浜矩子「アホノミクスの大将の“禁断の発想”が空恐ろしい 中央銀行は政府の腰巾着にあらず」

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2022年05月24日 17:00  AERA dot.

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写真浜矩子/経済学者、同志社大学大学院教授
浜矩子/経済学者、同志社大学大学院教授
 経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、経済学的視点で切り込みます。


*  *  *


「日銀は政府の子会社」


 アホノミクスの大将、安倍晋三氏がこう言った。5月9日に大分市で開かれた講演会の場においてのことだ。


 実は、彼がこれを言うのは今に始まったことではない。2017年刊行の拙著『どアホノミクスの断末魔』(角川新書)でも触れたので、一部を抜粋しよう。<17年3月7日付の日本経済新聞に「日本国債」という特集シリーズの2回目が掲載された。その中に次のくだりがある。「『政府と日銀は親会社と子会社みたいなもの。連結決算で考えてもいいんじゃないか』昨年秋、首相は与党議員にこんなアイデアまで語った」>。筆者はこの新聞記事を発見して、アホノミクスの大将が財政と金融の一体運営をたくらんでいると確信した。


 これは禁断の発想だ。ルール違反である。日本銀行法第3条は「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」と定めている。それなのに、アホノミクスの大将は日銀を政府の子会社だと言い、したがって、政府の思うままに日銀に国債を売りつけていいのだと主張している。しかも、ある時払いの催促無しでいい。そう言わんばかりの発言もしたらしい。


 このような危険思想を抱いている人物が、ついこの前まで日本国の首相を務めていたのである。改めて空恐ろしくなる。中央銀行は、経済の世界における民主主義の守護神だ。筆者はそう考えている。政府の言い成りにならない中央銀行の存在は、実に貴重だ。だからこそ、気骨ある中央銀行総裁は、独裁体制の下で必ず目の敵にされる。


 本来なら、金融と財政は良きパートナーであるはずだ。その関係とはどのようなものか。それは、お互いに独自の個性と主張を持つ者同士の協働だ。良質の刑事物芝居に登場する刑事さんコンビのイメージである。時としてぶつかるが、事件解決にかける情熱においては完全に一致している。


 ところが、アホノミクスの大将が書きたがっている刑事ドラマにおいては、金融刑事は財政刑事の腰巾着だ。こんな台本を書かせてはならない。ドラマ化させてはならない。不規則発言者には厳しい処分が必要だ。


浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演


※AERA 2022年5月30日号



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  • 逆神・紫ババアさまは、御年69歳、数えだと70歳。 あれま、古稀じゃありませんか! おバカなまま、お歳を重ねてこられてこられたのですね、ち〜〜ん。
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