室井佑月「わけがわからない」

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2022年05月26日 07:00  AERA dot.

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写真室井佑月・作家
室井佑月・作家

 作家・室井佑月氏は、出演被害防止を目的としたAV対策法について、一部フェミニストから挙がっている反対意見に反論する。


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*  *  *


「AV出演被害防止・救済法案」について、どうして一部のフェミニストが反対しているのかがわからない。


 5月12日の毎日新聞電子版「AV対策法『性行為に金銭支払うことを合法化』 支援団体の懸念」という記事に、「与野党が検討を進める法案は、▽出演契約を交わしてから20日間が経過しなければ撮影はできない▽無条件に契約解除できる期間は公表から1年間──など被害防止を目的に、制作業者への規則を強化する内容だ。


 ただ、言い換えれば規則を守ればAVを事実上合法化するとも捉えられ、それだけに、性搾取に苦しむ人たちを支えてきた支援団体の危機感は大きい」とあった。この記事、「支援団体の危機感」と書いてあるところがミソだわさ。


 だって、この法案に反対する人の意見はイチャモンに近い。あるフェミニストは、「リアル性交するAVの合法化・性売買合法化の筋道を作ってしまった」「AV業界に有利な新法」とまでいっていた。


 でも、それは間違った認識ではないか? いちばん大切なのは、この法が、誰を守るために作られるものであるのか、ということ。


 この新法ができれば、確実に守られる女性は増える。なぜなら、出演を無条件で取り消せるというのが大きい。


 確かに取り消せる契約内容として「AV内で性交を行う契約」と書かれているが、それは「性交契約を有効とする」こととは違う。その旨の条文も入っている。


 法を作る上で、なにを取り消せるのか例をあげる必要があっただけだ。


 この法案のどこをどう読んだら、AV業界に有利といえるんだろうか。反対派はなにを守りたいのか。もうわけがわからない。


 出演の強要などがあってはならない、ってことでしょう。この法で肝心なその部分は解決する。それのなにが不味(まず)いのか。




 まさか、性交ってわけじゃあるまいな。あたしは一部のフェミニストが、過剰に性を汚いものだと決めつけていることを危惧する。そりゃあ性犯罪は憎い。が、性交はそればかりにつながるわけではない。実際、性交がなければあたしたちは生まれていない。


 そして、ほぼ多くの性についての問題は、個人の心の中の問題で、誰かがこうであるべき、これが正しいと語ることではないのではないかと思っている。法の範囲であるなら、人がどう欲求を満たそうが、ほっといてくれという話だろう。


 余談であるが、その昔、禁酒法が出来た。それでも酒をのみたい人はいて、その結果、反社の人たちにお金が流れた。人の欲望は、尽きない。そして、それ自体が悪いことではない。


室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

※週刊朝日  2022年6月3日号


このニュースに関するつぶやき

  • 大半のまともな日本人からしてみればお前が一番「わけがわからない」って思われてるよ。
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