販路拡大する“青汁”市場 「まずい」を逆手にとったパイオニア・キューサイの40年とその先進性

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2022年05月24日 07:30  ORICON NEWS

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写真近年、健康意識の高まりで“青汁”市場の販路が拡大
近年、健康意識の高まりで“青汁”市場の販路が拡大
 健康・美容志向の高まりやコロナ禍による緑野菜の需要増などで人気を博している「青汁」。近年ではコンビニでのスムージーやケールジュースのサブクスサービス、青汁専門カフェなども登場。飲料業界では2020年を「ドリンク青汁元年」と位置付け、市場参入する企業も増えている。だが、青汁と言えば「まず〜い、もう一杯」のCMで知られる『キューサイ青汁』を思い出す人が多いだろう。今年で40周年を迎えた同社商品。発売当初の話から現在の需要、販路の拡大、今後の展望などについて聞いた。

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■食品CMではありえなかったワードで一世を風靡 市場を独占

 キューサイは1965年、菓子製造販売会社として創業。創業者は冷凍食品の製造受託など事業拡大を進めていたが、1978年に突然の体調不良に襲われる。その時に出逢ったのが「青汁健康法」で、これをきっかけに同社はケール青汁の製造販売を開始する。

「ケール青汁の力を自ら体感した創業者は『もっと多くの人々に届けたい』と思い立ち、青汁健康法の提唱者である遠藤仁郎医学博士のもとを訪れ、ケールの種を譲り受けました。その際、『健康のための青汁だから』と、『原料や素材にこだわって選ぶこと』『安全・安心を守ること』を教わり、ケール青汁の製造販売を開始しました」(マーケティング統括部 ブランド・メディア戦略部 メディア戦略課・黒岩あゆ美さん/以下同)

 創業者が青汁健康法と出会って4年後の1982年、冷凍ケール青汁の『キューサイ青汁』を販売開始。以来、現在まで農薬、化学肥料を一切使用せず、徹底した自社管理体制のもと、消費者に安全・安心な商品を届けている。

 1990年には「まず〜い、もう一杯!」のCMが放送開始。食品系CMにはあるまじき、「まずい」というワードを取り入れた、ある種“禁じ手”とも言える内容はお茶の間の気持ちをつかんだ。そんなパワーワードは撮影時に生まれたものだったという。
「事前にさまざまなセリフが準備されていましたが、あの一言は出演俳優さんのアドリブだったんです。長時間の撮影の最後に、本音として出た言葉が『まず〜い』、そして『もう一杯!』でした」

 放送開始時は、福岡ローカル局で1クールのみで放送される予定だった。ところが、CM放送直後は電話が鳴りやまず、全社あげて電話対応をしなくてはいけないほどの反響があり、全国へ放送域を拡大するまでに。CM効果で『キューサイ青汁』の出荷数が増大し、青汁が市場に根付く形となった。

 一方で、たくさんの人に青汁を届く中、やはり青汁独特の苦みや渋みが気になるという声をもらうことも増えてきた。そのため、2007年には「低酸素新鮮クリア製法」を採用し、発売から初めてリニューアルを敢行することに。

「ケール独特の苦みや渋みが発生する原因となる酸化を防ぐために、極力酸素に触れずパック充填後は約マイナス40℃で急速冷凍する『低酸素新鮮クリア製法』にて製品化しています。CMのイメージとは異なり、畑で食べるケールはみずみずしくとても美味しいのです。そのケールの味に近づけるために、収穫から製品化までの時間を、現在では最短2時間半で完了することができ、できる限り鮮度を保つ製法にこだわっています」

 「まず〜い、もう一杯!」のCMは、青汁の認知度を上げる上で大きな役割を果たしたが、インパクトに引っ張られ“まずい”イメージのままで終わらせるわけにはいかない。消費者からの声に耳を傾け、青汁持つ苦み・渋みを極力抑えつつ、ケールのフレッシュさが伝わる青汁となる努力をし続けてきた。それがキューサイの40年の歩みとなっている。

■ブームが足かせに? “青汁だけの会社”から脱却

 2012年、『キューサイ青汁』発売30周年を機に、ブランド名を『キューサイのケール青汁』へ変更する。2015年頃には、米国のケールブームの流れを汲み、日本でも青汁・ケールが若年層にも注目を集めることになる。同社でも、それまでの顧客層の8割が60代以上であることを受け、新たな戦略を立てることになった。

「当社のイメージ調査で『キューサイの商品と聞いて何を思い浮かべますか?』という問いに対して、約72%の方が『青汁』と回答されました。しかし実際は、当社の売り上げのほとんどはスキンケア商品・ヘルスケア商品で、青汁は約10%に留まっています。そこで“青汁だけの会社”というイメージからの脱却を目指し、青汁事業から『ケール事業』へと舵を切ることとなりました」

 そして、2020年にはよりケールを前へ打ち出し、企業ロゴを刷新してブランド名も『ザ・ケール』へリニューアルする。加えて、世代問わず、特に美容に関心のある女性にケール青汁を楽しんでもらおうと『ケールdeキレイ』を発売する。

「この商品は、ケール青汁が苦手な担当者が開発しました。普段ケールを食べたり飲んだりしない方にとって、国産ケールを100%使用した『THE KALE』シリーズはハードルが高く感じられることもあります。“ケール=青汁=苦い”というイメージをお持ちの方もいらっしゃることから、もっとケールを気軽に摂っていただけるよう、誰にでも手に取りやすいケール商品を目指しました。そこで、ケールと親和性があり、特有の青臭さ、香り、苦みを和らげることができるだけでなく、美容・健康にもよく女性の悩みに応えられることを条件に素材を組み合わせた『ケールdeキレイ』が誕生しました」

 ターゲットに合わせ、パッケージにも工夫を施した。リニューアルした『THE KALE』はシンプルなデザインであったが、『ケールdeキレイ』は外出先やオフィス環境などのシーンを選ばず、手軽に栄養補給ができるよう、外包は袋タイプ、個包装はスティックタイプとし、カバンに入れて持ち運びやすくした。女性が好むカラフルで華やかなデザインも特徴だ。

 こうしたパッケージ変更の効果もあってか、従来の青汁よりも購買層が若年化。SNSでも「パッケージがかわいい」「スティックタイプで職場でも飲めるので助かります」といった喜びの声が寄せられている。

■ケールは会社のDNA「いくつになっても“人生初”に踏み出してほしい」

 国内のケール需要は日々高まりを見せている。2020年には牛丼チェーンのすき家が『ケールレタス牛丼』を発売したり、コンビニや専門店、最新サービス等でケールを取り扱うものが増えている。ケールとともに歩んできたキューサイも「飲むことが苦手な方へは、イベントやレシピなどを通じてお料理やお菓子に取り入れていただくご提案を行ったり、人気のある抹茶との比較を行い、データをもとに取り入れやすさをお伝えしたりするなどの工夫も行なっています」など、さまざまな取り組みを行っている。

 創業者が青汁健康法と出会った際、ケールの種とともに『健康のための青汁だから、余計なものを一切加えないでほしい』という遠藤博士の言葉を受け取ったキューサイ。以来、現在に至るまで国産ケール100%にこだわり、安全・安心な商品を世に送り続けてきた。現在はケールを使った化粧品ブランド「Skinkalede(スキンケールド)」を開発するなど、さらに幅広くケール商品の製造・販売を展開している。

「創業者の想いだけでなく、私たちはケールの力を信じています。スーパーフードと称されるケールは、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、カルシウムや食物繊維など60種類以上の栄養素をバランスよく豊富に含んでいます。そのため、ケールがサポートできるのは健康だけでなく、カラダの内側からの美しさと考えています」

 ケール青汁の製造・販売40周年を迎え、今年3月、ウェルエイジング支援No.1企業を目指していくことを発信。この新しい取り組みについて黒岩さんは「『ウェルエイジング支援』とは、カラダもココロもすこやかで、いくつになっても“人生初”に踏み出せるよう、年齢を重ねることを前向きに捉えられる世の中の実現に貢献することを定義しています。その核となるのが私たちのDNAでもある“ケール”だと考えています」と力強く語る。

 従来はテレビ通販を主軸に商品を届けてきたが、デジタルにも注力してマルチチャネルで顧客との接点を作っていく方針だ。若年層からケールへの認知を得られている今だからこそ、“青汁”に確かな価値を見いだした同社の更なる手腕に注視したい。

このニュースに関するつぶやき

  • 「〇〇青汁食品売上1位!」とか「××ニンニク食品売上癸院」とか煽ってからの「定期便がお得!」という流れは、ホント信用できない(;´・ω・)
    • イイネ!3
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