写真![]() 映画『島守の塔』ポスタービジュアル (C)2022 映画「島守の塔」製作委員会 |
【写真】映画『島守の塔』でダブル主演を務めた萩原聖人&村上淳
鉄の暴風と言われた激しい空襲、艦砲射撃、上陸戦の絶望に追い込まれ、県民の4人に1人、約20万人が犠牲となった日本国内唯一の地上戦「沖縄戦」。そんな中、「命(ぬち)どぅ宝、生きぬけ!」と叫び続けた2人の官僚と、「沖縄戦」に翻弄される沖縄県民。
本作は、軍の命令に従いながらも県民の命を守り抜こうとした戦中最後の沖縄県知事・島田叡(あきら)と警察部長・荒井退造、2人に生を託された沖縄の女性・比嘉凛を中心に、それぞれの苦悩と生き方を描く、沖縄本土復帰50周年の節目に「命の尊さ」を次世代に継承するべく誕生した映画。新型コロナウイルス感染拡大による1年8ヵ月の撮影中断を経て、ようやく完成した渾身作だ。
沖縄県知事・島田叡役に萩原聖人。警察部長の荒井退造役には、村上淳。島田の世話役の県職員・比嘉凛役を吉岡里帆、凛の妹で看護学徒隊の比嘉由紀役を池間夏海、そして映画『ひめゆりの塔』(1953)に出演していた香川京子が現代の凜を演じる。監督は『地雷を踏んだらサヨウナラ』などの社会派作品で知られる五十嵐匠。
ポスタービジュアルは、島田叡(萩原)、荒井(村上)、比嘉凛(吉岡)、現代の凛(香川)の4人が強い意志をにじませる姿をそれぞれ配置したものとなっている。
荒井退造役の村上は、「この作品が伝えるべき“核”となるメッセージはスクリーンにあります。この作品に参加できたことを誇りに思います。五十嵐監督の優しい執念のようなものに守られた作品だなと思います。画に写るすべての役者たちの“顔”がいい。フレームの外の気配。この作品がどうみなさまに写るのか。どうぞよろしくお願いいたします」とコメント。
脚本も手掛けた五十嵐監督は、「映画『島守の塔』を監督するため、3年間沖縄に通い、数多くのガマにも入りました。ガマの暗闇の中、沖縄戦で何ヵ月もそこで息をこらしていた多くの沖縄の人々のことを思いました。ひめゆり平和祈念資料館では修学旅行の女子生徒がひめゆり学徒隊の日記を読み、ボロボロ涙を流していました。日本兵と共に南へ下った何万人もの人々が摩文仁で命を落とし、その道々に今でもその人々が立っているような錯覚を覚えました。沖縄では『戦争が終わっていない』と思いました」と振り返る。
続けて「現在、ウクライナで戦争が起こっていますが、製鉄所の地下で息をひそめるウクライナの人々がガマの中の沖縄の人々とダブってしまいます。過去の歴史に何一つ学んでいない人間の愚かしさと悲しさを思います。映画『島守の塔』は、コロナ禍のため、撮影途中で中止になり、完成が危ぶまれました。しかし、1年8ヵ月の延期の末、この作品を『必ず、世に出す』という、スタッフ・キャスト、そして製作委員会やサポーターの皆さんの強い意志が映画『島守の塔』を生み落としました。奇跡のような映画だと思っています」と語っている。
映画『島守の塔』は、7月22日よりシネスイッチ銀座、8月5日より沖縄、兵庫、栃木にて上映開始。その後、全国順次公開。