十億円から数千億円もある人は、個人で思いつく贅沢は実現できる。


テスタ:その通り、個人的な贅沢は10億円で足りますね。じゃあ大金があれば、世の中を変えることができるかというと、数千億円を持っていても足りない。


田端:足りない! 確かに!




テスタ:お金持ちといえば、テスラのイーロン・マスク。


田端:イーロン・マスクはレジェンドというか、いまだに型にはまらない感じがすごい!


テスタ:成功した経営者ってだんだん行儀よくなっていくものですが、イーロンさんだけは違いますね。田端さんがおっしゃってた前澤さんみたいに無邪気なのかな。


田端:そうかも(笑)。昨年も、格差問題解消のために自分が創業したテスラの株を売って税金を払ったほうがいいか、ツイッターのフォロワー(当時約6200万人)にアンケートして大騒ぎになりましたね。そのアンケート結果を受けて本当に株を売りましたから。しかも、振り返ると一番の高値近辺で完璧に売り抜けた格好。


テスタ:「計算ずくだ」という人と「いや、そうじゃない」という人がいましたね。じゃあ実際はどうだったのか、全くわからないところが、これまたすごい。


田端:天然の天才なのか、天然に見せることが天才的にうまいのか。メイクしているように見せないためのメイクっていうか(笑)。世の中の金持ち批判に対する駆け引きみたいなところはあるでしょうけど。スケールが違いすぎる。


田端:暗号資産の中でも「ビットコイン」だけはアリかも、もう売っちゃったけど(笑)。ビットコインという名前のブランド力は、携帯用ラジカセが何でもかんでも「ウォークマン」と呼ばれるようになったくらい強い。


テスタ:ウォークマン、懐かしい。


田端:もし中央銀行の信頼性がなくなればお金の価値はなくなる。キャッシュレス時代の今、そのお金も紙切れですらなく、単なるコンピューター上のデータ。それに比べたらビットコインのように「発行数量の上限が決まっている」というルールのほうが、よほど厳格な気がします。


テスタ:確かに、発行数量がもう増えないというビットコインは希少性が上がっていくのかも。まあ僕はこれからも日本株中心でやっていきますが(笑)。


(編集・文/安住拓哉、編集部・中島晶子)


※この記事は抜粋版です。「AERA Money2022夏号」で全5ページにわたる全文をお読みいただけます。


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