“絶対的プリンス”イ・ミンギ 『私の解放日誌』で見せる“キラキラ感”とは無縁の新たな魅力

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2022年05月23日 08:01  リアルサウンド

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イ・ミンギ『私の解放日誌』(写真はJTBC公式サイトより)

 キャラクターに完全に溶け合っている俳優たち、観ているだけで癒される田舎の風景、そして人生と人に関する深い洞察と、心にじんわり染み渡る名台詞の数々で完璧なアンサンブルを成し遂げている『私の解放日誌』(Netflixにて配信中)。『まぶしくて ー私たちの輝く時間ー』の監督と『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』の脚本家という、名作を誕生させた制作陣のコラボで、視聴者の間では、「人生ドラマ(人生において長く記憶に残る最高のドラマ)」「ヒーリングドラマ」という賛辞があふれている。今作で、“ロマンス職人”の顔を脱ぎ捨て、新たな魅力を見せているのがイ・ミンギだ。


【写真】イ・ミンギ登場カット6点


 モデル出身の抜群ルックスで「第2のカン・ドンウォン」と呼ばれていた彼は、ドラマ『頑張れ!クムスン』で2005 MBC演技大賞新人賞を受賞し、俳優としても注目を集める。ドラマ『タルジャの春』では年下男子を演じ、映画デビューした初主演作『浮気日和』では15歳年上の実力派女優のキム・ヘス演じるイスルとチャットで出会って浮気をする学生を演じたり、3歳上の池脇千鶴と共演した映画『おいしいマン』など、年上女優との共演が続き、“年下彼氏”として世の女性たちを虜にしてきた。


 一方、映画界でも幅広い役柄で存在感を示し、次世代俳優として注目を集めた。『TSUNAMI -ツナミ-』では、ソル・ギョングが演じるマンシクの弟役を演じ、第46回百想芸術大賞映画部門男性新人演技賞を受賞。アクションノワール映画『皇帝のために』では大胆なベッドシーンも披露したほか、映画『その怪物』では血も涙もない殺人鬼を演じるなど、様々なジャンルとキャラクターに絶えず挑戦する情熱を見せてきた。


 2017年にはロマンスものである『この恋は初めてだから』で10年ぶりにドラマに戻り、心を固く閉じた男が心を開く過程を、繊細で深くなった演技で見せ好評を得た。『僕が見つけたシンデレラ〜Beauty Inside〜』、『Oh!ご主人様』など、数々のドラマで絶対的プリンスとして君臨してきた彼だが、『私の解放日誌』では、“キラキラ感”とは無縁の癖のある独特な男として新たな境地を見せている。


 『私の解放日誌』は、毎日繰り返される日常に空虚さと窮屈さを感じ、不幸な人生から“解放”されることを望む3兄妹の話だ。物語の中心には、現実でもどこかに存在しそうな3兄妹がいる。「何も起こらない」静かな村で暮らす3兄妹の日常は表向きには問題なく静かに見えるが、彼らの心の中はすぐにでも爆発しそうなほどだった。ミジョン(キム・ジウォン)が告げた「一度も満たされたことがない」というセリフは、彼ら3兄妹の人生を貫通するメッセージだ。


 イ・ミンギが演じるのは、ヨム家の3兄妹の2番目のチャンヒ。夢もなければ欲もなく、「計画のない人生がまさに計画」だと自負する彼は、イライラしながらも自分だけの道をじっくりと探している。イ・ミンギ特有の大きな目とハイトーンの声が、人生の息苦しさと悔しさで声を張り上げ、興奮するチャンヒ役に抜群にマッチする。騒々しいが、愉快で奥深い彼はどこか憎めない、人間的な魅力溢れるキャラクターを完成させた。チャンヒが窮屈な人生からどのように「解放」されていくのか、イ・ミンギのリアルな演技に注目しながら見守りたい。


(Nana)


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