開幕4戦3勝、“神童”と呼ばれたカッレ・ロバンペラは王者になれるか【WRC Topic】

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2022年05月27日 20:40  AUTOSPORT web

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3連勝を飾ったカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第4戦ポルトガル
WRC世界ラリー選手権の2022年開幕戦モンテカルロこそ4位に終わったが、その後第4戦ポルトガルまで3連勝。WRC関係者の中には、早くもトヨタのカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が今季ワールドチャンピオンになるだろうと確信する者が多いが、その根拠とは?

 まず最初に、あらゆる路面で勝てることが証明された。第2戦スウェーデンはスノー、第3戦クロアチアはターマック(舗装路)、そして直近の第4戦ポルトガルはグラベル(未舗装路)。ロバンペラはそのすべてで優勝し、3戦で合計22回のステージ優勝を決めた。それは実施された全57ステージの約39%にあたる。

 今後はグラベルが7戦、ラリー・ジャパンも含むターマックイベントが2戦控えているが、不得手な路面がないということはタイトル争いをする上で非常に重要だ。

 自分も含むWRC関係者がとくに感銘を受けたのは、グラベルのポルトガルでの戦い方だ。選手権首位として、ロバンペラは金曜日のグラベルステージに出走順トップで臨んだ。それがいかに困難なことであるかは、以前に解説したとおりだ。

“路面の掃除役”として、かなりタイムロスしてもおかしくない状況だったが、ロバンペラはそこで何とチームメイトの首位エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)と13.6秒差の総合2番手につけてみせた。そして、この金曜日の戦いで「ロバンペラは今年チャンピオンになることができる」と、確信したのだ。

■冷静なリスクマネジメントが光る今年のロバンペラ

 例年、選手権をリードする選手は、グラベルラリーで毎回1番手出走を担う。そしてグラベルの初日に表彰台を狙える位置につけられるかどうかが、“超一流”か、“一流”かの分岐点となる。

 歴代の超一流チャンピオンたち、セバスチャン・ローブ、セバスチャン・オジエ、オット・タナクは、このグラベル初日で実力の差を見せつけてきた。そしてロバンペラは、ポルトガルで超一流であることを証明したのだ。

 とくに印象的だったのは、攻めるべきところは攻め、パンクの危険性が高いところは抑えるという冷静なリスクマネジメント。だから、ここ最近ロバンペラはミスが少なく、不利な状況からでも確実に順位を上げていけるのだ。

 そして、ボーナスポイントがかかる“パワーステージ”では、4戦で3回のトップタイムと、1回の2番手タイムを記録。ここ一発でのフルアタックにより、既に19ポイントものボーナスも手にしている。現在、ドライバー選手権2番手のティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)にすでに46ポイント差という大差をつけているが、ボーナスポイントも大きな割合を占めていることが分かる。

■サルディニアとサファリが“カギ”になる

 今後は第8戦フィンランドまでグラベルラリーが続き、ロバンペラは毎戦のように不利な出走順で金曜日を戦うことになるだろう。次戦第5戦ラリー・イタリア・サルディニアは、ポルトガル以上に出走順が大きく影響するラリーだが、ここまでのような戦い方をする限り、少なくとも表彰台を狙うことができるはずだ。

 かつて“神童”と呼ばれたロバンペラのドライビングはラリー1の時代となったいま頭抜けており、トヨタGRヤリス・ラリー1は信頼性とパフォーマンスの両面で高いレベルにある。ただし、これから迎えるグラベル2戦は高温、ダストの多さ、路面の荒れ具合でポルトガルを上まわる。

 さらには、プラグイン・ハイブリッド車両であるラリー1車両がまだ経験してない“ウォータースプラッシュ”という未知なる要素も待ち受ける。選手権を戦う上ではこの前半戦最後の2戦、すなわちサルディニアとサファリ(・ラリー・ケニア)がキーになるだろう。

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