現役感あふれるシトロエン「ID19」に遭遇! 半世紀を経たクルマの魅力は?

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2022年05月24日 11:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
世界で最も美しいクルマ「DS4」の登場で再び注目が集まっているフランス車だが、60年以上前のシトロエンも最新モデルに負けず劣らず魅力的だ。今回は先日の「AUTOMOBILE COUNCIL 2022」で遭遇した「ID19」をご紹介したい。1人のオーナーの愛情を受け、ドイツで50年を過ごしたという現役感あふれる個体だ。


○レストア不要! メンテ十分な「ID19」



2022年4月の「AUTOMOBILE COUNCIL 2022」(オートモビル カウンシル 2022)にて、京都のシトロエン専門店「アウトニーズ」が展示販売していたのが1961年製の「ID19」だ。



1957年に登場したID19はサスペンション、パワーステアリング、ブレーキ倍力装置、クラッチ動作などをひとつの油圧系統でまかなう「ハイドロニューマチック・システム」が有名な「DS」の廉価版として設計されたクルマ。アバンギャルドなスタイルと見た目はほとんど変わらない(ホイールキャップがない程度)が、油圧サスペンション以外の制御がコンベンショナルな機械式となっている。


フロントに搭載するOHVの1.9Lエンジンは最高出力が66PSにデチューンされていて、前輪駆動による最高速度は135km/hがせいいっぱい。いまだにファンの多い宇宙船のようなユニークなボディは全長4.81m、全幅1.79m、全高1.47mと現代においてもなかなか立派なサイズで、4ドアによる居住性はすばらしい。


クリーム色のFRP製ルーフに淡いグリーンの2トーンボディ、ソファーのようにお尻がすっぽりと沈み込む独特な風合いのファブリックシート、左ハンドルでは8時の位置がセンターになる1本ハンドルなど、オリジナル感あふれる1961年製のこの個体は、なんとドイツ在住のワンオーナー車を譲ってもらったものだという。彼の地では普通に使われていたとのことで、少しやれた感じはあるものの現役感たっぷり。50年もの間、オーナーの愛情とメンテナンスがとぎれることなく注がれてきたおかげでレストアの必要がなく、良好なコンディションを保っている。ピカピカじゃないけれども、とても好ましい雰囲気をもつこのクルマの販売価格はジャスト600万円だ。


○思い通りのDSが作れる?



紹介したID19のように、気に入った1台を長く愛し続けるのはクルマ好きの楽しみ。昔のDSを自分好みに仕立てて長く乗り続けたいという人は、アウトニーズの「オーダープログラム」を検討してみるのもいいかもしれない。同社の伊藤悠太氏による解説だ。



「DSのオーダープログラムは、自分が思い描く理想のDSを作り上げるというものです。具体的には内装の素材、色、細かい仕様まで全てオーダーできて、しかも配線まで全部を新品にするので、いわゆるフルレストレーションに近いコンディションのDSをお届けすることができます」


さらに聞いてみると、エンジンには現代の技術を取り入れたマネージメントを採用するとのこと。例えば点火系だと、古い年式のDSはデスビ(ディストリビュータ)で点火していたのだが、それを現代のフライホイールのセンサー方式に変えて、ダイレクトイグニッションを入れる。インジェクションシステムも最新のものを取り入れ、よりクリーンかつトラブルレスに仕立て上げるとのこと。今日の環境でも普通に使うことができる、“現代車未満、クラシックカー以上”のクルマを作る試みなのだという。



「所有している不調なDSを持ち込んでいただき、理想のDSに作り上げることもできます。そのクルマが生きながらえるということであれば、協力させていただきます」と伊藤さんは話していた。



パーツの調達に関しては、互換パーツが十分に供給されているとのこと。シートの材質など機械部分でないところ、例えばファブリックであれば、当時のテキスタイルを再現したものが現代でも作られており、昔と全く同じ生地で張り替えることが可能だそうだ。レザーであればオリジナルの風合いを残した素材が調達できるし、イタリアのスムースレザーのように上質な皮を張ることもできるので、そこはオーダー次第になる。



車両から用意する場合、価格はレザーシート仕様(エアコン付き)なら1,400万円から。内装を全てレザーにするとか、ダッシュボードをレザーにしたいといったような細かい要求にも対応可能で、シートヒーターをつけたり高性能オーディオをつけたりすると、値段は変わってくる。プログラムの受注は好評なようで、すでに数台のオーダーが入っているという。


原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)
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